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21 暴走する正義
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「おい……!どういうことだ爺さん!」
老人より驚くべき話を聞いたその時、スクトさんが老人へ詰め寄った。
奴らを仲間へ引き渡し、俺達の様子を見にきたのだろう。
そんなタイミングで自身の父親がテロリストに加担しているという話を聞いたのだ。怒るのも無理はない。
「親父があいつらに兵器の情報を流したってのか!?冗談にしてもタチが悪すぎるぞ!」
「君は……そうか、あやつの息子か。残念ながら、本当だ」
そう言って、老人は手元にあった何かのスイッチを押す。
すると、
「真実を知りたいのなら、着いてなさい」
暖炉が横へずれ、地下へ続く階段が現れたではないか。
俺とスクトさんは互いに視線を交わし、着いてゆくことにした。
※
「ううっ、クソ!何なんだよあのガキは!」
「お頭、やっぱりおかしいですって。あんなのがいるなんて聞いてませんぜ」
その頃、ケイトたちによって無力化された件の襲撃者たち。首領格の男を中心に、拘束されたままぐちぐちと恨み節を吐いていた。
「おい、早く入れ」
そんな彼らを呆れつつも護送車へ入るよう促す隊員たち。
そこにまた一台、新たな護送車が到着した。
「ん、おかしいな。誰か呼んだのか?」
「いえ……」
暗闇の中近づいてくるライトの明かりを見つめつつ、互いに確認しあう彼ら。
結果、誰もあの車を呼んでいないことが分かった。
まさか、新たな敵襲か――?彼らは備えるべく、銃を構えた。
そしてドアの方へと銃口を向け、見据える。
しかし、その中から出てきた人物の姿に驚き、慌てふためいて頭も銃も下げることとなる。
「ちょ……長官!?」
「大変失礼いたしました!我々が長官へ銃を向けてしまうなど……!」
そう。そこに現れたのはカイセ・タダシ――彼らの組織の長であった。
全員そろって90度の礼を行い、陳謝する。
そんな彼らを見て、タダシが言った。
「頭を上げたまえ。敵襲に備えるのは当然のことだ」
「ハッ!もったいなきお言葉であります!」
「寛大なるお心遣い、感謝いたします!」
「さて、これで全員かね?」
「ハッ!左様であります!」
タダシは山賊たちを見据え、問う。そして――
「ご苦労だった」
そう言いつつ懐から銃を取り出し、近くにいた――
「がふっ……!?」
隊員の胸を打ち抜いた。そして素早くもう一人を銃撃、倒れ込むのを見届けぬままに次の隊員を狙う。
突然繰り広げられた悪夢のような光景にパニック状態となり、何もできなくなってしまう隊員たち。
そんな彼らを、タダシは無慈悲に銃殺してしまった!
「な……」
これにはさすがの山賊の頭も目を向き、タダシを見つめる。
自分の部下を何の躊躇もなく撃ち殺すなど、まともな感性でできるはずがない。
目の前に立つ男の恐怖におびえ、彼の下腹部にはいつの間にかシミができていた。
「さて」
そんなタダシは、一言呟くと今度は山賊の頭へと歩を進めた。
近寄る彼に、男は言う。
「そ……そうか、わかったぜ!アンタ、俺たちを助けに来てくれたんだろ!?あの時みたいにさ!」
恐怖で声を震わせながら、精いっぱいの虚勢を張る男。事実、彼らを脱獄させたのは他でもない、タダシなのだ。そこから考えれば、その解釈も理解できる。
が、現実は違った――
「う……!」
男の目の前まで来ると、あいさつ代わりと言わんばかりにまず男の部下へ銃弾をプレゼントするタダシ。
「な、何がしてぇんだあんたは!?自分の部下も、俺たちも殺して!」
「君が知る必要はない、と言いたいところだが――冥途の土産だ。少しだけなら教えてあげよう」
タダシは男の頭へ銃口を突き付け、言う。
「君たちはもう用済みという事さ。古き時代の《悪》、ガットネロ」
そして、引き金を引いた。
彼はその後も山賊たち――否、この場にいたガットネロの構成員全員を皆殺しにし、何処かへと歩き出していた。
「さて、計画を次の段階へと進めようじゃないか」
その方角は、先ほどケイトたちが向かった小屋の方向だった――
※
「うるっさいなぁ……誰だよもうこんな時間に……」
所変わって、キュリオのラボ。
しつこく鳴らされるブザーに辟易しながらも、応対すべく布団を出た彼女。
モニターを見ると、時刻は朝5時半を示している。
寝癖でボサボサになった頭を掻きながらキーボードを叩き、外周に取り付けられたカメラを確認する。
そこにはーー
「んげっ」
タダシの秘書である女性が映し出されていた。
思わず声が漏れるキュリオ。
その理由はーー
「おかしいなぁ、最近は何も起こしてないはずだけど……」
彼女がしょっちゅう研究において問題を起こし、その度本部へ呼び出されては咎められているためである。
完全に自業自得ではあるのだがーーそのお堅い雰囲気が、彼女にとってはどうしても耐えがたいものであった。
しかし、彼女の言う通り《最近は》何も問題を起こしていない。
では何故、長官秘書という重役がここへ来たのだろうかーー?
