『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

姜維信繁

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第14話 『入学式と新たな敵』

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 1985年(昭和60年)4月8日(月) 五峰町立南中学校 <風間悠真>

 毎回このイベントっていうのは退屈でしょうがないな。入学式、卒業式、始業式、終業式。まったくなんの感情も起きなかったし、今世でも起きない。

 好きな先輩が卒業する時に女子がその先輩からボタンをもらったり、泣いている姿を見かけたことはあっても、自分が感じた事はない。
  
 される側になった記憶もないので、単なる人生の通過点にしか思えなかった。

 唯一高校の卒業式では、はじめて全く知らない世界に自分一人で飛び込んでいく感覚があった。だから期待・不安・喪失感・焦燥感……いろんな感情がごちゃ混ぜになった記憶はある。

 今世は、どうだろうか?




 あの後、入学までの約2週間だが、オレは練習に明け暮れた。

 去年の夏にはじめて、小遣いとバイト代としてじいちゃんから金をもらって佐世保に行ったのだが、最近は家の農作業の手伝いをするように、あまり言ってこなくなった。

 言わなくても金をくれるようになったのだ。
  
 通知表の内申(?)は別として成績はよかったし、家の手伝いもやってきたが、最初のように『働かざる者食うべからず』という雰囲気は、ない。

 なんというか、ざっくり言えば、先行投資のような感覚でお金をくれるようになった。それでもオレは100%貰うのは気が引けたので、長期の休みの際は週に2~3日は手伝うようにしていたのだ。

 じいちゃん、どうした? なんにしても、感謝です。

 あの3人はオレの家に遊びにきてギターの練習を見たい、と言ってきたのだが、断固としてそれは断った。男と女としては別に下にいるつもりはなかったのだが、オレん家は古く、子供ながらに恥ずかしいと思っていたのだ。

 だから、断った。


 

 キスをしたのは凪咲なぎさだけなのだが、凪咲はその性格とも相まって、あの夜以降は妙に積極的なのだ。

 で、もし3人の気持ちがオレの予想通りなら、純美と美咲はオレとキスをしたいに違いない。うぬぼれかもしれないが、そう考えないとこれまでの行動の理屈が成り立たないのだ。

 実際に美咲と純美がどう思っているかはわからない。しかしキスの事実が疑惑として残っている以上、純美と美咲とも、凪咲と同じようにキスをしておくべきだとオレは考えた。

 それも早い内に。

 1学期中には3人とも同じように、横並びになるようにやってしまおうと言うわけだ。その辺のタイミングは考えよう。




 ■入学から~数日間

 入学式当日は、式が終わってクラス分けが行われた。といっても2クラスしかない小さな小さな中学校だ。オレ達の小学校と、隣とその隣の地区の小学校が集まっただけである。

 これはやっぱり前世も現世も変わらない。オレは1年2組になったが、あーいるいる。どいつもこいつも見た事ある顔だ。とりあえず2組は何の変更もないみたいだな。

 全員が順番に前に出て自己紹介をした。よくしゃべる転校生のようではなく、みんな一言名前を言うだけだ。オレは別に目立つつもりもなかったから、同じように名前だけ言った。

 担任の先生である山口美佐子が初日に日直を決めて、先生の指示に従って日直が学級委員や他の委員を決めていく。担任の山口美佐子は長崎大学の教育学部を卒業したばかりの新人の先生だ。

「はーい、じゃあ日直の仕事は小学校とあまり変わらないけど、黒板の横に貼っておきます。クラス名簿も貼っておくので、1日の終わり、6時間目が終わったら片付けの時に明日の日直、男子は男子、女子は女子の次の人の名前を黒板に書いて置く事」

 うーん、なんだか懐かしいねえ。学級委員には立候補はしなかった。多分今後も一切しないだろう。オレの将来のプラス要素としては弱すぎるからだ。

 この先生は新人ってこともあるんだろうけど、何にしても一生懸命だった記憶がある。身長は平均的? かな。ああそれからオッパイがでかかった。

 それはなんだか強烈に覚えている。
  
 恥ずかしながら男子中学生の記憶なんてそんなもんだ。総じて、いい先生だったとは思う。怒るときは怒ったし、小学校のくそ差別女教師より……いや、比べたら失礼か。

 いい印象だった。




「せんせーい! この精通ってなんですか?」

 保健体育の授業の保健科目で誰かが言った。体育の先生だった川田先生(男)が苦笑いをする。この先生も若い。山口先生の一つ上だ。

「そこはまだ今日の授業範囲じゃないだろう? 教科書を先読みするんじゃない!」

 先生は話をそらして先へ進もうとするが、生徒は容赦しない。

「先生はいつ精通しましたか~? どんな感じでしたか~?」

 その生徒の発言の度に、おおお! という歓声があがり、先生も観念したのか、話し出した。

「先生は中2の時、君たちの1つ上の歳に経験した。最初はなんじゃこりゃ? って感じでよくわからなかったよ」

 またおおお! という歓声が上がり、教室全体で盛り上がる。オレはといえば、51脳がまるで自分の息子の成長を見るような感覚で、達観した気分で見ている。




「なあ悠真、お前、どうだ? その精通って、……あったか?」

 隣の席の康介だ。……こいつだきゃあ本当に。
  
 まあいいか。正人は許さんが、他の面子は許す事にしたのだから。ちなみに美咲も純美も凪咲も、隣の1組だ。3人は残念がったが、こればっかりは仕方がない。

 オレはため息をついて言う。

「精通……射精ね。射精どころか毛も生えてるよ。オナ○ーもした」

 えええええええ! 康介の叫び声が響き、教室中が康介に注目する。

 51脳の淡々とした対応が、康介には信じられなかったのだろう。いや、その事実が驚きだったのか。その時点で康介がどうだったのかは知らんし、知りたくもない。

「みんな~! こいつ精通あったってさ! オナなんとかもするってさー!」

 康介! こんくそがきゃあ! あああ、しまった。しまったぞ。我が人生(2回目)最大の失敗だ。なんでそんなこと言うんだよ。12脳が51脳に文句を言う。

(すまん)

