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2章
【218話】
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大陸の大国である国達の《聖破邪大結界》が完成した。
ついにリリィ・オブ・ザ・ヴァリーが地上を離れる日が来たのだ。
「地上を頼むぞ雷帝」
「御意」
間借りしていた王宮の部屋で、リリィはアンドュアイスに声をかけた。
全能神の加護の『雷』を授けらた『雷帝アンドュアイス』だ。
きっとこの戦いの要になる事だろう。
リリィはアンドュアイスの能力を信じている。
その妻、ルーシュがアンドュアイスを支えきる事を信じている。
他の国のリリィ・オブ・ザ・ヴァリーの使徒たちも地上を護るために奔走してくれるであろう。
そして皆が命を落とさないように人間を護ってくれるドラゴンたちの事もまた信じている。
「ルークを、連れて帰って来てね、サイヒ…………」
「あぁ、勿論だよ私の可愛いアンドュ」
本当は天界の御使いとその使徒として別れをするはずだった。
だがそうするには互いへの愛情が強すぎた。
一瞬だけ己の本来の感情をのぞかせて、2人はお互いの目を見つめ合った。
ソコにはきっとおのが役目を果たしてくれると言う信頼があった。
「では私はもう行く。ミケ、私が通れる1番大きなゲートまで運んでくれ」
『了承しましたマスター』
リリィ・オブ・ザ・ヴァリーに与えられていた部屋のバルコニーにはミケ柄のドラゴンが鎮座していた。
ミケは大きさを自由に変えることが出来る。
本来の大きなはちょっとした山程度はある。
今は人を数人乗せれそうなくらいの大きな獣といったところだ。
その背にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーはひらりと飛び乗る。
「行ってくれ」
バサァッ
ミケがバルコニーから飛び出した。
その飛行速度は、ドラゴンの中で最も早く飛ぶと言われているホワイトドラゴンよりもさらに速い。
あっという間にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーは空の彼方に消えていった。
:::
「来る!」
「魔王様?」
玉座の間に座っていた魔王が立ち上がった。
天の彼方を見ている。
つられて皆上を見た。
あるのは王宮の天井だけである。
「?」
今まで薄らボンヤリとしていた魔王の瞳が爛々と輝いている。
草食動物を狩る肉食度物のような瞳であった。
頬を紅潮させて、歓喜の笑みを浮かべている。
「何が来るのですか魔王様?」
勇気ある執事が質問した。
魔王は苛立つとすぐに身近な者でもその頭を弾く。
この言葉は魔王の怒りの琴線に触れはしないだろうか?
汗をだらだらとながしながら、ロマンスグレーの髪の執事は魔王の返事を待った。
「御使いが魔界に乗り込んできた」
クツクツと魔王は喉を鳴らして笑った。
欲しくて欲しくて仕方ないものが己から自分の元に飛び込んできたのだ。
愉しくない筈が無い。
「天界の御使いリリィ・オブ・ザ・ヴァリーを連れてきたモノに何でも願いを叶えてやろう。命さえあれば良い。肉体の蘇生など簡単にできる。魔界の者すべて、誰よりも早く私の前にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーを連れて来い!」
「「「「「「「御意にっ!!!!」」」」」」」
王宮の使用人を除いて、戦いを生業とする悪魔たちが一斉にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーに向かって飛び立ったのであった。
ついにリリィ・オブ・ザ・ヴァリーが地上を離れる日が来たのだ。
「地上を頼むぞ雷帝」
「御意」
間借りしていた王宮の部屋で、リリィはアンドュアイスに声をかけた。
全能神の加護の『雷』を授けらた『雷帝アンドュアイス』だ。
きっとこの戦いの要になる事だろう。
リリィはアンドュアイスの能力を信じている。
その妻、ルーシュがアンドュアイスを支えきる事を信じている。
他の国のリリィ・オブ・ザ・ヴァリーの使徒たちも地上を護るために奔走してくれるであろう。
そして皆が命を落とさないように人間を護ってくれるドラゴンたちの事もまた信じている。
「ルークを、連れて帰って来てね、サイヒ…………」
「あぁ、勿論だよ私の可愛いアンドュ」
本当は天界の御使いとその使徒として別れをするはずだった。
だがそうするには互いへの愛情が強すぎた。
一瞬だけ己の本来の感情をのぞかせて、2人はお互いの目を見つめ合った。
ソコにはきっとおのが役目を果たしてくれると言う信頼があった。
「では私はもう行く。ミケ、私が通れる1番大きなゲートまで運んでくれ」
『了承しましたマスター』
リリィ・オブ・ザ・ヴァリーに与えられていた部屋のバルコニーにはミケ柄のドラゴンが鎮座していた。
ミケは大きさを自由に変えることが出来る。
本来の大きなはちょっとした山程度はある。
今は人を数人乗せれそうなくらいの大きな獣といったところだ。
その背にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーはひらりと飛び乗る。
「行ってくれ」
バサァッ
ミケがバルコニーから飛び出した。
その飛行速度は、ドラゴンの中で最も早く飛ぶと言われているホワイトドラゴンよりもさらに速い。
あっという間にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーは空の彼方に消えていった。
:::
「来る!」
「魔王様?」
玉座の間に座っていた魔王が立ち上がった。
天の彼方を見ている。
つられて皆上を見た。
あるのは王宮の天井だけである。
「?」
今まで薄らボンヤリとしていた魔王の瞳が爛々と輝いている。
草食動物を狩る肉食度物のような瞳であった。
頬を紅潮させて、歓喜の笑みを浮かべている。
「何が来るのですか魔王様?」
勇気ある執事が質問した。
魔王は苛立つとすぐに身近な者でもその頭を弾く。
この言葉は魔王の怒りの琴線に触れはしないだろうか?
汗をだらだらとながしながら、ロマンスグレーの髪の執事は魔王の返事を待った。
「御使いが魔界に乗り込んできた」
クツクツと魔王は喉を鳴らして笑った。
欲しくて欲しくて仕方ないものが己から自分の元に飛び込んできたのだ。
愉しくない筈が無い。
「天界の御使いリリィ・オブ・ザ・ヴァリーを連れてきたモノに何でも願いを叶えてやろう。命さえあれば良い。肉体の蘇生など簡単にできる。魔界の者すべて、誰よりも早く私の前にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーを連れて来い!」
「「「「「「「御意にっ!!!!」」」」」」」
王宮の使用人を除いて、戦いを生業とする悪魔たちが一斉にリリィ・オブ・ザ・ヴァリーに向かって飛び立ったのであった。
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