「仕方ない。今開けますよ、っと」
とはいえ、無視するわけにもいかない。
本部からわざわざ出向いてきた人間を無視すれば、今度はまた別の問題が起きてしまう。
トライ&エラーは上等だが、単なるトラブルは御免被るのが、彼女の信条だ。
とりあえず話は聞こうと、シャッターのロックを解除し、玄関へ向かう。
「どーも、ご足労様で。んで何用ですか、こんな時間に」
「シラベ・キュリオさん。これより貴女を拘束します」
「は?」
その突拍子もない宣言に度肝を抜かれ、口を開けたままフリーズするキュリオ。
そして数秒の硬直の後、彼女は言う。
「いやいやいやおかしいでしょう?何で僕が拘束されなきゃならないんです?そりゃあいろいろやらかしてきましたけど、そこまでの事はした覚えがありませんよ?」
「長官命令です。貴女に拒否権はありません」
「ちょっ、やっ、暴力はんたーい!やーめーてーぇぇぇぇ!」
両腕を後ろへ回され、そのまま廊下の奥へと連れていかれるキュリオ。
果たして、彼女の運命やいかに――?
老人より驚くべき話を聞いたその時、スクトさんが老人へ詰め寄った。
奴らを仲間へ引き渡し、俺達の様子を見にきたのだろう。
そんなタイミングで自身の父親がテロリストに加担しているという話を聞いたのだ。怒るのも無理はない。
「親父があいつらに兵器の情報を流したってのか!?冗談にしてもタチが悪すぎるぞ!」
「君は……そうか、あやつの息子か。残念ながら、本当だ」
そう言って、老人は手元にあった何かのスイッチを押す。
すると、
「真実を知りたいのなら、着いてなさい」
暖炉が横へずれ、地下へ続く階段が現れたではないか。
俺とスクトさんは互いに視線を交わし、着いてゆくことにした。
※
「ううっ、クソ!何なんだよあのガキは!」
「お頭、やっぱりおかしいですって。あんなのがいるなんて聞いてませんぜ」
その頃、ケイトたちによって無力化された件の襲撃者たち。首領格の男を中心に、拘束されたままぐちぐちと恨み節を吐いていた。
「おい、早く入れ」
そんな彼らを呆れつつも護送車へ入るよう促す隊員たち。
そこにまた一台、新たな護送車が到着した。
「ん、おかしいな。誰か呼んだのか?」
「いえ……」
暗闇の中近づいてくるライトの明かりを見つめつつ、互いに確認しあう彼ら。
結果、誰もあの車を呼んでいないことが分かった。
まさか、新たな敵襲か――?彼らは備えるべく、銃を構えた。
そしてドアの方へと銃口を向け、見据える。
しかし、その中から出てきた人物の姿に驚き、慌てふためいて頭も銃も下げることとなる。
「ちょ……長官!?」
「大変失礼いたしました!我々が長官へ銃を向けてしまうなど……!」
そう。そこに現れたのはカイセ・タダシ――彼らの組織の長であった。
全員そろって90度の礼を行い、陳謝する。
そんな彼らを見て、タダシが言った。
「頭を上げたまえ。敵襲に備えるのは当然のことだ」
「ハッ!もったいなきお言葉であります!」
「寛大なるお心遣い、感謝いたします!」
「さて、これで全員かね?」
「ハッ!左様であります!」
タダシは山賊たちを見据え、問う。そして――
「ご苦労だった」
そう言いつつ懐から銃を取り出し、近くにいた――
「がふっ……!?」
隊員の胸を打ち抜いた。そして素早くもう一人を銃撃、倒れ込むのを見届けぬままに次の隊員を狙う。
突然繰り広げられた悪夢のような光景にパニック状態となり、何もできなくなってしまう隊員たち。
そんな彼らを、タダシは無慈悲に銃殺してしまった!
