『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』

姜維信繁

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第65話 『純美と灯台デート?』

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 1986年(昭和61年)3月27日(木) <風間悠真>

 正直なところ、オレは前世も今世も、話がうまいほうではない。

 ああ、口が上手い下手って意味じゃないよ。話をつなぐって意味で、相手と適度なバランスで会話を楽しんで、楽しませる話術のほうね。

 映画館は映画を観るのが共通の目的であって、後でそれを話題にできるからいい。

 遊園地やゲーセンも遊ぶ対象があるから、それに関連する会話をすればいいし、最悪なくても楽しめる。

 でも、なんだここは?

 見渡す限りの海、島、ツツジ……。

 まあこれはどこでもそうなんだけど、なぜにわざわざここを選ぶ?

 純美あやみはおっとりして控えめ天然キャラだが、そんな純粋なところが好きなんだよね。でもちゃんと自分の考えを持っている。映画もゲーセンも遊園地もテーマパークも、アウトドアといえばアウトドアだけど……。

 アウトドア過ぎるだろっ! 何もない!

 うーん、沈黙が怖いぜ。

 ちなみにおっぱいはぷにゅんぷるんでいちばん大きい巨乳。




「悠真……いい天気だね」

 純美はバスの窓から外を眺めながら言った。

「おおーそうだね~。いい天気だ」

 オレはそう言って相づちをうつ。

 でも正直なところ景色よりバスの振動で揺れる純美のおっぱい……。

 たゆんたゆんと揺れるのがたまらない。やべえ……たってきた。13脳から直結している男子中学生の下半身。うらやましいやら面倒くさいやら。

 文字で起こすと(笑)とかWとかしか表現が思いつかない。あーもしくは;;か?

