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第四章 西からの迷い人
25 震える声 成人
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「生松、半助寝てる?」
「おや、成人。雑炊ですか?」
「うん。」
「あの方はどうも気配に敏くて、近くに人がいると寝られないようなのでなるべく近寄らないようにしております。そろそろ見てきていただけると助かります。」
任せて!
半助は俺が看病するからね。
「なんやろ。今、何となく不安が……。」
「あ、壱臣さん。貴方が雑炊を作ってくれたのですか?」
壱臣に気付いた生松が声をかけた。
「生松先生、こんにちは。あの。」
壱臣は、離宮で働くことが決まったときに生松の診察を受けているし、離宮で一緒に暮らしているから顔見知り。
「うちの、うちの半助が大変お世話になったそうで、ありがとうございます。」
壱臣が深々と頭を下げる。
「ああ。」
生松は嬉しそうに笑った。
「退院後は同じ部屋の方が良いと思います。利き手が失くなるというのは、本人の想像以上に大変なものですから。助けて、と言えないタイプの方みたいですしね。」
「あの、緋色殿下は、その、半助のことは?」
「ああ。一緒に住みたいと普通にお願いすれば、二人で暮らせるお部屋をくださいますよ。」
「そんな、簡単に……?」
「ええ。だって貴方はもう、殿下の信頼を得ているのですから。」
壱臣が、もう一度深く頭を下げる。
「早く行こ。」
頷いて付いてくる壱臣は、とても嬉しそうに見えた。
静かな廊下を歩き、ノックして病室へ入る。
「雑炊持ってきたよ。」
半助はやっぱり目を開けていて、緊張していた。俺の声に少し力を抜く。じいやも、よく見える位置に立つ。いつものように気配を消していると、半助がそちらばかり気にしてずっと体を強張らせているから。この人はたぶん、本当に鍛えた技の持ち主だったんだろう。
その目が、壱臣をとらえて見開かれた。
「半助。ごめんな。」
壱臣の声は掠れて聞き取りにくい。
「置いていってごめん……。無事で、良かっ……た…。」
ぼろぼろと壱臣の目から涙がこぼれて落ちた。
俺は雑炊を受け取ってベッド横の机に置く。
「俺の知ってる臣を連れてきた。」
俺は、固まって動かない半助の顔を覗きこむ。お熱下がったかな。
「半助の大事な臣だった?」
半助がふるふると震えて、微かに頷く。左手が目を覆う。ああ、点滴の管が引っ張られちゃう。
「ありがとう、ございます……。」
半助の声は震えて、とても聞き取りにくかった。
「おや、成人。雑炊ですか?」
「うん。」
「あの方はどうも気配に敏くて、近くに人がいると寝られないようなのでなるべく近寄らないようにしております。そろそろ見てきていただけると助かります。」
任せて!
半助は俺が看病するからね。
「なんやろ。今、何となく不安が……。」
「あ、壱臣さん。貴方が雑炊を作ってくれたのですか?」
壱臣に気付いた生松が声をかけた。
「生松先生、こんにちは。あの。」
壱臣は、離宮で働くことが決まったときに生松の診察を受けているし、離宮で一緒に暮らしているから顔見知り。
「うちの、うちの半助が大変お世話になったそうで、ありがとうございます。」
壱臣が深々と頭を下げる。
「ああ。」
生松は嬉しそうに笑った。
「退院後は同じ部屋の方が良いと思います。利き手が失くなるというのは、本人の想像以上に大変なものですから。助けて、と言えないタイプの方みたいですしね。」
「あの、緋色殿下は、その、半助のことは?」
「ああ。一緒に住みたいと普通にお願いすれば、二人で暮らせるお部屋をくださいますよ。」
「そんな、簡単に……?」
「ええ。だって貴方はもう、殿下の信頼を得ているのですから。」
壱臣が、もう一度深く頭を下げる。
「早く行こ。」
頷いて付いてくる壱臣は、とても嬉しそうに見えた。
静かな廊下を歩き、ノックして病室へ入る。
「雑炊持ってきたよ。」
半助はやっぱり目を開けていて、緊張していた。俺の声に少し力を抜く。じいやも、よく見える位置に立つ。いつものように気配を消していると、半助がそちらばかり気にしてずっと体を強張らせているから。この人はたぶん、本当に鍛えた技の持ち主だったんだろう。
その目が、壱臣をとらえて見開かれた。
「半助。ごめんな。」
壱臣の声は掠れて聞き取りにくい。
「置いていってごめん……。無事で、良かっ……た…。」
ぼろぼろと壱臣の目から涙がこぼれて落ちた。
俺は雑炊を受け取ってベッド横の机に置く。
「俺の知ってる臣を連れてきた。」
俺は、固まって動かない半助の顔を覗きこむ。お熱下がったかな。
「半助の大事な臣だった?」
半助がふるふると震えて、微かに頷く。左手が目を覆う。ああ、点滴の管が引っ張られちゃう。
「ありがとう、ございます……。」
半助の声は震えて、とても聞き取りにくかった。
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