チートスキル『学習(ラーニング)』で異世界最強 ~Malice・Awaking~

さぼてん

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EX④ 15.5 閑話・一夏の思い出

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そして、更に数刻後――

「お、帰って来たな……っ!?」

ケイトの帰りを待つスクトは、ケイトの姿を遠くに見つけたのだがーー同時に驚愕し、飲み物を吹き出していた。
何故か?それはーー

「スクトさん!キュリオさん見つけましたよ!」
「ごめん、いろいろあってね」
「ただいま戻りました、スクト様」
「「「我らもここに!!!」」」

人数が明らかに増えていたためだ。
しかも、異様な風貌の男達までいるとなれば尚更だ。

「ゲホゲホっ!オイ、何なんだコイツら!?」
咳き込みつつも、ケイトへ問うスクト。

「それがーーかくかくしかじかで」
手短にキュリオらの身に起きた出来事を説明するケイト。
「……な、なるほどな?」
首を捻りつつも、返すスクト。

「けど、何でソイツらがここにいやがる。それにそこの女は誰だ」
「あれ、気づいてないのかい?」
「は?」

またも質問を投げかけるスクトであったが、キュリオはきょとんとした瞳で彼を見つめ、そう言った。
そしてーー









「彼女はマリスだよ?」
さも当たり前のように、衝撃の一言を放ったのだ。

「おい何言ってやがる。マリスって言やあの魔法具に入ってる……その、何だ、アレ」
「人工知能」
「そう、人工知能だろ。それが何で人間の姿になってんだ」
「ふふふ、僕を誰だと思っているんだい?世紀の天才、キュリオ様だよ?」

眼鏡を光らせ、不敵に笑うキュリオ。

「僕の開発した試作方の人型自律兵器のサンプルに、彼女をインストールしたのさ。そして《生成》の能力を応用して人間の見た目を取らせた、と言うわけだよ」
「お前、いつの間に……つーか、大体何でそんなもん持って来てんだよこのマッドめ」

呆れた風に吐き捨てるスクト。そんな彼に、キュリオは続ける。

「何、一人見ているだけと言うのもつまらないだろう?なら肉体を得て、一緒に楽しめた方がいい思い出になるとは思わないかい?」
「それに見たまえ」

そう言う彼女が指差す先にいたのはーーケイトとマリス。

「マリス……君とこうしていられるなんて、なんか不思議な気分になるよ」
「?」
ケイトの言葉に、小首をかしげるマリス。
「はは、嬉しいや。よし、今日は楽しもうな!」
「はい、マスター」

「あの微笑ましい光景……実に素晴らしいとは思わないかい?」
「まぁ、な、うん。……アイツが幸せそうならそれでいいが……」
半ば無理矢理自身を納得させるスクト。
そして視線を戻しーー

「で、お前らは何なんだ!」

並び立つ異様な風体の3人組へと叫んだ。

「拙者らはぁ、旅の者にぃ、ござりまするっ!」

真ん中にいた男――おそらく次男――が見栄を切りつつ言う。

「そのまどろっこしい喋りはともかくとして……何でソイツらと一緒にいるんだ」

その言葉に、すかさずスクトの耳へ顔を近づけるキュリオ。
そしてスクトは暫しふんふんと頷くとーー

「何だと!?」

突如怒声を放ち、三人組を睨みつけた。

「テメェら、人のツレに手ぇ出そうとはいい度胸だ!」
「まーまーまー、落ち着きたまえよ。もう和解は済んだんだから」
「それはそれだ!個人的に許せねぇ!」

激昂し今にも3人に殴り掛からんとするスクトを、キュリオが諌める。
数分のやりとりの後、ようやく怒りを鎮めたスクトだったがーー

「……チッ、変な動き見せたらタダじゃおかねえぞ」
どうやら、納得とはいかなかった様である。

「そういや君達、お楽しみがどうとか言っていたね?」
そんな空気を変えようと、キュリオが話題を振る。
その言葉に、ハッと顔を見合わせる三兄弟。
そしてーー

「おお、そうであった!兄者、アレを」
「うむ!」

三男の言葉に、次男が頷く。
そうして彼は、念を込めるように目を瞑るとーー

「むむむ……!キェェーーーイッ!」

奇妙な叫び声を発した。

そうするとなんと、空間に歪みが生まれ、何かが現れたではないか。

「これっ、て……」
それは大きく。
「ああ……」
そして丸く。

現れた物体の正体が信じられず、目をパチクリとさせる二人。
それはーー何の変哲も無い食物であったのだから。

「「スイカ?」」

そう。それは正しくスイカであったのだ。
大玉で身の詰まった、夏の風物詩。
しかし何故、彼らは大層にこんな物をーー?
不思議に思う二人をよそに、三兄弟は盛り上がりを見せていた。


