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【61話】
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ニャァ~♪
ニャァ~♪
ルークのバッグから猫の声がする。
声を発していたのは手のひらサイズの小さな四角い魔道具だ。
画面に”兄さん”と表示されていたので、下の方の肉球マークをタップする。
「ルーク、聞こえる?」
舌足らずなテノールボイスと言う多属性な声が聞こえた。
アンドュアイスの声である。
「聞こえます。どうしましたか兄さん?」
「えとね、サイヒの場所わかった?」
「はい、フレイムアーチャの友人の所にいるようです」
「やっぱり帝国から出てたんだね。それじゃ1回ルークはこっちに帰ってきて」
「オグリなら食事とポーションで体力の問題は無いですが?」
「オグリの事だけじゃなくてね、カカンは検問ゆるいけどフレイムアーチャの検問はすっごくきびしいから新しく手形を発行したいんだ。
軍事国家にグリフォンが現れたら大変なことになるから」
確かにカカンの検問はあっけなかった。
他国のルークが大丈夫かと心配するほど緩々だった。
だがフレイムアーチャは違う。
軍事国家と名高いだけあって検問の厳しさは大陸1だろう。
いくらオグリが大人しいとは言っても、高位魔獣を引き連れて簡単に通れるとは思わない。
アンドュアイスの言うように手形を発行して貰った方が良いだろう。
オグリも使い魔承認のカードを持って行った方が良いはずだ。
「分かりました。一旦そちらに戻ります」
「うん、気をつけてね。サイヒの話し聞きたいからマロンちゃんの宮に来て。夜ご飯も用意してくれるって言ってくれてるからお腹ペコペコでも大丈夫だよ」
アンドュアイスのルークを気遣う言葉に、先程ローズのせいで胸にたまっていたモヤモヤが晴れる。
純粋って尊い。
「有難うございます」
色んな意味を込めてルークはアンドュアイスに礼を言った。
「それじゃーねー、後でー」
「はい、後で」
そこで通信は切れた。
ちなみにこの魔道具はサイヒ作だ。
大聖女の知識と、その夫の魔術構築知識の髄を寄せ集めて作ったものである。
コンパクトで携帯に最適だ。
惜しむところはサイヒにしか作れないため、量産が出来ないと言う事であろう。
それでもルークたちに配られたこの魔道具は大変役に立つ。
離れた場所にいる者と文を交わすのではなく、声をリアルタイムで伝えれるのだから画期的な発明だ。
もし同じようなモノが存在するとしたら文明国家クロイツくらいだろう。
ちなみに「スニャートホン」と言うらしい。
道具として画期的すぎて、命名センスがあるのかないのかルークたちには判断できない。
「オグリ、一度ガフティラベル帝国に戻ってくれ」
「クゥ―――ッ♪」
嬉しそうにオグリが鳴いた。
:::
「と、言うのがローズ王子からの話しだ」
「何ですかソレ!何ですかソレ!!お兄様が怖いって意味が分かりませんわ!!」
「確かにサイヒは規格外だが…それで腫れもの扱いするのは俺もどうかと思いますね……」
「ん~?何でサイヒが怖いんだろう?サイヒとってもやさし~よ~」
行儀が悪いが夕食を取りながらの説明となった。
少しでも早く行動を起こしたいのだ。
時間は少しでも短縮したい。
カカンのローズの言葉をそのまま伝えた。
そして帰ってきた感想は怒りの感情。
3人の反応を見てルークは安堵する。
自分だけじゃない。
サイヒを大切に思うものはちゃんと此処に居る。
早くサイヒを迎えに行きたくて仕方がない。
”これだけ愛されているんだぞ!”そう声を高らかに伝えたい。
「それに海を割って島を消すなんてサイヒはすごいなーっておもうよ!」
「アンドュ様、お兄様はドラゴンをデコピン1発で倒すのですよ」
「サイヒすごーい」
「凄いと言うか…人間やめてますよね……」
「じゃぁサイヒは天使?神様?」
「まさかそちらの方面で聞き返されると思いませんでした…」
おそらくクオンの言う人外のたとえは悪魔や魔王だろう。
聖なる存在と言われるとは思わなかった。
キラキラした曇りない眼でみつめられて居心地が悪そうである。
「今度海に行った時サイヒに割って見せて貰おー。僕海の底に興味あるー」
「そう言えば海の底って見たことありませんね。お兄様が帰ってきたら皆で海に行きませんか?」
「マロン様が行きたいのですなら護衛させて頂きます」
「マロンちゃんサンドイッチ作って!あとお菓子も!!」
「じゃぁ水着用意しないといけませんわね」
「水着……」
クオンが呟いてマロンを見た後、壁を見て顔を赤くさせている。
(意外とむっつりだったのだなクオン)
そんな事を思いながら、ルークはサイヒにはどんな水着が似合うか考えていた。
自分も十分むっつりである。
似た者主従だ。
「クオン、オグリも連れていっていーい?」
「ちゃんとオグリの海水は洗い流さないといけないですよ。海水はグリフォンの羽を痛めかねませんから」
「はーい」
まるで家族の団欒の様な光景。
ここにサイヒが加われば、今よりも笑顔が絶えない空間になるだろう。
(サイヒに会って、謝って、早くこの空間に帰って来て貰おう)
ルークはフレイムアーチャに居るサイヒに想いを馳せた。
(ただ親友とやらはしっかり吟味させて貰うがな!!)
