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2章
【217話】
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「久しいなミケ」
『お久しぶりで御座います全能神様』
「いや、其方の方がずっと年上ではないか。敬語はよしてくれ」
「敬語の方が私に合いますので」
『そうか、それで私の願いを聞き受けてくれるであろうか?』
「古代竜の誇りにかけて、その願い聞き受けさせて頂きます。流石に今の状況を静観している場合では御座いませんので」
「大変助かる」
リリィ・オブ・ザ・ヴァリーが話しているのは三毛猫である。
だがこの三毛猫。
ただの三毛猫じゃない。
古代竜-エイシェントドラゴンが猫の姿に変化しているのだ。
そしてミケはリリィ・オブ・ザ・ヴァリー、いや、全能神サイヒの眷属でもある。
プライドの高いドラゴンの長が眷属となる。
これは有り得ない事だった。
神でもドラゴンを使役することは難しい。
だがミケは生まれて来てから2人の存在に仕えた。
1人は現在目の前に居る全能神サイヒ。
そしてもう1人はサイヒの先祖である古代種【強化】のミヤハルである。
まぁミヤハルの場合は使えていたと言うより猫として同居していた感が強いのだが。
ミケにとってこの2人は仕えるだけの価値があると思っている。
世界の守護者。
2人の共通点だ。
そして己より遥かに強い。
世界のドラゴンの長であるミケは世界を守護する者になら仕える事もする。
己たちの種族も守って貰う必要性があるからだ。
その代わりに、ミケが率いる世界中のドラゴンが主-マスター-に力を貸す。
今回力を貸すのは狂暴化した魔獣や魔物の鎮圧では無い。
もっと強い力を持ったもの。
悪魔だ。
魔界と通じるゲートが大陸中に出現し始めた。
今ゲートを通れるのは中位の悪魔迄だろう。
高位の悪魔は力が強すぎるためゲートから弾かれるのだ。
ゲートが安定し、もっと巨大になったら高位の悪魔も地上に出現し始めるだろう。
そうなれば地獄絵図である。
高位悪魔と戦える人間などそうそう存在しない。
人間の中でもトップクラスの者が力を合わせて漸く1体の悪魔を倒せるぐらいだろう。
だがドラゴンは違う。
高位のドラゴンは高位の悪魔とも渡り合えるだけの実力がある。
大陸中にゲートが出来た今、もうリリィ・オブ・ザ・ヴァリーだけの力では悪魔は捌けない。
大陸中で操る式神は下位の悪魔を倒せるくらいの能力しか宿していない。
下位の悪魔でも人間にはそうそう倒せるものではない。
それを世界中の式神にやらせるサイヒの能力は相変わらずぶっ壊れた性能である。
だがもう時間が無い。
リリィ・オブ・ザ・ヴァリーだけでは大陸を護れない。
この騒動をリリィ・オブ・ザ・ヴァリーは天界に知られたくないのだ。
今天界にはリリィ・オブ・ザ・ヴァリーの宝物が存在する。
健やかに、宝物が育って欲しい。
悪意など無い世界に誕生してきて欲しい。
大切な大切な宝物。
その宝物のために、リリィ・オブ・ザ・ヴァリーは今日も地上で戦い続けるのであった。
『お久しぶりで御座います全能神様』
「いや、其方の方がずっと年上ではないか。敬語はよしてくれ」
「敬語の方が私に合いますので」
『そうか、それで私の願いを聞き受けてくれるであろうか?』
「古代竜の誇りにかけて、その願い聞き受けさせて頂きます。流石に今の状況を静観している場合では御座いませんので」
「大変助かる」
リリィ・オブ・ザ・ヴァリーが話しているのは三毛猫である。
だがこの三毛猫。
ただの三毛猫じゃない。
古代竜-エイシェントドラゴンが猫の姿に変化しているのだ。
そしてミケはリリィ・オブ・ザ・ヴァリー、いや、全能神サイヒの眷属でもある。
プライドの高いドラゴンの長が眷属となる。
これは有り得ない事だった。
神でもドラゴンを使役することは難しい。
だがミケは生まれて来てから2人の存在に仕えた。
1人は現在目の前に居る全能神サイヒ。
そしてもう1人はサイヒの先祖である古代種【強化】のミヤハルである。
まぁミヤハルの場合は使えていたと言うより猫として同居していた感が強いのだが。
ミケにとってこの2人は仕えるだけの価値があると思っている。
世界の守護者。
2人の共通点だ。
そして己より遥かに強い。
世界のドラゴンの長であるミケは世界を守護する者になら仕える事もする。
己たちの種族も守って貰う必要性があるからだ。
その代わりに、ミケが率いる世界中のドラゴンが主-マスター-に力を貸す。
今回力を貸すのは狂暴化した魔獣や魔物の鎮圧では無い。
もっと強い力を持ったもの。
悪魔だ。
魔界と通じるゲートが大陸中に出現し始めた。
今ゲートを通れるのは中位の悪魔迄だろう。
高位の悪魔は力が強すぎるためゲートから弾かれるのだ。
ゲートが安定し、もっと巨大になったら高位の悪魔も地上に出現し始めるだろう。
そうなれば地獄絵図である。
高位悪魔と戦える人間などそうそう存在しない。
人間の中でもトップクラスの者が力を合わせて漸く1体の悪魔を倒せるぐらいだろう。
だがドラゴンは違う。
高位のドラゴンは高位の悪魔とも渡り合えるだけの実力がある。
大陸中にゲートが出来た今、もうリリィ・オブ・ザ・ヴァリーだけの力では悪魔は捌けない。
大陸中で操る式神は下位の悪魔を倒せるくらいの能力しか宿していない。
下位の悪魔でも人間にはそうそう倒せるものではない。
それを世界中の式神にやらせるサイヒの能力は相変わらずぶっ壊れた性能である。
だがもう時間が無い。
リリィ・オブ・ザ・ヴァリーだけでは大陸を護れない。
この騒動をリリィ・オブ・ザ・ヴァリーは天界に知られたくないのだ。
今天界にはリリィ・オブ・ザ・ヴァリーの宝物が存在する。
健やかに、宝物が育って欲しい。
悪意など無い世界に誕生してきて欲しい。
大切な大切な宝物。
その宝物のために、リリィ・オブ・ザ・ヴァリーは今日も地上で戦い続けるのであった。
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