【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢

かずえ

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37 王妃の手紙

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 月に一度の定例会議で、国王から第一王子シリルを王太子とすることが宣言された。立太子の儀式は、学園の休みの間に行うため、一月後となる。準備のためと様々な思惑が入り乱れて、王宮は大騒ぎとなっている。

「学園での成績で承知のことと思うが、シリルは優秀でな。すでに執務の一部を手伝って貰っている。これを機に、しばらくは私の執務室で共に仕事をする。慣れてきたら近くの部屋を王太子の執務室とするので、整備の方を宜しく頼む。」

「陛下。発言をお許しください。」

「許す。」

「第二王子シャルル殿下は、王位継承権二位ということになるのでしょうか。」

「シャルルは、臣下としてシリルを支えたいとの本人の希望により、爵位を渡して臣籍に降りることとなる。王家の人間では無くなる。私とシャルルとの間で話し合いはすんでいる。詳細は一月後までに詰めるつもりだ。」

「議会が承認しかねる場合は、もう一度白紙で話し合いですか。」

「いや。これは決定事項だ。承認しかねる理由があるなら、二日以内に書類として提出せよ。儀式までの日取りが短いのでな。準備は進める。」

 王妃派の貴族はたくさんいたが、あまりに突然のことに対応できる者がおらず、そのまま会議は解散された。
 王妃派筆頭とも言える宰相すら、その時に話を聞いたのである。だが、宰相府に戻ってみると、準備は始まっていて誰も彼もが大忙しであった。宰相は、儀式の準備に参加している場合ではなく、取り急ぎ王妃の元へ向かった。

 宰相の、取り繕いもしない突然の訪問に、王妃は苛ついていた。話を聞いた後は、倒れそうなほど青ざめて震えている。
 会議に参加していた貴族達から、会ってお話を、といった主旨の手紙が続々と届き始める。
 
「お話しは分かりました。まずは、シャルルと陛下にお会いしましょう。……シリル殿下にも。」

 宰相を部屋から追い出した王妃は、その足でシャルルの部屋へと向かったが、頑なに扉を開けないシャルルに会うことはできなかった。
 高ぶる感情の勢いのままシリルの部屋へと向かうも、留守居の侍従が、陛下の執務室でお仕事中です、と言う。流石に、国王の執務室へ突撃することはできず、自室へ戻り、国王への手紙をしたためた。
 シリルが、如何に王太子として不適格であるかを綴る。
 体が弱く、執務に支障が出るであろうこと。
 剣技の才能に欠けていること。シャルルに勝てたことがないこと。
 体格が貧弱で王としての威厳がないこと。
 幼い頃からの家庭教師の試験で一度しかシャルルに勝てていないこと。
 社交性がなく、人付き合いに向いていないこと。友人の一人もいなければ、共に仕事をする者もいないだろう。その点、シャルルはたくさんの友人に囲まれていること。
 貴族の支持が得られていないこと。
 丁寧に書いているうちに落ち着いてきた。シリルが王太子に向いている理由は何一つ無いではないか。陛下は一体、どうなされたというのか。
 同じように、シリルが王太子に相応しくない理由を書き連ねた手紙を作り、議会に所属している王妃派の貴族に送ることにする。これを書類として提出すればよい。
 そして、シリル本人から辞退させるのも良いだろう、とシリル宛にもそれを出した。更に、お茶会の案内を添える。一度のお茶会で存在を消してしまえはしないだろうが、また、寝込んでくれるだけで良い。食事に混ぜるのも、最近はうまくいっていないのか、寝込んだという報告を聞かないことであるし、目の前で飲んで貰うことにしよう。
 王妃は、ほっとして手配を終えた。
 

 
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