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第三章 幸せの行方
31 成人 54
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昨日と同じように階段を降り始める。パズルの箱を持っていて手が塞がっているので、手すりを持てない。手が一個しかないと不便だ。
「殿下、どこ行くんです?」
常陸丸の声がする。緋色が俺に付いてきているから、緋色の護衛の常陸丸も付いてきているんだろう。
疲れてきたけど、緋色の前で座り込みたくなくて足を動かす。階段は、辛い……。
かくん、と膝がくだけて階段を踏み外した。体のどこにも踏ん張るための力は入りそうにない。まだ、半分も降りていなかった。
じいやの気配が、微かにして消えた。
「危ねえ。うわ、焦った。」
常陸丸が階段に膝をついて、俺を抱き止めている。ありがと、と言ったら、はー、と溜め息を吐かれた。
「お…前…、昨日は、どうやって行ったんだ?」
真っ青な顔で階段に座り込んだ緋色が言う。
「じいやと行った。」
「利胤か。」
「じいじ、ちゃう。じいや。」
「じいや?」
「たぶん、一ノ瀬荘重さまですね。いましたよ、今。」
「じいや、いたよ。」
「どこに……。いや、もういい。成人、階段一人で使うの禁止な。」
え?斎のとこ、行けないじゃん。
「この高さから落ちたら、死ぬから。死んだら駄目だろう?」
それは、うん。そう、死ぬね。今の俺では、死ぬね。
仕方なく頷く。
「やっぱり階段は駄目だ。屋敷を貰おう。この前のみたいな平屋が一番だ。」
「確かに。ちょっとここは広すぎますよね。」
常陸丸に抱いてもらい、完全に体を預けながら、斎の部屋へ連れていってもらった。
扉の前で、おろして、と言ったら、は?って顔をされる。
「自分で歩く。」
「無理だろ。」
「斎に元気って見せるから。」
下ろしてもらっても、上手く立てなかったので、悔しかった。しゃがんでいると緋色に抱っこされそうになって、嫌だと抵抗してみる。
歩けるように支えて欲しいんだ!
「じいや。」
俺は、じいやを召還した。
「殿下、どこ行くんです?」
常陸丸の声がする。緋色が俺に付いてきているから、緋色の護衛の常陸丸も付いてきているんだろう。
疲れてきたけど、緋色の前で座り込みたくなくて足を動かす。階段は、辛い……。
かくん、と膝がくだけて階段を踏み外した。体のどこにも踏ん張るための力は入りそうにない。まだ、半分も降りていなかった。
じいやの気配が、微かにして消えた。
「危ねえ。うわ、焦った。」
常陸丸が階段に膝をついて、俺を抱き止めている。ありがと、と言ったら、はー、と溜め息を吐かれた。
「お…前…、昨日は、どうやって行ったんだ?」
真っ青な顔で階段に座り込んだ緋色が言う。
「じいやと行った。」
「利胤か。」
「じいじ、ちゃう。じいや。」
「じいや?」
「たぶん、一ノ瀬荘重さまですね。いましたよ、今。」
「じいや、いたよ。」
「どこに……。いや、もういい。成人、階段一人で使うの禁止な。」
え?斎のとこ、行けないじゃん。
「この高さから落ちたら、死ぬから。死んだら駄目だろう?」
それは、うん。そう、死ぬね。今の俺では、死ぬね。
仕方なく頷く。
「やっぱり階段は駄目だ。屋敷を貰おう。この前のみたいな平屋が一番だ。」
「確かに。ちょっとここは広すぎますよね。」
常陸丸に抱いてもらい、完全に体を預けながら、斎の部屋へ連れていってもらった。
扉の前で、おろして、と言ったら、は?って顔をされる。
「自分で歩く。」
「無理だろ。」
「斎に元気って見せるから。」
下ろしてもらっても、上手く立てなかったので、悔しかった。しゃがんでいると緋色に抱っこされそうになって、嫌だと抵抗してみる。
歩けるように支えて欲しいんだ!
「じいや。」
俺は、じいやを召還した。
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