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第六章 家族と暮らす
113 しょんぼり 成人
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また来た……。
皇太子殿下は、次の日はおやつの時間の少し前に来た。そんなに緋色に渡す書類あるのかな。今まで来てなかったのに。用がある時は緋色が呼ばれて行ってた。
「お急ぎなら部下をお使い頂くか、定期便を出すのでそちらを利用して頂ければ、と思いますが?」
「はは。急ぎじゃないよ。大丈夫」
笑った皇太子殿下に、緋色がふ、と溜め息を吐く。
「急ぎじゃないなら尚更、何故わざわざお運び頂いていらっしゃるので?」
「休憩?息抜き?まあ、お前の顔が見たくて」
「ではもう、ご満足頂けたのでは?俺たちはもうすぐおやつ休憩に入りますので、お帰りください」
「私の分もあったりしないかな」
「前日に朝、昼と間食、夜の食事が何人分いるかの集計を取ることになっております。大まかな予定も一週間毎に聞いて材料を準備するので、朝のうちに言ってくださるならまだしも、今言ってあるものではありません」
緋色は、皇太子殿下の方を見ない。
「そういうところ、しっかりしてるんだね。何だか意外だよ。大雑把な印象があったから」
「大勢が出入りしているんですから、当然でしょう?いつも多めに作って廃棄するような無駄なことをする気はない。一ノ瀬を引き上げたいと仰るなら、またそれなりの運営を考えますが」
「……それは、引き上げても問題ないと言いたいのか」
「問題はありますよ。一ノ瀬は優秀だし、気配に敏い人間が多いうちとしては、気配を消せる使用人は助かっている」
「へえ……」
「で?」
「引き上げるつもりは無いよ。お前へ貸してはいても、私の部下であることにかわりはない」
「ではありがたくお借りしておきます。一ノ瀬は成人と相性がいいので嬉しいですよ」
俺?
おやつ前だから、皇太子殿下のお茶を出すついでに皆の湯飲みを片付けていたら、俺の名前が出てびっくりした。
相性がいい?仲良しってこと?
うん。一ノ瀬はみんな強くて動きの予測がつきやすくて好き。予想通りの動きをするから一緒にいて安心できる。壱臣なんて、動きの予測がつかなくてどきどきするもんね。
なんでそっちに動いたの?とか、思ってたのより一拍遅いとか、一拍どころじゃなくのんびり動き出したくせにその後で急いでいたりとか、本当に予測がつかなくて大変。そんな壱臣を守って戦った半助って、本当に凄い。尊敬しちゃう。今も片腕でも戦えるしね。
羨ましい。
俺はすっかり動けなくなったから。
もう誰にも攻撃する気は無いし戦いたくもないけど、いざというときに自分すら守れないことにしょんぼりしてしまう。鍛えることもできない体。緋色の役に立ちたいのに。
「どうした?」
気配は読める。緋色が近付いて来てくれたの、分かる。もしこれが、敵意を持ってくる人なら気付いたら避ければいい。よほど相手が強くない限り、一手目は避けられるだろう。でも、その後は?生き残ることでも精一杯のこの体が……。
抱き上げられて、しょんぼりとくっついた。
「天気が良くないから調子悪いか?」
「んーん」
「客の相手に疲れたんだな」
「んーん」
お茶出しただけだよ。
「そうか」
「うん」
ただ抱っこして、背中をぽんぽんしてくれる緋色が好き。
「今日は帰るよ」
俺がしょんぼりしてる間に、皇太子殿下は帰っていった。
皇太子殿下は、次の日はおやつの時間の少し前に来た。そんなに緋色に渡す書類あるのかな。今まで来てなかったのに。用がある時は緋色が呼ばれて行ってた。
「お急ぎなら部下をお使い頂くか、定期便を出すのでそちらを利用して頂ければ、と思いますが?」
「はは。急ぎじゃないよ。大丈夫」
笑った皇太子殿下に、緋色がふ、と溜め息を吐く。
「急ぎじゃないなら尚更、何故わざわざお運び頂いていらっしゃるので?」
「休憩?息抜き?まあ、お前の顔が見たくて」
「ではもう、ご満足頂けたのでは?俺たちはもうすぐおやつ休憩に入りますので、お帰りください」
「私の分もあったりしないかな」
「前日に朝、昼と間食、夜の食事が何人分いるかの集計を取ることになっております。大まかな予定も一週間毎に聞いて材料を準備するので、朝のうちに言ってくださるならまだしも、今言ってあるものではありません」
緋色は、皇太子殿下の方を見ない。
「そういうところ、しっかりしてるんだね。何だか意外だよ。大雑把な印象があったから」
「大勢が出入りしているんですから、当然でしょう?いつも多めに作って廃棄するような無駄なことをする気はない。一ノ瀬を引き上げたいと仰るなら、またそれなりの運営を考えますが」
「……それは、引き上げても問題ないと言いたいのか」
「問題はありますよ。一ノ瀬は優秀だし、気配に敏い人間が多いうちとしては、気配を消せる使用人は助かっている」
「へえ……」
「で?」
「引き上げるつもりは無いよ。お前へ貸してはいても、私の部下であることにかわりはない」
「ではありがたくお借りしておきます。一ノ瀬は成人と相性がいいので嬉しいですよ」
俺?
おやつ前だから、皇太子殿下のお茶を出すついでに皆の湯飲みを片付けていたら、俺の名前が出てびっくりした。
相性がいい?仲良しってこと?
うん。一ノ瀬はみんな強くて動きの予測がつきやすくて好き。予想通りの動きをするから一緒にいて安心できる。壱臣なんて、動きの予測がつかなくてどきどきするもんね。
なんでそっちに動いたの?とか、思ってたのより一拍遅いとか、一拍どころじゃなくのんびり動き出したくせにその後で急いでいたりとか、本当に予測がつかなくて大変。そんな壱臣を守って戦った半助って、本当に凄い。尊敬しちゃう。今も片腕でも戦えるしね。
羨ましい。
俺はすっかり動けなくなったから。
もう誰にも攻撃する気は無いし戦いたくもないけど、いざというときに自分すら守れないことにしょんぼりしてしまう。鍛えることもできない体。緋色の役に立ちたいのに。
「どうした?」
気配は読める。緋色が近付いて来てくれたの、分かる。もしこれが、敵意を持ってくる人なら気付いたら避ければいい。よほど相手が強くない限り、一手目は避けられるだろう。でも、その後は?生き残ることでも精一杯のこの体が……。
抱き上げられて、しょんぼりとくっついた。
「天気が良くないから調子悪いか?」
「んーん」
「客の相手に疲れたんだな」
「んーん」
お茶出しただけだよ。
「そうか」
「うん」
ただ抱っこして、背中をぽんぽんしてくれる緋色が好き。
「今日は帰るよ」
俺がしょんぼりしてる間に、皇太子殿下は帰っていった。
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