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第九章 礼儀を知る人知らない人
36 うちのちび 緋色
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成人と手を繋いで、誕生日会会場である食堂に入場してきた末良は、大勢の拍手にもひるむことなく堂々と歩いている。おめでとう、の声に、あいっ、と返事をして頭を下げる末良の様子に、可愛いだの凄いだの賢いだのと様々な賞賛の声が上がった。調子に乗らすな、と思ったり、うちのちびはやはり偉いもんだと思ったりする。末良と同じく十月生まれの三郎と政巳が、成人と末良の歩く様子をにこにこと見守りながら、後ろに続いていた。
「全くお前というやつは」
せっかく機嫌良く成人とうちのちびの勇姿を見守っているというのに、隣からの小言がうるさい。
「開催時間が早くなるなら早くなるとすぐに連絡を寄越しなさい。私たちが常に早めの行動をする質だから間に合ったものの、すでに始まると聞いてどれだけ驚いたことか」
「あー、はいはい。悪かった悪かった」
朱実と赤璃、朱音も誕生日会に来ると言っていたことをすっかり忘れていたのだと言うわけにもいかず、小言は黙って聞き流すしかなかった。間に合ったのだから、良かったではないか。
朱音は、到着してしばらくは赤璃の腕の中で大人しくしていたが、知らぬ場所で大勢の人間に囲まれて泣き出してしまった。
赤璃が慌てて朱音を抱いたまま部屋を出ていったが、朱実は、泣く子の側に自分がいても役には立たないと部屋に残ってしまった。で、延々と小言を聞かされる羽目になっている。
「しかし、堂々としたものだな」
「ふふん」
うちのちびはなかなかやるだろう?
「何故お前がそんなに嬉しそうなんだ?」
そりゃ、うちのちびが褒められたら嬉しいだろう? 何を当たり前のことを言ってんだ、この人は。
それより、そちらが問題だ。
「朱音は、もう少し外に出した方がいいのではないか?」
「ああ、それについては今、実感しているところだ。西賀の次期領主夫妻とご子息も、随分と堂々としたものだった」
いや、流石に少し焦っていたぞ。聞いてない、と言いたげな視線を俺に向けていた。確かに言っていない。何せ、俺も忘れていたからな。朱実に聞かれたら小言が増えそうだから、後で謝ろう。
まあ、俺に視線を寄越した後で、しっかり笑顔で皇太子殿下に挨拶する辺りは確かに素晴らしかった。
「いや。やはり、末良と西賀のご子息が特別なのではないか。こんな大勢の中でにこにこと楽しんでいられる赤子などそうそうおるまい」
「ふ。はは。知らんけど」
俺の知っている小さい生き物たちは皆、成人を筆頭に堂々としてやがるからなあ。
「全くお前というやつは」
せっかく機嫌良く成人とうちのちびの勇姿を見守っているというのに、隣からの小言がうるさい。
「開催時間が早くなるなら早くなるとすぐに連絡を寄越しなさい。私たちが常に早めの行動をする質だから間に合ったものの、すでに始まると聞いてどれだけ驚いたことか」
「あー、はいはい。悪かった悪かった」
朱実と赤璃、朱音も誕生日会に来ると言っていたことをすっかり忘れていたのだと言うわけにもいかず、小言は黙って聞き流すしかなかった。間に合ったのだから、良かったではないか。
朱音は、到着してしばらくは赤璃の腕の中で大人しくしていたが、知らぬ場所で大勢の人間に囲まれて泣き出してしまった。
赤璃が慌てて朱音を抱いたまま部屋を出ていったが、朱実は、泣く子の側に自分がいても役には立たないと部屋に残ってしまった。で、延々と小言を聞かされる羽目になっている。
「しかし、堂々としたものだな」
「ふふん」
うちのちびはなかなかやるだろう?
「何故お前がそんなに嬉しそうなんだ?」
そりゃ、うちのちびが褒められたら嬉しいだろう? 何を当たり前のことを言ってんだ、この人は。
それより、そちらが問題だ。
「朱音は、もう少し外に出した方がいいのではないか?」
「ああ、それについては今、実感しているところだ。西賀の次期領主夫妻とご子息も、随分と堂々としたものだった」
いや、流石に少し焦っていたぞ。聞いてない、と言いたげな視線を俺に向けていた。確かに言っていない。何せ、俺も忘れていたからな。朱実に聞かれたら小言が増えそうだから、後で謝ろう。
まあ、俺に視線を寄越した後で、しっかり笑顔で皇太子殿下に挨拶する辺りは確かに素晴らしかった。
「いや。やはり、末良と西賀のご子息が特別なのではないか。こんな大勢の中でにこにこと楽しんでいられる赤子などそうそうおるまい」
「ふ。はは。知らんけど」
俺の知っている小さい生き物たちは皆、成人を筆頭に堂々としてやがるからなあ。
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