「な……」
これにはさすがの山賊の頭も目を向き、タダシを見つめる。
自分の部下を何の躊躇もなく撃ち殺すなど、まともな感性でできるはずがない。
目の前に立つ男の恐怖におびえ、彼の下腹部にはいつの間にかシミができていた。
「さて」
そんなタダシは、一言呟くと今度は山賊の頭へと歩を進めた。
近寄る彼に、男は言う。
「そ……そうか、わかったぜ!アンタ、俺たちを助けに来てくれたんだろ!?あの時みたいにさ!」
恐怖で声を震わせながら、精いっぱいの虚勢を張る男。事実、彼らを脱獄させたのは他でもない、タダシなのだ。そこから考えれば、その解釈も理解できる。
が、現実は違った――
「う……!」
男の目の前まで来ると、あいさつ代わりと言わんばかりにまず男の部下へ銃弾をプレゼントするタダシ。
「な、何がしてぇんだあんたは!?自分の部下も、俺たちも殺して!」
「君が知る必要はない、と言いたいところだが――冥途の土産だ。少しだけなら教えてあげよう」
タダシは男の頭へ銃口を突き付け、言う。
「君たちはもう用済みという事さ。古き時代の《悪》、ガットネロ」
そして、引き金を引いた。
彼はその後も山賊たち――否、この場にいたガットネロの構成員全員を皆殺しにし、何処かへと歩き出していた。
「さて、計画を次の段階へと進めようじゃないか」
その方角は、先ほどケイトたちが向かった小屋の方向だった――
※
「うるっさいなぁ……誰だよもうこんな時間に……」
所変わって、キュリオのラボ。
しつこく鳴らされるブザーに辟易しながらも、応対すべく布団を出た彼女。
モニターを見ると、時刻は朝5時半を示している。
寝癖でボサボサになった頭を掻きながらキーボードを叩き、外周に取り付けられたカメラを確認する。
そこにはーー
「んげっ」
タダシの秘書である女性が映し出されていた。
思わず声が漏れるキュリオ。
その理由はーー
「おかしいなぁ、最近は何も起こしてないはずだけど……」
彼女がしょっちゅう研究において問題を起こし、その度本部へ呼び出されては咎められているためである。
完全に自業自得ではあるのだがーーそのお堅い雰囲気が、彼女にとってはどうしても耐えがたいものであった。
しかし、彼女の言う通り《最近は》何も問題を起こしていない。
では何故、長官秘書という重役がここへ来たのだろうかーー?
「仕方ない。今開けますよ、っと」
とはいえ、無視するわけにもいかない。
本部からわざわざ出向いてきた人間を無視すれば、今度はまた別の問題が起きてしまう。
トライ&エラーは上等だが、単なるトラブルは御免被るのが、彼女の信条だ。
とりあえず話は聞こうと、シャッターのロックを解除し、玄関へ向かう。
「どーも、ご足労様で。んで何用ですか、こんな時間に」
「シラベ・キュリオさん。これより貴女を拘束します」
「は?」
その突拍子もない宣言に度肝を抜かれ、口を開けたままフリーズするキュリオ。
そして数秒の硬直の後、彼女は言う。
「いやいやいやおかしいでしょう?何で僕が拘束されなきゃならないんです?そりゃあいろいろやらかしてきましたけど、そこまでの事はした覚えがありませんよ?」
「長官命令です。貴女に拒否権はありません」
「ちょっ、やっ、暴力はんたーい!やーめーてーぇぇぇぇ!」
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