【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢

かずえ

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25 楽しい昼休み

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 二日後、疲れた顔のシャルルがまた、昼の食堂へとやってきた。

「兄上、ご一緒しても構いませんか。」

 座り込む気か、落ち着いて昼食が食べれないじゃないか、とは思ったが、言うわけにはいかない。

「ああ。だが、その人数は座れないぞ。こちらは、三人で食べるからな。あと一人しか座れない。」

「私だけ、お邪魔します。」

「シャルル殿下?一人でなど。」

「護衛と侍従はいるのだから、問題ない。お前たちは、いつもの所で食べてくるといい。」

 声を上げようとする側近候補にシャルルが先回りする。

「私たちが席を外すのなら、そこの」

 と、ジャンがジュストを指差す。

「ジャン。私が、邪魔をするのだから、クレマン子爵令息が席を外す必要はない。」

 ジャンを止めたシャルルの本気を見て、シリルは立ち上がった。

「貴賓室を借りよう。そちらで四人で食べる。リュカ、運んで来れるか?」

「はい。メニューは何に致しましょう?」

「俺も手伝います。シリル殿下とシャルル殿下はお先に行っていてください。」

「頼む。私は日替わり定食でいい。シャルルは?」

「私は、兄上と同じ物を。」

「リュカ、デザートも買ってこい。余ったらジュストが食べる。」


 王族の休憩室といった位置付けの貴賓室を借りて、護衛は扉の外に立たせ、渋るシャルルの侍従も追い出して、四人でテーブルを囲んだ。

「この食堂の品を食べるのは、初めてです。」

「あの食堂では、高位の貴族は見かけないからな。」

「日替わり定食は、毎日メニューが変わるのですか?」

「ああ。色々と食べられて楽しい。メインやらスープやら一つずつ選ばなくても揃えてくれているしな。」

「クレマン子爵令息の定食は、ずいぶんたくさんの品が並んでいますね。」

「シャルル殿下。ジュストとお呼びください。俺のは、あの食堂一の高額メニュー、スペシャルボリューム定食ですよ。そして、プリン!」

「毎日そんなに食べていたら、豚のように太るに違いない。」

 シリルはけらけら笑って言った。シャルルは、その様子を珍しそうに見る。

「せっかく一週間は買ってもらえるのだから、食べてみたいと思っていた品を思う存分、味わいますよ。プリンを考えた料理人は、大天才だ。こんな美味しいものがあったとは!卒業までに1度は食べたいと思っていたメニューを食べることができて、本当に幸せ。」

「一週間?」

「学園が休みの間、アルバイトができなかったから昼食代が無いんです。そしたら、シリル殿下が、休みになった責任を取って一週間は買ってくれるって、約束してくださって。」

「……。」

「デザートも、スペシャルボリューム定食も、卒業までに一度は味見したいと思っていたのですが、まさか、一年生のうちに食べられるとは!」

「確か、あの食堂は一番値段が安いのですよね?」

「そうみたいですね。他のレストランやカフェの値段は知りませんが。とりあえず、あそこの最安値メニュー、余り物サンドイッチなら、寮の掃除と教授の手伝い一回で食べられますから。」

「仕送りがないの?」

「はい。うち、貧乏なので。朝晩の食事はあるのだから、大丈夫だろうって。アルバイトがあって良かったです。」

「……一週間買ってもらえるなら、他のレストランやカフェも行ってみたらいいんじゃないの?」

「……!」

 シャルルとジュストは、食べながら、すっかり話が弾んでいる。

「なんで、気付かなかったんだ……。シリル殿下、巡りましょう。色んな所で、食べましょう。」

「……そんな良いものを食べてしまって、来週は、余り物サンドイッチに戻れるのか?」

「それは、大丈夫です。来週からはシリル殿下に、一口貰うので。リュカの余りも食べますし。」

「勝手な予定だな。だが。」

 シリルは鶏肉のバジル焼きを一口サイズに切って、リュカの口に持っていった。相変わらずサンドイッチをかじっていたリュカがぱくりと食べる。

「私のは、リュカにしかやらん。」

「やめてくださいよ、その、恋人同士みたいな食事の仕方。違和感無さすぎて、勘違いしそうですよ。」

「リュカが、こうでもしないと、肉と野菜を食べないから。」

 くっくっ、とシャルルが笑う。

「兄上はずるい。こんなに楽しく食事をしてたなんて。」

「用事はすんだのか?」

「いいえ。すんでないから、明日もご一緒します。」

「すましてしまえ。」

「ジュスト、明日はどこで食べる?」

「レストランに入ってみたいですねぇ。」

「シャルルの仲間たちはどうするんだ?」

「母上が連れてきたり、親に言われて私にくっついている者たちのことですか?一緒に食事しても何も楽しくありません。そうですね、ジャンならいてもいいです。」

「あれが、一番うるさいだろう。」

「でも、私のことをちゃんと思ってくれていますよ。あまり、利口ではありませんが。」

「今日のこれは、怒られるのでは?」

「母上の呼び出しなど、忙しいと断ります。学園にいれば、何とでもなります。私は、兄上とお話したかったのだから、いいんです。」

「……そうか。」

 貴賓室での昼休みは、楽しく過ぎていった。



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