 そう思いつつオレは靴を脱いで横長の座席に横たわる。幸いバスは春休みといっても平日だし、田舎なのが幸いしてオレたち以外には誰も客がいない。

 そしてオレの欲望が、ついに言葉にして口に出てしまった。

「ねえ純美、頼みがあるんだけど」

「なーに、悠真?」

「膝枕してもらっていい?」

「え? うん……いいけど」

 バスの後部座席は横長だが、右端と左端は前の座席があって隠れている。純美は右の窓際の席に座っているから、上半身の真ん中から下は座席に隠れて見えない。

 膝枕してもらったオレの顔は全く見えないわけだ。

 だから目の前(上)にはたゆんたゆんのおっぱいが見える。13脳の正直なオレの体は素直に反応してムクムクと膨らんでいるのがわかった。

 たゆんたゆん。

 たゆんたゆん。

 由美子先輩とはまた違った形のおっぱいなんだろうな。残念ながらさわった経験はあっても、純美の素っ裸は未経験だ。だからいまだ不明である。

 ぜひ『写るんです』で被写体として収めたい。

「えいっ」

 いたずら心とスケベ心が入り交じった感情でオレがつっつくと、いやん、と短く純美は声をあげる。

「もうっ! 悠真のエッチ!」

 純美は顔を赤らめながら言った。

「ごめん……つい」

 純美は怒っているわけじゃない。

 恥ずかしいんだ。そうだ……ここは公共の場所だから当然だよな。反省反省。大人になって暗がりのバーなら、まあ許されるかもしれないけど。

 バスは相変わらず海岸線を走っている。窓の外には青い海と緑の島々が広がっていた。

 純美の膝の上で横になったままオレは深呼吸する。夏でも冬でもないから、車内のエアコンはOFFだ。窓を開けているおかげで潮の香りが鼻をくすぐる。

「純美、この景色好き?」

「うん、好きだよ。静かで落ち着くの」




 待ち合わせ場所から乗ったバスは、終点の津加崎へ到着した。

 バス停から灯台は歩いて40分だ。うーん、この距離をデートでって、けっこうなアウトドア好きじゃないと次回はないぞ。オレから誘ったんなら間違いなく次回デートはない。

 景色は確かにすばらしい。新緑の島々と青い海のコントラストは目に優しいが、それだけでは間が持たない。

「海がキレイだね」

 オレたちは手をつないで歩いている。

「ねえ、悠真」

 突然、純美が話しかけてきた。

「なに?」

「この辺りにはツツジがたくさん咲くんだって。もうすぐ見頃になるらしいよ」

 目を輝かせながら純美はうれしそうに話す。

「へえ、そうなんだ。きっとキレイだろうな」

 ツツジの話題は会話を続けるきっかけにはなりそうだが、それ以上の展開を期待するのは難しい。海岸線を歩きながら、オレは純美との距離感に神経を使っていた。

「そうか……いつ頃が見頃なんだろうね」

「たしか来月から5月の始めくらいだと思うけど」

 ツツジの見頃か。そういえば前世でも、その時期は各地でつつじ祭りとか毎年話題になっていたな。

「へえ、そうなんだ。純美って花とか詳しいんだな」

 春の陽光を浴びて、純美の頬がほんのり赤くなっている。海からの潮風が髪を優しく揺らしていた。

「ううん、そんなことないよ。ただ、お母さんが言ってたの」

 純美は少し照れたように笑った。その仕草に、オレの心臓が高鳴る。
 
「そっか。じゃあさ、もし良かったら……その時期にまた来るのはどうかな? ツツジを見に」

 純美の目が輝いた。

 その反応にオレは少し安心した。でも同時に、他の女たちとのスケジュール調整が頭をよぎる。ハーレム計画の難しさを改めて実感した瞬間だった。

 ただ、コスパはいいな。バス代だけだ。




 純美の足にあわせてゆっくり歩いたから、灯台までは1時間近くかかった。意外に会話って持つもんだな、と実感したわけだが、天気がいいおかげで汗がじんわりにじんできた。

「見て悠真! いい景色! 気持ちいい~」

 目の前には深い青と太陽の光のコントラストが美しい海が広がっている。屋根付きのウッドデッキが設置されていて、その屋根は格子状になっていた。

 雨の日は屋根の役割をなさないが、木漏れ日みたいな感じで光を分割する。

 確かに気持ちがいい。

 車の免許持っていたら、ドライブデートもいいかもしれないな。

 でも免許が取れるのは18歳からだ。

 今の体は13歳だから、あと5年も待たなきゃならない。早く大人になりたい欲求はあるが、こればっかりはどうにもならないんだよな。

 ウッドデッキは四畳半程度のスペースだが、それ以外に座れる場所はない。

 適度に風があって、潮の香りと太陽の香り、大地の香りとでも言おうか。そういう大自然の香りが、深呼吸すると体全体に入り込んでいく。

 オレは純美の隣に腰を下ろし、海を眺めながら深呼吸をした。潮風が頬をなでる心地よさに、つい目を閉じてしまう。

「ねえ、悠真」

「うん?」

 純美の声に目を開けると、そこには白い灯台がある。

「この津加崎灯台って、1962年にできたんだって」

「へえ、そうなんだ。オレたちが生まれる10年前だね」

「うん、そのころは九州商船、あ、佐世保に行くフェリーね。その船が沖に泊って、でっかいボートみたいなやつでお客さんや荷物をこっちまで運んでたんだって」

「詳しいね」

 オレはそう言って、座ったまま両手を広げてデッキに横になる。大人が靴を脱いで上がっても、縦横ともに十分余裕があるサイズだ。




「あっ」

 びっくりして飛び上がった。

 何かがオレの股間に当たったのだ。

 ?

 ?

 純美は目の前の海を眺めていた。

 深呼吸したり伸びをしているが、そよ風が純美の白い帽子をゆらしている。あまりにも詩的な光景が、この状況とのミスマッチを際立たせていた。

 純美の体はオレの足にぴったりとくっついていて、右手はオレの膝の上、左手は腰の横でデッキに添えられている。

 ……気のせいか?

 そう思って横になる。

 また当たった!

 気のせいじゃない。

 今度は薄目で様子を確かめながら、寝っ転がったフリをしてみた。

 !

 まじで! だ。

 ソコニハナント! 純美の手があるじゃないか!

「あうっ!」

 健全な13歳の中学生の体だ。自分の手にも敏感なのに、好きな女の子に触られたらたまらないっ!

 オレは瞬時に腹筋を使って上半身を持ち上げ、深呼吸して純美を見る。純美は顔が真っ赤だ。

「ゆ、悠真……。どうしたの、顔、真っ赤だよ?」

 俺の顔、真っ赤なのか? いやいや純美、お前の方が真っ赤っかだぞ。耳も赤い。

「純美、あのさ……もしかして、さわった?」

 オレは心臓バクバクだ。51脳なら恋人の前でこんなセリフをはいてもちょっと照れる程度だろうが、13脳にはキツ過ぎる。

「ご、ごめんなさい……」

 えええ! なんで謝るの? ぜんっぜんいいよ! まったく問題ない!

 純美は顔を背けながら小さな声で謝った。オレは動揺を隠すためにせき払いをする。

「いや、その……大丈夫だよ。むしろ、いや、もっと……ってほしい」

「え?」

 もっと触ってほしいとはっきり伝えたかったが、13脳には荷が重かったようだ。

 それにしてもこの前の美咲にしても純美にしても、どうしたんだ?

 春休みに入る前と後で、ぜんぜん違うぞ。

 なにかあったかな?

 ……51脳をフル稼働して考える。

 美咲はオレが他の誰かを好きになるんじゃないかって心配してたよな? それは純美も同じか? 同じだとすれば、凪咲なぎさや礼子も? 菜々子や恵美も同じなんだろうか?

 みんながそう思うこと、なにか……。

 あ! もしかして……山本先輩か?

 卒業式の! 確かに衝撃的だったから、オレは身も心も由美子先輩に持って行かれた。それどころか自宅まで行ってんだ。

 オレたちの間に沈黙が流れる。潮風が二人の髪をなびかせ、遠くで波の音が聞こえる。純美はうつむいたまま、オレは空を見上げる。

 ひょっとして美咲も純美も、由美子先輩と同じことをしようとしてるのか? オレが先輩を好きになると思っている?

「あの、悠真……」

 純美が顔を上げ、オレと目が合う。

「なに?」

「私、悠真が……好きだよ」

 純美の告白に、オレの心臓が高鳴る。告白は初めてじゃない。6人全員から聞いている。でもなんだろうな。やっぱり何度聞いても、ドキドキするもんだ。

「オレも……純美のこと好きだよ」

 言葉が口をついて出る。

 純美の目が輝き、笑顔が広がった。

「でも、他の子たちも……」

「うん、わかってる」

「私、悠真のそばにいられるだけで幸せだから」

 控えめな純美の言葉が嘘なのは、すぐにわかった。

 オレに気をつかってそう言っているのだ。


 

 オレたちはもう一度並んで海を眺める。津加崎灯台が静かにたたずみ、変わらぬ姿で海を見守っている。オレたちの関係も、この灯台みたいに長続きさせなきゃならない。

 そんなことを考えながら、オレは純美の手を握って、そっと持っていった。

 純美の顔がさらに真っ赤になった。




 次回予告 第66話 『久しぶりの佐世保でニッキー&ユーマと悟くん』
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