1,179 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人
136 じいやの趣味 成人
しおりを挟む
「…………」
緋色は、俺の言葉にちょっと考えた。
「あー。順番間違ったか?」
「かもしれませんね」
「うち、ひとっ走り行ってきましょか? 先に食事? 昼寝?」
「お前はここから離れたら駄目だろう、鶴丸。間違えたことを言った責任を取って、俺が行こう」
「いや、殿下が行かれるまでもないですって。ここは俺が」
緋色と弐角、鶴丸が書類を置こうとしている。
何をどうしなくちゃいけないのか、俺にはさっぱり分からないんだけどさ。三人とも、ここから離れたら駄目じゃないかな。
「あのさ。俺が行くけど?」
「いや、成人は、もう少しそこにいろ」
常陸丸、なんで? 俺、ここにいても全然役に立たないよ? 緋色に抱っこされてるだけの人だ。来てすぐに抱きつかれたからさ。お茶も配れなかったよ。
「力丸、行け」
「いいの?」
「問題ない」
「うす」
力丸はお盆を手に、あっという間に歩き出した。
少し進んで戻ってきた。
「兄上、使用人用の風呂場ってどっちだった?」
「やっぱり俺が行くから、お前こっちやれ」
「うえ? 無理無理無理。ごめんなさい、ちゃんとします」
常陸丸のポケットから、折りたたんだ紙が出てくる。
「覚えろといったろう」
「使用人用の風呂の位置までとか、流石に……」
小さな紙にぎっちりと描かれているのは、この城の見取り図だ。すごーい。ひろーい。こんなの、覚えるのが大変だ。道を覚えるのが苦手な人なら、目的の場所に辿り着けるようになるまで大分時間がかかりそう。乙羽とかさ。力丸も、あんまり得意じゃないんだよね? 俺は割と得意だから、やっぱり俺も一緒に行こうか?
あ、緋色。あんまりぎゅってされると、見取り図が見えないー。
「うわあ。殿下んとこの人たち、やけにすいすい動き回っとると思ったらそういう……。恐ろしいことやで」
「じいさんやろ。九鬼の城も、とうに丸裸やもん」
鶴丸と弐角がその紙をちらっと見て、ぼそぼそしゃべっている。
「すみません、弐角さま、鶴丸さま。これ、じいさまの趣味で。その、複製は作っていませんので」
常陸丸が二人に頭を下げてるけど、じいやの侵入を防げなかったんだから仕方ないよね。
「ええよええよ。っていうか、複製作って、うちに欲しいんやけど」
「あ、まあ、そういやそうっすね。はい、了解です」
そんなことを言っているうちに、力丸がうんと頷く。
「うー、よし、何とか。とりあえず、行ってきます。水分取らせて、雑炊系の飯食わせて、風呂の前に昼寝か? その人たち、風呂の後の着替えとか持ってんのかな。その辺も調べないと」
うんうん。お風呂に入るのは、気持ちいいけど疲れるからね。たくさん疲れてる時にまずお風呂に入ったりしたら、ご飯食べずに寝ちゃうかもしれない。かもしれないじゃなくて、寝るな、きっと。俺なら寝ちゃう。
「力丸。目の下にくまがあるならお昼寝」
「おう、任せろ」
後は。あ、そうだ。
「緋色。座布団もふかふかのにしてあげよ」
「そうだな」
それから、もう少し、机の上を……片付けて……。
それと、俺、じいやと約束……。
緋色は、俺の言葉にちょっと考えた。
「あー。順番間違ったか?」
「かもしれませんね」
「うち、ひとっ走り行ってきましょか? 先に食事? 昼寝?」
「お前はここから離れたら駄目だろう、鶴丸。間違えたことを言った責任を取って、俺が行こう」
「いや、殿下が行かれるまでもないですって。ここは俺が」
緋色と弐角、鶴丸が書類を置こうとしている。
何をどうしなくちゃいけないのか、俺にはさっぱり分からないんだけどさ。三人とも、ここから離れたら駄目じゃないかな。
「あのさ。俺が行くけど?」
「いや、成人は、もう少しそこにいろ」
常陸丸、なんで? 俺、ここにいても全然役に立たないよ? 緋色に抱っこされてるだけの人だ。来てすぐに抱きつかれたからさ。お茶も配れなかったよ。
「力丸、行け」
「いいの?」
「問題ない」
「うす」
力丸はお盆を手に、あっという間に歩き出した。
少し進んで戻ってきた。
「兄上、使用人用の風呂場ってどっちだった?」
「やっぱり俺が行くから、お前こっちやれ」
「うえ? 無理無理無理。ごめんなさい、ちゃんとします」
常陸丸のポケットから、折りたたんだ紙が出てくる。
「覚えろといったろう」
「使用人用の風呂の位置までとか、流石に……」
小さな紙にぎっちりと描かれているのは、この城の見取り図だ。すごーい。ひろーい。こんなの、覚えるのが大変だ。道を覚えるのが苦手な人なら、目的の場所に辿り着けるようになるまで大分時間がかかりそう。乙羽とかさ。力丸も、あんまり得意じゃないんだよね? 俺は割と得意だから、やっぱり俺も一緒に行こうか?
あ、緋色。あんまりぎゅってされると、見取り図が見えないー。
「うわあ。殿下んとこの人たち、やけにすいすい動き回っとると思ったらそういう……。恐ろしいことやで」
「じいさんやろ。九鬼の城も、とうに丸裸やもん」
鶴丸と弐角がその紙をちらっと見て、ぼそぼそしゃべっている。
「すみません、弐角さま、鶴丸さま。これ、じいさまの趣味で。その、複製は作っていませんので」
常陸丸が二人に頭を下げてるけど、じいやの侵入を防げなかったんだから仕方ないよね。
「ええよええよ。っていうか、複製作って、うちに欲しいんやけど」
「あ、まあ、そういやそうっすね。はい、了解です」
そんなことを言っているうちに、力丸がうんと頷く。
「うー、よし、何とか。とりあえず、行ってきます。水分取らせて、雑炊系の飯食わせて、風呂の前に昼寝か? その人たち、風呂の後の着替えとか持ってんのかな。その辺も調べないと」
うんうん。お風呂に入るのは、気持ちいいけど疲れるからね。たくさん疲れてる時にまずお風呂に入ったりしたら、ご飯食べずに寝ちゃうかもしれない。かもしれないじゃなくて、寝るな、きっと。俺なら寝ちゃう。
「力丸。目の下にくまがあるならお昼寝」
「おう、任せろ」
後は。あ、そうだ。
「緋色。座布団もふかふかのにしてあげよ」
「そうだな」
それから、もう少し、机の上を……片付けて……。
それと、俺、じいやと約束……。
2,177
あなたにおすすめの小説
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる