不安になるから穴をあけて

森 うろ子

文字の大きさ
13 / 22

13

しおりを挟む
「ふっ、あ、んんっ。……あっ、やっ、もうだめ……、茉莉、イク、あっ、イっちゃう。…っあぁぁぁっ‼︎」

はぁはぁと荒い息を整えている途中に茉莉がキスをしてくる。

「ーーっはぁ、………ま、茉莉、苦しい…。」

「苦しいくらいが好きなくせに。」

何度も茉莉にイかせられて涙目になって訴えているのに茉莉は取り合ってくれない。イキすぎてもう苦しい。気持ちいいけど苦しい…。

「うあっ、あっ、んんっ!」

乳首を舐められたかと思えば、また俺のぬかるんだ後孔にゆっくりと茉莉のものが入ってくる。気持ちよくて、苦しくて、訳が分からなくて茉莉の背中に手を回し縋り付く。

「つらいの、玲?」

茉莉が動くのをやめて俺の額の汗を拭ってくれる。苦しくて閉じていた目をゆっくりと開けると心配そうに俺を覗き込む茉莉がいる。

「…っつらいって言うか……気持ち良すぎて…。」

俺の言葉にどこか安心したような顔をする茉莉。

「じゃあ、最後。一緒にイこ。玲。」

そう言って、優しく俺のことを抱きしめるようにして動く茉莉。望んだことなのに最後と言われると寂しくなった。軽く揺さぶられているだけなのに気持ち良すぎてイったばかりなのにまたすぐイキそうになる。

「あっ、ん。……やっ、またっ。……っはぁ、あっあっ、茉莉っ、茉莉っ、あっ、やっ、あぁぁ‼︎」

俺が果てるのと同時に茉莉のものが俺の中にトクトクと注がれる。長くて、多い、アルファ特有のものにお腹が苦しくなってくる。お腹は苦しいはずなのに、なんだか満たされる感じが心地よくて俺はそのまま寝てしまった。寝ている俺の頭を茉莉が撫でてくれたような気がして、俺はひどく安心した。


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「はぁ、この部屋とももうお別れか。広くて気持ちがいいベッドが最高だったな…。」

 次の日の昼頃に目が覚めると茉莉はすでに起きていて、豪華な軽食が溢れんばかりにのっているダイニングテーブルで果物をつまみながらニュースを見ていた。「やっと起きたか。」と声をかけられるままに俺ものそのそとダイニングテーブルへ向かいながら先の言葉を寝起きのぼんやりとした頭で呟く。

「いい部屋だっただろう。玲には勿体ないな。」

ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべたまま、意地の悪いことを言う。もう昨日までのように甲斐甲斐しく俺のことを抱き上げて食べ物を運んでくれる茉莉はいないらしく、大人しく茉莉の向かいの席に座り俺も果物をつまむ。

「茉莉にもまだ分不相応だろ、こんないい部屋。」

「俺ほどのアルファに何言ってんだか。玲ぐらいだぞ、俺の価値を理解してない奴。」

「茉莉こそ何言ってるんだか。ただの同級生だろ。」

茉莉がどれだけすごいアルファでも、俺からすれば結局はただの同級生なのだから、俺に不相応なものは茉莉にも不相応なはずだ。…嫌なほどにこの部屋に茉莉が馴染んでいたとしても。

俺の言葉に目を見張ったかと思えば、不敵な笑みを浮かべる茉莉に見てはいけないものを見てしまったかのように感じて、そのままこの会話は終わりにして目の前の果物を頬張る。

「そろそろ帰るか。」

不意に茉莉が声をかけてくる。

「え?」

「いや、もう飯も食べてダラダラしたし、発情期ヒートも終わったし、やることやってすることないだろ。」

「そりゃ、まぁ、そうだけど…。」

「なに?いい部屋すぎて自分のボロアパートに帰るのが嫌になった?」

「失礼だろ、俺の部屋に。別にそんなんじゃねぇけど…まぁ、帰るか…。」

少しだけ寂しいと思ってしまったのは、ずっと茉莉と一緒にいたからだ。思ったよりも呆気なく終わりを迎えた発情期ヒートに俺はがっかりしている。茉莉に何を期待していたのか…。

茉莉にあけられたピアスを触りながらごにょごにょと口籠もっていると茉莉が立ち上がって腕を引いてきた。

「あんま触ってると傷が感染するぞ。ほら、帰りたくねぇ気持ちもわかるけどさすがに明日から大学行かなきゃだろ。」

「わかってるよ。」

ここでごねても、どうせすぐにあのアパートに帰らないといけない。アパートに帰るのが嫌なのではなく……、こんなこと言ってもどうしようもないかと思い直し、部屋を出る茉莉の後ろ姿を追う。

 俺の肩を抱き寄せて「発情期ヒートセックス気持ち良かったな。」なんて冗談まじりに笑顔で言う茉莉はやっぱり最低で、そんな茉莉を振り払えない俺も、どうかしている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

処理中です...