【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第九章 礼儀を知る人知らない人

146 今日のお仕事  成人

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 朝早くから、お城の前には人や車がたくさん並んでいた。昨日、真中まなかと一緒に捕まえて城に留め置いた家臣たちの家臣が、様子伺いに来ていたらしい。朝早くから、というか夜から居たみたい。緋色ひいろが、夜は門を閉めておけ、対応しなくてよいってしたから、俺たちは夜は普通に寝ていた。皆、一日中すごく忙しかったからね。休息大事。本当に急ぎの用件以外は捨ておけ、って緋色ひいろは言った。急ぎの用件は対応するのか、すごいな、偉いな、緋色ひいろって思ったけど、朝まで誰も起こしに来なかった。門の前で夜通し対応してくれていた一ノ瀬に、本当に急ぎって判断された人はいなかったらしい。
 もし誰かが緋色ひいろを起こしに来たら、俺が頑張らなくちゃなって思ってた。緋色ひいろは寝起きが悪い、ってのはうちの人は皆知っているからね。それでも起こしにくるとしたら、本当にすごく大変な用事ってことなんだろう。少しでも、緋色ひいろがすっきり起きられるように起こすのは、俺の大事な仕事の一つだ。
 もちろん、それぞれの家に当てて、ちゃんと手紙は出してあった。壱鷹いちたか竹光たけみつの署名入りの文書。領主交代のこと、家臣たちの地位、権利を一時的に剥奪すること。一時的ってしたのは、もし仕事を手伝ってもらえそうな人がいたら元に戻すからだって。仕事は、本当にたくさんある。今まで、あの人数でやってたことを竹光たけみつ鶴丸つるまるだけでするなんてとても無理だから、できれば、今まで通りに仕事をしてくれたら助かるんだけど。昨日、本当に大変そうだったし。
 でも、あれは仕事が溜まってたから大変だったのかもしれないな。元々溜めずにちゃんと仕事をしていればあんなに大変じゃなかったのかも、って考えたら、仕事を手伝ってくれる人はあんまりいなさそう。してなかったから溜まってたんだもんね? もっとちゃんと仕事をしてくれる人を探してお願いしないと。
 俺は今日、俺たちのお風呂や布団の準備をしてくれた人たちみたいに、ここでこのまま仕事をしたいって言ってくれる人が他にもいないか、探して回ろうと思ってる。たくさん見つけることができたら、竹光たけみつ鶴丸つるまる玉鶴たまつる松吉まつきちたちの仕事を手伝ってもらえるから。緋色ひいろが書類仕事を手伝ったり、一ノ瀬やじいじ、じいやが門番や城の守りをしている今のままだと、俺たち、このままこの城に住まなくちゃいけなくなるからね。
 住まいは、近くの屋敷が準備できたらそちらへ移る、って竹光たけみつが言ってたけど、そんなのを準備する人手もない。西賀さいか国の家臣は西賀さいか国の仕事をしなくちゃいけないから、簡単に呼べない。竹光たけみつたちがいなくなった分の仕事が増えているから、余計に呼べないんだ。やっぱりここで、手伝ってくれる家臣を増やしていくしかない。国も城も大きいから、人手がたくさんいる。大変。
 とりあえず水瀬みなせを呼んで、屋敷を一つ整えてもらったらどうかな、って俺は思うんだけど。どう?
 あ、これじゃ俺たち、ますます帰れないか。
 
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