ルークは嫉妬深いのである。
ニャァ~♪
ルークのバッグから猫の声がする。
声を発していたのは手のひらサイズの小さな四角い魔道具だ。
画面に”兄さん”と表示されていたので、下の方の肉球マークをタップする。
「ルーク、聞こえる?」
舌足らずなテノールボイスと言う多属性な声が聞こえた。
アンドュアイスの声である。
「聞こえます。どうしましたか兄さん?」
「えとね、サイヒの場所わかった?」
「はい、フレイムアーチャの友人の所にいるようです」
「やっぱり帝国から出てたんだね。それじゃ1回ルークはこっちに帰ってきて」
「オグリなら食事とポーションで体力の問題は無いですが?」
「オグリの事だけじゃなくてね、カカンは検問ゆるいけどフレイムアーチャの検問はすっごくきびしいから新しく手形を発行したいんだ。
軍事国家にグリフォンが現れたら大変なことになるから」
確かにカカンの検問はあっけなかった。
他国のルークが大丈夫かと心配するほど緩々だった。
だがフレイムアーチャは違う。
軍事国家と名高いだけあって検問の厳しさは大陸1だろう。
いくらオグリが大人しいとは言っても、高位魔獣を引き連れて簡単に通れるとは思わない。
アンドュアイスの言うように手形を発行して貰った方が良いだろう。
オグリも使い魔承認のカードを持って行った方が良いはずだ。
「分かりました。一旦そちらに戻ります」
「うん、気をつけてね。サイヒの話し聞きたいからマロンちゃんの宮に来て。夜ご飯も用意してくれるって言ってくれてるからお腹ペコペコでも大丈夫だよ」
アンドュアイスのルークを気遣う言葉に、先程ローズのせいで胸にたまっていたモヤモヤが晴れる。
純粋って尊い。
「有難うございます」
色んな意味を込めてルークはアンドュアイスに礼を言った。
「それじゃーねー、後でー」
「はい、後で」
そこで通信は切れた。
ちなみにこの魔道具はサイヒ作だ。
大聖女の知識と、その夫の魔術構築知識の髄を寄せ集めて作ったものである。
コンパクトで携帯に最適だ。
惜しむところはサイヒにしか作れないため、量産が出来ないと言う事であろう。
それでもルークたちに配られたこの魔道具は大変役に立つ。
離れた場所にいる者と文を交わすのではなく、声をリアルタイムで伝えれるのだから画期的な発明だ。
もし同じようなモノが存在するとしたら文明国家クロイツくらいだろう。
ちなみに「スニャートホン」と言うらしい。
道具として画期的すぎて、命名センスがあるのかないのかルークたちには判断できない。
「オグリ、一度ガフティラベル帝国に戻ってくれ」
「クゥ―――ッ♪」
嬉しそうにオグリが鳴いた。
:::
「と、言うのがローズ王子からの話しだ」
「何ですかソレ!何ですかソレ!!お兄様が怖いって意味が分かりませんわ!!」
「確かにサイヒは規格外だが…それで腫れもの扱いするのは俺もどうかと思いますね……」
「ん~?何でサイヒが怖いんだろう?サイヒとってもやさし~よ~」
行儀が悪いが夕食を取りながらの説明となった。
少しでも早く行動を起こしたいのだ。
時間は少しでも短縮したい。
カカンのローズの言葉をそのまま伝えた。
そして帰ってきた感想は怒りの感情。
3人の反応を見てルークは安堵する。
自分だけじゃない。
サイヒを大切に思うものはちゃんと此処に居る。
早くサイヒを迎えに行きたくて仕方がない。
”これだけ愛されているんだぞ!”そう声を高らかに伝えたい。
「それに海を割って島を消すなんてサイヒはすごいなーっておもうよ!」
「アンドュ様、お兄様はドラゴンをデコピン1発で倒すのですよ」
「サイヒすごーい」
「凄いと言うか…人間やめてますよね……」
「じゃぁサイヒは天使?神様?」
「まさかそちらの方面で聞き返されると思いませんでした…」
おそらくクオンの言う人外のたとえは悪魔や魔王だろう。
聖なる存在と言われるとは思わなかった。
キラキラした曇りない眼でみつめられて居心地が悪そうである。
「今度海に行った時サイヒに割って見せて貰おー。僕海の底に興味あるー」
「そう言えば海の底って見たことありませんね。お兄様が帰ってきたら皆で海に行きませんか?」
「マロン様が行きたいのですなら護衛させて頂きます」
「マロンちゃんサンドイッチ作って!あとお菓子も!!」
「じゃぁ水着用意しないといけませんわね」
「水着……」
クオンが呟いてマロンを見た後、壁を見て顔を赤くさせている。
(意外とむっつりだったのだなクオン)
そんな事を思いながら、ルークはサイヒにはどんな水着が似合うか考えていた。
自分も十分むっつりである。
似た者主従だ。
「クオン、オグリも連れていっていーい?」
「ちゃんとオグリの海水は洗い流さないといけないですよ。海水はグリフォンの羽を痛めかねませんから」
「はーい」
まるで家族の団欒の様な光景。
ここにサイヒが加われば、今よりも笑顔が絶えない空間になるだろう。
(サイヒに会って、謝って、早くこの空間に帰って来て貰おう)
ルークはフレイムアーチャに居るサイヒに想いを馳せた。
(ただ親友とやらはしっかり吟味させて貰うがな!!)
ルークは嫉妬深いのである。
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