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第六章 家族と暮らす
74 俺が緋色の 成人
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「あなたまで、そうやって誤魔化そうとするのね?」
「いいや。あまり説明したいものでもないのだが、君に必要なら説明しよう。その代わり、しっかり聞くと約束してくれ」
「いつだって、聞いています。ちゃんと聞いてるわ」
「では座って。アイスクリームを一口食べるか、茶を飲んで落ち着きなさい」
俺も説明聞きたい。
「俺ら、もう出ようか」
背筋を伸ばして座っていると、緋色が言った。
え?説明は?
「私の説明が正しいか、聞いていてくれないか。緋色の気持ちを間違ってはいけない」
「別に、どう取ってもらっても構わないが」
「いいや。私は、お前にはまだ、朱実と喧嘩ができるくらいの情がある、と思っていた。まったくの間違いだったようだ。朱実のことを信用できない人、と言ったことにも驚いている」
父さまは、静かに言った。ゆっくりとしゃべった。
「できない。信用できるわけがない。朱実は、正式な手続きを踏んだ書類を受理していなかった。陛下も認可した書類をだ。二年も隠しておいていざ指摘すれば、不備があったから差し戻そうと思って忘れていた、といつもの笑顔で言いやがった。発覚しないように様々に手を回していたくせに、だ。これから先、仕事の書類でも同じことがあるかもしれないじゃないか」
「ああ、その通りだ。私が認可した書類を受理せず、しかも忘れていたと言うなら処罰対象だな。朱実には、私からもしっかりと話を聞こう。約束する」
父さまは、緋色に頷いてから、座ってお茶を飲んでいる母さまの方を向いた。
「さて、よく聞きなさい。緋色はこのように言ったんだ。朱実に対して、何の感情も抱いてはいない、と」
「どういうことですの?」
「好きでも嫌いでもなく、怒りを覚えるほど、対象のことを考えたりもしていない、ということだ。だから、朱実に怒ったりしない。怒るような激情はない」
「家族、でしょう?そんなことがありますか」
「家族としての情はどうなのかな?」
父さまは少し緋色の顔を見た。緋色は、軽く肩をすくめた。
「どうして?どうしてそんな酷いこと」
「酷いかい?」
「だって家族ですわ」
「家族とは何かな」
「最も近しい間柄じゃありませんか!」
「緋色と君は、最も近しいかい?」
「あ、あ、当たり前です」
「分かった。君はそう思っているんだね。でも、緋色はどうだろう」
「は、母親が近しくなければ、誰が近しいと仰るのです?」
最も近しいってどういうことだろう。
家族、は分かる。一緒に暮らしている好きな人のこと。乙羽に教えてもらった。俺の家族は離宮の皆だ。緋色もそうだよね。俺たちは、家族と暮らしている。皆のことが大好きだ。
父さまや母さまも、一緒に暮らしてないけど、緋色の家族?
あ、あれか。血の繋がりのある人?
前に、乙羽の家族だと名乗る人がいた。変なことを言ってきてとても困っていた。だって、家族なんだから乙羽の命を捨てて別の家族の命を救えと言うんだ。意味が分からなかった。
乙羽がもう、結婚の誓いを済ませてて良かったよ。そうでなければ、一緒に住んでる好きな人より血の繋がりのある人が家族として優先されるらしいからね。結婚の誓いをしていたら、血の繋がりが無くても家族の一番になれる。だから、乙羽の家族は常陸丸、そして俺たちだって胸を張って言えたんだ!
つまり、今、俺は言っていい。
「俺!俺が緋色の家族!」
「いいや。あまり説明したいものでもないのだが、君に必要なら説明しよう。その代わり、しっかり聞くと約束してくれ」
「いつだって、聞いています。ちゃんと聞いてるわ」
「では座って。アイスクリームを一口食べるか、茶を飲んで落ち着きなさい」
俺も説明聞きたい。
「俺ら、もう出ようか」
背筋を伸ばして座っていると、緋色が言った。
え?説明は?
「私の説明が正しいか、聞いていてくれないか。緋色の気持ちを間違ってはいけない」
「別に、どう取ってもらっても構わないが」
「いいや。私は、お前にはまだ、朱実と喧嘩ができるくらいの情がある、と思っていた。まったくの間違いだったようだ。朱実のことを信用できない人、と言ったことにも驚いている」
父さまは、静かに言った。ゆっくりとしゃべった。
「できない。信用できるわけがない。朱実は、正式な手続きを踏んだ書類を受理していなかった。陛下も認可した書類をだ。二年も隠しておいていざ指摘すれば、不備があったから差し戻そうと思って忘れていた、といつもの笑顔で言いやがった。発覚しないように様々に手を回していたくせに、だ。これから先、仕事の書類でも同じことがあるかもしれないじゃないか」
「ああ、その通りだ。私が認可した書類を受理せず、しかも忘れていたと言うなら処罰対象だな。朱実には、私からもしっかりと話を聞こう。約束する」
父さまは、緋色に頷いてから、座ってお茶を飲んでいる母さまの方を向いた。
「さて、よく聞きなさい。緋色はこのように言ったんだ。朱実に対して、何の感情も抱いてはいない、と」
「どういうことですの?」
「好きでも嫌いでもなく、怒りを覚えるほど、対象のことを考えたりもしていない、ということだ。だから、朱実に怒ったりしない。怒るような激情はない」
「家族、でしょう?そんなことがありますか」
「家族としての情はどうなのかな?」
父さまは少し緋色の顔を見た。緋色は、軽く肩をすくめた。
「どうして?どうしてそんな酷いこと」
「酷いかい?」
「だって家族ですわ」
「家族とは何かな」
「最も近しい間柄じゃありませんか!」
「緋色と君は、最も近しいかい?」
「あ、あ、当たり前です」
「分かった。君はそう思っているんだね。でも、緋色はどうだろう」
「は、母親が近しくなければ、誰が近しいと仰るのです?」
最も近しいってどういうことだろう。
家族、は分かる。一緒に暮らしている好きな人のこと。乙羽に教えてもらった。俺の家族は離宮の皆だ。緋色もそうだよね。俺たちは、家族と暮らしている。皆のことが大好きだ。
父さまや母さまも、一緒に暮らしてないけど、緋色の家族?
あ、あれか。血の繋がりのある人?
前に、乙羽の家族だと名乗る人がいた。変なことを言ってきてとても困っていた。だって、家族なんだから乙羽の命を捨てて別の家族の命を救えと言うんだ。意味が分からなかった。
乙羽がもう、結婚の誓いを済ませてて良かったよ。そうでなければ、一緒に住んでる好きな人より血の繋がりのある人が家族として優先されるらしいからね。結婚の誓いをしていたら、血の繋がりが無くても家族の一番になれる。だから、乙羽の家族は常陸丸、そして俺たちだって胸を張って言えたんだ!
つまり、今、俺は言っていい。
「俺!俺が緋色の家族!」
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