「では、これよりお楽しみ!」
「スイカ割りを取り行うっ!」
「あ、スイカ割りっ!」

次男が音頭をとり、長男が宣言し、三男が囃し立てる。

「……もしかして、僕達スイカ割りのために連れ去られたのかい?」
「あの様子だと……そうだろうな」
「えぇ……」
自分があんな事のために危機に晒されたのか、と思うと情けなくなり、頭を抱えるキュリオ。
彼女の肩を、気にすんなとばかりに軽く叩くスクト。

「ささ、其方らもご一緒に」
「うむうむ、それがいい」
「さぁさ、此方へ」
そんな彼らの反応は一切気にしない様子で、声をかける次男。

三男が2人の手を引き、スイカの正面へと連れてゆく。

「さぁ、どちらのお方が挑戦しなさる?」
「んじゃ僕はパス」
「オイ!?俺はスイカ割りなんぞ……」
「ぐるぐる……あ、それぐるぐる……」
「おわっ、やめ、ちょっ」

さりげなくスクトの背を押し、回避するキュリオ。
ツッコミを入れる暇も無い程にたちまち目隠しをされ、体を回転させられるスクト。
その手に棒が握らされ、ようやく腹が決まったのか、

「あー、ったく!こうなったらとことんやってやろうじゃねぇか!!」

半ばヤケクソ気味に、彼は叫んだ。



「どぅああああっ!?」

バシャン、と言う音。立ち上る水柱。それに、スクトの絶叫――

「ッアハハハハハ!」

そして、大爆笑するキュリオ。

あれから数分――未だにスイカは無傷。
スクトはというと……もう既に3度は海へと顔面ダイブを決めていた。
主にーー

「ッヒィ、ヒィ……傑作……」

彼女のせいで。
キュリオは3度ともスイカとは違う方向を指定し、スクトを技と海へ突っ込ませて楽しんでいたのだ。
腹を抑えてなおも笑い続ける彼女の姿に、
「テメコラッ、キュリオォ!わざとやってんだろ!」
キレるスクト。当然である。

「クスクス、今頃気づいたのかい?……ププッ」
「こんのヤロ……もっかいだ!もっかいやってやらぁ!」

「その意気やよし!」

そうして、もはや引き下がれなくなったのか再びスイカ割りへ挑むスクト。

こうして時間は過ぎてゆきーー

「いやぁ、実に楽しかった!いい気分転換になったよ」
「そりゃようございましたねぇ、ったく……」
「まぁまぁ、いいじゃないですか。楽しかったのは事実ですし」
「マスターの言う通りです。私も楽しい、と言う感情をラーニングできました」

すっかり日も落ちた夕暮れ時。
海岸を眺めながら語らうケイトたち。
約一名、不貞腐れているが……
結局あの後、彼は追加で3度海へ突き落とされたのだった。
故に、少し不機嫌なスクト。
しかし、そんな彼の口から漏れた

「……誰も楽しくなかったとは言ってねぇよ」
その言葉に、
「まったく、素直じゃない男だねぇ君は」
そう返すキュリオ。

「誰のせいだと思ってんだ!?」
「アハハハハハ!」
「このヤロ待ちやがれっ!」
「ほらほら、捕まえてごらんよ!」
「上等だコラーッ!」

砂浜を走り、駆け出すスクト達。

「おー、何か青春って感じ……」

それを見つめながら、感心したような声を出すケイト。
そんな彼にーー
「マスター」
マリスが話しかける。

「どうしたのマリス」
「私から一つ、提案が」
マリスが自発的に提案するなんて珍しいな、とそう思いつつ、
「提案って?」
返すケイト。
果たして、彼女の提案とは?
少し間をおいて、マリスが口を開く。

「写真を撮りませんか?」と。

「写真……いいねそれ」

「写真なら、ドローンを使おう。僕の白衣の中に、コントローラがあるからさ……ぐぇっ」
結局すぐにスクトに捕まり、ヘッドロックをかけられながらも言うキュリオ。
彼女の言葉通りシートの上に置かれた白衣の中を探ると、コントローラが入っていた。
ケイトはそれを操作しーー

「それじゃあ、撮りますよ!」

パシャリ。

一夏の思い出を、そこに残した。



「では、我々はこれにて」
「えぇ、楽しかったです。ありがとうございました」
「うむ。またどこかで出逢えれば、その時は」
「楽しみにしてますよ」

それから更に数時間後。
すっかり月も昇った頃、三兄弟との別れの時間が訪れた。

彼らは名残惜しそうにしつつも言葉を交わしーー

「では、再び縁があらんことを!」
「さらば!」
「お達者で!」

そう言い残すと、何と頭上に現れた発光体へと吸い込まれーー空へと消えていった。

「……え?」
あまりに衝撃的な光景に、言葉を失うケイト。
全員が同じで、暫く黙り込んだ後ーー

「……物体の解析完了。あれは100%の確率で、U.F.Oです」

マリスが呟いた。

「「「ええええええーーーっ!?」」」

それを皮切りに、絶叫をハモらせる三人。

後にキュリオは言ったというーー「髪の毛の一本貰っとくんだった」と。

そんなこんなで過ぎた、一夏の時間。
ケイトは思う。

この先いつまでも、こうやって笑い合っていたいな、とーー
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