 こうなりゃ開き直るしかない。

 ふと正人を見ると、ニヤニヤ笑っている。まさかコイツが画策した? ……まさかな。

 オレが言ったことはごく自然な事で、なんら不思議ではない。違法でもなければ誰に迷惑をかけるものでもない。心配なのはこの噂(事実なのだが)が男子ではなく、女子に広まってオレの立場が悪くなることだ。

 そうなるとオレの野望が遠のく。

 内容はともかく、この叫び声は隣の女子にも聞こえただろう。後々、アレ何だったの? なんで盛り上がっていたの? という話で伝わらないだろうか?

 オレの心配な点はそこだ。特にあの3人に漏れるとやっかいというか、普通に恥ずかしいだろう……。なあ、12脳よ?

 逆に言えば、それ以外は別に何の問題もない。




 いじめっ子というのは、虎視眈々こしたんたんと獲物を狙っている。そう書けばかっこいいかもしれないが、決して猛禽もうきん類のそれでもないし、ライオンや虎が獲物を仕留めるのとは全く違う。

 要するに自分と同等な者、強い者には決して手は出さないのだ。いわゆる(弱い者)イジメであり、真の強者はターゲットには絶対にならない。

 こいつの周りに人はいるか?
 こいつと周りの会話の内容と状態は?
 こいつの扱われ方は?
 こいつの交友関係は?
 こいつのカーストランクは?

 そういう様々な情報を収集して、自分が勝てて、なおかつ周りの批判もない、影響力のない相手がターゲットとなるのだ。
  
 要するにイジメても誰も止めないし、誰も先生に告げ口しない、そういうヤツを見つけ出していじめるのだ。

 ある日オレは日直で、後ろの席から黒板に向かって歩いていた。

 そいつの席の横を通った時だ。

「うわっ」

 オレは転びそうになったのを立て直し、何かに引っかけられたのに気付いた。隣の小学校から来た、遠山修一だ。オレはため息をついた。
  
 やっぱり正人みたいな人間はどこにでもいるんだな。

 そう思った。

 オレは修一を見たが、すぐに黒板に向かって行って作業をした。
  
 この時点では別に何の問題もないというか、クラスが騒ぎになるような事でもない。何かの間違いで足が足に引っかかった、で済む。

 しかし、それが2、3回続いた。

「何だよ」

「何が?」

 いい加減面倒くさかったから、オレは修一に言った。ああ、今でも思い出す。あの瞬間。まったく前世と同じ事が起きようとしている。
  
 修一はニヤニヤしながらオレを見ている。

「なんで足引っかけるんだよ? オレなんかしたか?」

「いやあ、別に」

 相変わらずのニヤニヤだ。

「じゃあなんで引っかけるんだよ?」

「別に……お前の反応が面白いからさ」

 なぜか修一の周りに人が集まっている。こいつが南小の男子ヒエラルキーのトップか。取り巻きは田中勇輝と大前祐二だ。ああ、2番と3番ね。くそくだらん。

「オレ……それやられるの嫌だからさ、止めてくれる?」

「なんで? オレは面白いから続けるぜ」

 コイツはバカか? 正人から聞いていないのか? 
  
 2人は仲がいいと聞いてはいたが、小学校の時の事……ああ、正人は恥ずかしいから、自分のいいようにしか伝えていないのだろう。

 まあ、それはそれで仕方ないか。自己防衛の手段だしな。

「はぁ……オレは自分の意思は表明したぞ。嫌だ、とな。それでも続けるなら、お前、オレにやられる覚悟はあるのか?」

「ああ? 何言ってんだお前?」

 オレは正人の時と同じく、というか同じだったかは覚えていない。くだらない記憶だ。教壇の横、つまり教室の教壇側の角にまとめてあった巨大な三角定規を手に取った。

「何やってんだお前、まさかそれで……」

 オレは修一が言い終わる前にそれを振りかざし、頭めがけて振り下ろした。

「痛ええ!」

 修一は腕で防御するが痛みは抑えられない。木製の定規だ。殴られれば、下手をすれば凶器になる。腕で防御されたオレは即座に右足で修一の腹を思い切り蹴る。

 身長は同じくらいだったので修一は机にぶつかって、その机が隣の机まで吹き飛ばされる。

 ぐわしゃあああん、という音が鳴り響くと同時に、助けを呼びに行くわけでもなく、誰かが隣のクラスに叫びながら走る。

「ケンカだ! ケンカだ! 風間と遠山がケンカしてるぞ!」




 倒れ込んだ修一の胸ぐらを掴んで、右手はおなじみのメリケンサックだ。思いっきりぶん殴る。

「がああ!」

 オレは反撃のスキを与えない。正人の時もそうだし、4対1の時もそうだった。痛いのは嫌だからだ。一方的に攻めて、完膚なきまでに叩きのめすのがオレのやり方……になってしまった。

 前世のオレなんてケンカなんかしたことない。あ、今思い出した。この時人生最初で最後のパンチを食らわしたんだ。でもそれはやられて弱った後の一発だったから修一には効かなかった。
 
 今は違う。立場は完全に逆転したのだ。




 次回 第15話 (仮)『入部拒否とセッ○スの話と2人目のキス。2年生? ああもう今度は誰だよ?』
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