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第九章 礼儀を知る人知らない人
147 大丈夫 成人
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俺は心の中で、水瀬がいれば屋敷の支度がすぐに整うだろうなあって思っただけだったのに、そういうのって伝わってしまうものなのだろうか。
水瀬が来た。水瀬だけじゃない。鼓与も佐鳥も来た。ついでにその車には、三郎と壱臣と半助が乗っていた。運転していたのは、政巳だ。政巳が任務で外に出るなんて珍しい。政巳は、離宮にある頭領の部屋で手伝いをしていることが多い一ノ瀬なのに。背が高すぎて、隠密行動がしにくいのだと言っていた。
なになに? どういうこと?
「殿下。お呼びと伺い、九条三郎以下、取り急ぎ出られる者で参上仕りました」
三郎が代表で緋色に挨拶をする。背広を着て、背筋を伸ばして挨拶する姿は、堂々としていて格好良い。
緋色が呼んだの? ああ、昨日、朱実殿下にお手紙書いてたもんね。あれかな?
「は?」
違うみたいだ。
「兄上はなんと?」
「は。皇太子殿下は離宮までわざわざ足をお運びくださり、緋色殿下が手伝いを呼んでいらっしゃるから、こちらの仕事は一時預かる。行ける者は皆行け、と仰っていかれました」
「……」
「みんな?」
みんなって、みんな? 離宮の?
俺が聞いたら、三郎は、はいと頷く。あ、包拳礼はもういいよ。
軽く手を振ったら、すぐに分かって解いてくれた。
「みんな向かっとります。斎父上や乙羽さま、広末一家を乗せた車は、無理なく休み休み向かうとのことで、午後に着く予定です」
「乙羽も?」
黙ってしまった緋色の代わりに常陸丸が言った。
「は。殿下が呼ぶとは余程の事だろう、と乙羽さまも仰いまして。私も斎父上もそう判断致しました」
「……」
「殿下……?」
何か考え込んでいる緋色に、三郎の眉が下がっていく。大丈夫だよ、三郎。乙羽と斎と三郎が考えて決めたことなら、きっと合ってる。
「みんな来て良かったね。ね、緋色?」
壱鷹と弐角と橙々は帰ってしまったけれど、それよりたくさんの人が来た。三郎と斎がいたら、緋色はもう安心じゃない? 緋色が、苦手だーって言ってる書類仕事を手伝ってくれる家族たち。きっとすぐ終わるよ。
もしすぐに終わらなくても困らない。だって、みんな来る。みんな。家族が揃ったら、そこが家だ。きっと水瀬たちが、あっという間に屋敷を準備してくれるよ。そしたら、いつもと一緒。いつも通りに暮らして仕事をしたらいいだけだ。誕生日会も、ここでしちゃえばいい。鶴丸たちも一緒にね。
「おう」
ずっと何か考えていた緋色が、一つ頷いて言った。
「そうだな。朱実の指示だもんな。あいつがいいって言うなら、精々、好きなようにやらせてもらう」
にやって笑った緋色は、すごく格好良い。
ね、三郎? 大丈夫でしょ?
「いいんすかねえ、他所でこんな大っぴらに……。ほんとにこういう意味だったんすかねえ……」
常陸丸。朱実殿下がいいって言うならいいんだよ。たぶん。
水瀬が来た。水瀬だけじゃない。鼓与も佐鳥も来た。ついでにその車には、三郎と壱臣と半助が乗っていた。運転していたのは、政巳だ。政巳が任務で外に出るなんて珍しい。政巳は、離宮にある頭領の部屋で手伝いをしていることが多い一ノ瀬なのに。背が高すぎて、隠密行動がしにくいのだと言っていた。
なになに? どういうこと?
「殿下。お呼びと伺い、九条三郎以下、取り急ぎ出られる者で参上仕りました」
三郎が代表で緋色に挨拶をする。背広を着て、背筋を伸ばして挨拶する姿は、堂々としていて格好良い。
緋色が呼んだの? ああ、昨日、朱実殿下にお手紙書いてたもんね。あれかな?
「は?」
違うみたいだ。
「兄上はなんと?」
「は。皇太子殿下は離宮までわざわざ足をお運びくださり、緋色殿下が手伝いを呼んでいらっしゃるから、こちらの仕事は一時預かる。行ける者は皆行け、と仰っていかれました」
「……」
「みんな?」
みんなって、みんな? 離宮の?
俺が聞いたら、三郎は、はいと頷く。あ、包拳礼はもういいよ。
軽く手を振ったら、すぐに分かって解いてくれた。
「みんな向かっとります。斎父上や乙羽さま、広末一家を乗せた車は、無理なく休み休み向かうとのことで、午後に着く予定です」
「乙羽も?」
黙ってしまった緋色の代わりに常陸丸が言った。
「は。殿下が呼ぶとは余程の事だろう、と乙羽さまも仰いまして。私も斎父上もそう判断致しました」
「……」
「殿下……?」
何か考え込んでいる緋色に、三郎の眉が下がっていく。大丈夫だよ、三郎。乙羽と斎と三郎が考えて決めたことなら、きっと合ってる。
「みんな来て良かったね。ね、緋色?」
壱鷹と弐角と橙々は帰ってしまったけれど、それよりたくさんの人が来た。三郎と斎がいたら、緋色はもう安心じゃない? 緋色が、苦手だーって言ってる書類仕事を手伝ってくれる家族たち。きっとすぐ終わるよ。
もしすぐに終わらなくても困らない。だって、みんな来る。みんな。家族が揃ったら、そこが家だ。きっと水瀬たちが、あっという間に屋敷を準備してくれるよ。そしたら、いつもと一緒。いつも通りに暮らして仕事をしたらいいだけだ。誕生日会も、ここでしちゃえばいい。鶴丸たちも一緒にね。
「おう」
ずっと何か考えていた緋色が、一つ頷いて言った。
「そうだな。朱実の指示だもんな。あいつがいいって言うなら、精々、好きなようにやらせてもらう」
にやって笑った緋色は、すごく格好良い。
ね、三郎? 大丈夫でしょ?
「いいんすかねえ、他所でこんな大っぴらに……。ほんとにこういう意味だったんすかねえ……」
常陸丸。朱実殿下がいいって言うならいいんだよ。たぶん。
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