【R18 恋愛 OL 同居】年下イケメンの彼に毎日焦らされてます

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藤澤君の部屋

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藤澤君の後に続いて部屋に入った。藤澤君の部屋の玄関は新築のマンションの香りと柔軟剤の香りが混ざった香りがした。

「あの、少しだけ待っててください」

 そう言うと藤澤君は廊下を進んで目の前に見えていたドアを開け、リビングに入った。ドアの奥からバタバタと藤澤君が動き回る音がしている。恐らくリビングに置いてあった身の回りのものを片づけているのだろう。

 築三年くらいだろうか、想像していたよりも遥かに立派なピカピカのマンションだった。リビングへの扉に続く二メートルほどの廊下の途中の左側にドアが二つ、右側にドアが一つあった。そのうち二つがトイレと風呂で、もう一つが寝室、あるいは藤澤君が先ほど言っていた物置になっているという部屋だろう。

「すみません、お待たせしました。お茶でも飲みます? あ、それとも、風呂、使います? 」

 そう自分に投げかけられる言葉を現実感なく聞いている自分がいた。

 まさかあの藤澤君のマンションの部屋に来て、『シャワー使う?(意訳)』なんて聞かれる日が来るなんて。

 ……まあ実際のシチュエーションはかなり滑稽だけれど。せめてこうして心の中でだけでもおどけていないと、あまりの緊張で心臓が口から飛び出しそうだ。

「あ、えーと、お茶、もらってから、お風呂、借りて……いいかな? 」

「わかりました! 」

 私は促されるまま遠慮がちにリビングに入った。ダイニングを兼ねたリビングの広さは八畳ほどだった。白を基調とした床と壁にナチュラルテイストの家具が並んでいる。

 リビングの隣には、仕切り戸でつながった洋室があり、仕切り戸の隙間から薄いブルーの布団がかかったベッドが見えていた。廊下につながるドアのすぐ右手は一人暮らしには広めのカウンターキッチンになっていた。

 私はキッチンカウンターに寄せるように置かれた小ぶりのダイニングテーブルに腰掛け、藤澤君が淹れてくれた緑茶を飲んだ。

「結構渋い飲み物、常備してるんだね」

「俺、結構おやじ趣味かもしれません」

 そう言いながら藤澤自身は椅子に腰かけることなく、バタバタとリビングと廊下を行ったり来たりしている。

「これ、バスタオルとか使ってください」

 そう言われ藤澤君からタオルを手渡された。藤澤君の家に入ったときに感じた柔軟剤の香りがさらに強く香った。

「部屋は廊下の左側のドアが寝室です。布団敷いておきましたから使ってください。俺のことは本当に気にしないでもらっていいんで! じゃ、おやすみなさい」

 そう言うと藤澤君はリビングの隣の洋室に入っていった。さっさと姿を消したのは、私に気を遣わせまいとしてのことだろうか。

 藤澤君がいなくなった後、シャワーを借りて布団に入ったけれどなかなか寝付けなかった。

 部屋のそこら中に藤澤君の匂いと気配がある。藤澤君が貸してくれた部屋は本当に物置と形容されるのがふさわしい類の殺風景な部屋で、四畳半ほどの部屋に布団といくつかの衣装ケースが置かれただけの部屋だった。

 リビングも物が少なかったし、部屋全体がいかにも男の人の部屋という感じがした。そんなことをつらつらと考えているうちに、私は深い眠りに落ちていた。





 翌朝九時頃目覚めて、身支度をした後リビングに行くと藤澤君はすでに起きていて、ダイニングテーブルの上には私の分の朝食だけが残されていた。朝食は目玉焼きとトーストだった。目玉焼きはすごく上手に焼かれている。

「おはようございます。ちゃんと眠れました?」

 無料で泊めてもらった上に、朝から美味しそうな朝食とイケメンの優しい笑顔に迎えられている。これは何かの夢なのかな? 

「こんな贅沢していいのかな?」

 そして無意識のうちに心の声が口から出てしまっていた。

「え?」

「あ、なんでもない。あの、昨日はほんっとーにありがとうございました!」

 私は藤澤君に改めてお礼を言って、深々と頭を下げた。

「え、そんな、頭上げてください。それより、ご飯食べたら行きましょうか。とりあえず管理会社に電話してみましょう」

「あ、うん、そうだよね」

 私は急いで朝食を食べ始めた。朝食を食べながら、藤澤君の姿をついちらちらと見てしまう。初めて見る藤澤君の私服だった。白いボタンダウンのシャツに、紺のセーターにジーンズというシンプルな服装がよく似合っている。

 朝食を終えて、さあこれから管理会社に電話をすればようやく問題が解決して家に帰れる、と思ったのも束の間、電話口で管理会社の担当者から知らされた事実は驚くべきものだった。
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