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2章
【243話】
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「腕治ったわ………」
「良かったよぉぉぉっぉぉおおぉっ!!」
「ユラ姉ちゃん、泣くのは良いけど鼻水は付けんでな………」
「だっ”でみ”や”ばる”ぢゃん”の”う”でがぁぁぁあっ!!!」
「おん、それは有難うやね」
ミヤハルが鈴蘭の方を見る。
流石に察しが良い。
鈴蘭はわざとミヤハルの腕を治さなかったことに気がついているみたいだ。
そしてユラがそれを何とかすることも想定内だったのだろうと、勘づいている。
全く持って観察眼に優れている子供である。
鈴蘭の方を向いてニッ、と笑う事も忘れない。
どうやらそれについてはこれ以上話を膨らませない気のようだ。
それもそうだろう。
鈴蘭が本当は直せるミヤハルの手を治さなかった、なんて皆が知ったら鈴蘭に対する猜疑心が生まれる。
それは今後の行動において良いものでない。
「そんな…あんな平凡な女が真種になるなんて………」
アルビノの少年は呆然としていた。
今目の前で起きた事実に。
どうやらアルビノの少年は【真種】について知識があるらしい。
「僕ですら、まだ辿り着けていない境地に…あんな平凡な女が………?」
「第3ラウンドしよか、少年?」
「だから僕は18歳の成人男性だと言っているだろうが!このクソガキが、今度こそ殺すっ!」
さっきまで右腕を喪失していたのに心身ともにダメージを受けていないミヤハルの言葉にアルビノの少年は叫んだ。
どうやら子ども扱いされるのを嫌っているらしい。
仕方も無い、そう言う年頃だ。
30代40代にもなると若く見えるのは嬉しいものだが、子供と言うものは必要以上に自分を大人だと思っているし、そう扱われたいと思っている者が多い。
そしてアルビノの少年もそうであるみたいだ。
見かけがミヤハルと変わらないのも相当なコンプレックスなのだろう。
「貴方がミヤハルちゃんを傷つけたのね…ミヤハルちゃんは下がってて。コイツの相手は私がするわ」
ユラが、何時もは温和な光しか称えてない瞳に憎悪を滾らせてアルビノの少年を睨み付けた。
「ユラ姉ちゃん、気持ちは嬉しけど姉ちゃんは戦闘タイプや無いやろ!アイツああ見えて強いで!ユラ姉ちゃんの適う相手やない!」
「大丈夫ミヤハルちゃん、今の私なら、負けないから」
そう言ってユラの両手が光った。
冷たい瞳をアルビノの少年に向ける。
アルビノの少年は今まで見た事ない自分への憎悪の籠った眼と言うのを見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「良かったよぉぉぉっぉぉおおぉっ!!」
「ユラ姉ちゃん、泣くのは良いけど鼻水は付けんでな………」
「だっ”でみ”や”ばる”ぢゃん”の”う”でがぁぁぁあっ!!!」
「おん、それは有難うやね」
ミヤハルが鈴蘭の方を見る。
流石に察しが良い。
鈴蘭はわざとミヤハルの腕を治さなかったことに気がついているみたいだ。
そしてユラがそれを何とかすることも想定内だったのだろうと、勘づいている。
全く持って観察眼に優れている子供である。
鈴蘭の方を向いてニッ、と笑う事も忘れない。
どうやらそれについてはこれ以上話を膨らませない気のようだ。
それもそうだろう。
鈴蘭が本当は直せるミヤハルの手を治さなかった、なんて皆が知ったら鈴蘭に対する猜疑心が生まれる。
それは今後の行動において良いものでない。
「そんな…あんな平凡な女が真種になるなんて………」
アルビノの少年は呆然としていた。
今目の前で起きた事実に。
どうやらアルビノの少年は【真種】について知識があるらしい。
「僕ですら、まだ辿り着けていない境地に…あんな平凡な女が………?」
「第3ラウンドしよか、少年?」
「だから僕は18歳の成人男性だと言っているだろうが!このクソガキが、今度こそ殺すっ!」
さっきまで右腕を喪失していたのに心身ともにダメージを受けていないミヤハルの言葉にアルビノの少年は叫んだ。
どうやら子ども扱いされるのを嫌っているらしい。
仕方も無い、そう言う年頃だ。
30代40代にもなると若く見えるのは嬉しいものだが、子供と言うものは必要以上に自分を大人だと思っているし、そう扱われたいと思っている者が多い。
そしてアルビノの少年もそうであるみたいだ。
見かけがミヤハルと変わらないのも相当なコンプレックスなのだろう。
「貴方がミヤハルちゃんを傷つけたのね…ミヤハルちゃんは下がってて。コイツの相手は私がするわ」
ユラが、何時もは温和な光しか称えてない瞳に憎悪を滾らせてアルビノの少年を睨み付けた。
「ユラ姉ちゃん、気持ちは嬉しけど姉ちゃんは戦闘タイプや無いやろ!アイツああ見えて強いで!ユラ姉ちゃんの適う相手やない!」
「大丈夫ミヤハルちゃん、今の私なら、負けないから」
そう言ってユラの両手が光った。
冷たい瞳をアルビノの少年に向ける。
アルビノの少年は今まで見た事ない自分への憎悪の籠った眼と言うのを見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。
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