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第一章 初めての幸せ
4 十三 1
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だいぶ、痛みが引いてきた。
ふと部屋を見ると、執務机があって、皇子と常陸丸が仕事をしていた。ソファだけでなく机まで? もう、何? この部屋、何?
皇子がふとこちらを見て、俺と目が合うと近くにきた。
「おはよう、粥は食えるか? 水、飲むか?」
うんうんと頷く。
俺、一生ここに住む。幸せ。
身軽に出ていく皇子を見ていると、じとりと睨む視線に気付いた。
あ、ごめん、常陸丸。俺の一生なんてちょっとだけだから許して。
常陸丸は、銃を構えるのは止めたらしい。書類を手にして、ずっとこちらを睨んでいる。心配なら、銃を構えててもいいけど? 撃たれても、俺は問題ないよ。
すぐに粥と水を持ってきた皇子が、今日も食べさせてくれる。背中にクッション。柔らかくて気持ちいい。何これ。幸せ。
「痛みはどうだ? 少しは楽になったか?」
うんうんと頷く。
そうか、良かったな、と皇子が俺の頭を撫でた。これ、気持ちいいんだよなあ、思わずうっとりしちゃう。
「お前、なんて名前だ?」
十三ですよー、と心の中で返す。声を出す気はない。だって、俺、敵だし。何か色々軍事機密とか聞かれても困るし。口がきけないと思ってくれたら、尋問されないからね。
「教えてくれないのか? 年はいくつだ?」
知らないですよー。年齢数えたりしませんよー。
でも、俺は戦闘人形として完成されてから前線に出て、三年も生き残ってるエリートなので、十代後半じゃないかなー?
知らんけど。
黙ったままの俺に腹が立ったのか、常陸丸がつかつかとベッドサイドへやって来た。
「口がきけないふりか? しゃべれるのは分かってるんだぞ? お前、前に水飲んで、おいしいって言っただろ。寝言も言うしな」
まじで? 寝言言うの?
うわ、恥ずかしい。
おいしい、はちょっと覚えてないです。ごめんな、常陸丸。
でも、口はきけませーん。
起きてるときは。
「そのうち、教えてくれ。俺は緋色だ。二十二歳」
ひいろ。
きれいな名前だなーと思って思わず呟いたのかも。
「やっぱり喋れるじゃねーか。さあ、色々答えてもらうぞ」
常陸丸がどっかりとソファに腰を下ろして、戦闘人形は何体いるんだ? とか、どうやって作られたんだ? とか、お前らそもそも人間とどう違って、あんなにすばしっこいんだ? とか言ってたけど、もちろん、無視した。
……飴やるから、名前くらい言ってみろって言われて、口のなかに入れてもらった飴という食べ物があまりに美味しすぎて、思わず「十三」って言ってしまったのは、ちょっと恥ずかしい。
飴、上手く舐めれなくて涎が口からべたべたこぼれた。もったいない。ずっとおいしいって、何、この食べ物。
幸せ。
ふと部屋を見ると、執務机があって、皇子と常陸丸が仕事をしていた。ソファだけでなく机まで? もう、何? この部屋、何?
皇子がふとこちらを見て、俺と目が合うと近くにきた。
「おはよう、粥は食えるか? 水、飲むか?」
うんうんと頷く。
俺、一生ここに住む。幸せ。
身軽に出ていく皇子を見ていると、じとりと睨む視線に気付いた。
あ、ごめん、常陸丸。俺の一生なんてちょっとだけだから許して。
常陸丸は、銃を構えるのは止めたらしい。書類を手にして、ずっとこちらを睨んでいる。心配なら、銃を構えててもいいけど? 撃たれても、俺は問題ないよ。
すぐに粥と水を持ってきた皇子が、今日も食べさせてくれる。背中にクッション。柔らかくて気持ちいい。何これ。幸せ。
「痛みはどうだ? 少しは楽になったか?」
うんうんと頷く。
そうか、良かったな、と皇子が俺の頭を撫でた。これ、気持ちいいんだよなあ、思わずうっとりしちゃう。
「お前、なんて名前だ?」
十三ですよー、と心の中で返す。声を出す気はない。だって、俺、敵だし。何か色々軍事機密とか聞かれても困るし。口がきけないと思ってくれたら、尋問されないからね。
「教えてくれないのか? 年はいくつだ?」
知らないですよー。年齢数えたりしませんよー。
でも、俺は戦闘人形として完成されてから前線に出て、三年も生き残ってるエリートなので、十代後半じゃないかなー?
知らんけど。
黙ったままの俺に腹が立ったのか、常陸丸がつかつかとベッドサイドへやって来た。
「口がきけないふりか? しゃべれるのは分かってるんだぞ? お前、前に水飲んで、おいしいって言っただろ。寝言も言うしな」
まじで? 寝言言うの?
うわ、恥ずかしい。
おいしい、はちょっと覚えてないです。ごめんな、常陸丸。
でも、口はきけませーん。
起きてるときは。
「そのうち、教えてくれ。俺は緋色だ。二十二歳」
ひいろ。
きれいな名前だなーと思って思わず呟いたのかも。
「やっぱり喋れるじゃねーか。さあ、色々答えてもらうぞ」
常陸丸がどっかりとソファに腰を下ろして、戦闘人形は何体いるんだ? とか、どうやって作られたんだ? とか、お前らそもそも人間とどう違って、あんなにすばしっこいんだ? とか言ってたけど、もちろん、無視した。
……飴やるから、名前くらい言ってみろって言われて、口のなかに入れてもらった飴という食べ物があまりに美味しすぎて、思わず「十三」って言ってしまったのは、ちょっと恥ずかしい。
飴、上手く舐めれなくて涎が口からべたべたこぼれた。もったいない。ずっとおいしいって、何、この食べ物。
幸せ。
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