6 / 7
英雄は村娘になりました
5話
しおりを挟む
泣いている。
金糸の髪に新緑色の瞳の美青年が大人げなく、12歳の村娘の前で大粒の涙を零しながら泣いている。
それもスープを口にして。
「あぁ、お母様の、お母様や御婆様が作ってくれていたスープの味だ…まさか、また飲める日が来るなんて、ヒック、美味しい、懐かしい…ウゥ~毎日食べたい、ヒック………」
泣いても美形は美形だな、とミュゲは思った。
美青年が飲んだスープはミュゲのオリジナルレシピである。
正確にはもうミュゲしか作り方を知らないであろう特別製異世界スープだ。
名前をミソスープ。
ミュゲがまだ1回目の人生を歩んでいる時-剣聖で合った頃-に異世界から召喚された勇者が好んで作っていたスープだ。正確には味噌汁と言うらしい。
このスープを飲んだことがあるのは勇者と共に旅した剣聖であったミュゲと2人の同行者であった召喚士の王太子とドラゴニュートのオーティぐらいだろう。
男やもめかと思いきや、途中で女と分かった勇者は料理を作ることが好きなだったので食事には困らなかった。ついでに手伝っていたら剣聖であったミュゲもすっかり料理に詳しくなって異世界料理を作れるようになってしまった。
立場は同じはずなのに王太子とオーティが食べる専門だったのは何故なのか、解せぬ。
そんな訳で、あの冒険の日から2千年たっている今では誰も作り方を知らない筈のレシピだったのである。
そのスープを母の味だと言い、目の前の青年は泣いている。嘘泣きではない。嘘ならミュゲには分かる。大魔導士時代に嘘探知の魔術を編み出したせいで無駄に嘘が分かる体質になってしまったのだ。
なので本当に青年が幸せそうで、嬉しくて、懐かしさに浸って泣いているのだと理解してしまっている。
(母の味?祖母の味?…金糸の髪に新緑の瞳、好みの顔………あ、コイツは私が剣聖時代にパーティー組んでた勇者と王太子の子孫か!!)
よく見れば色合いは憎き恋敵と同じだが、顔はドストライクな初恋の勇者の面影がある顔立ち。男にしておくには勿体ない可愛らしい顔立ちをしているのだ。ぶっちゃけミュゲの好みである。
人生で1度きりの恋であった勇者は王太子と結婚した。その時にいくつかのレシピが受け継がれたのであろう。それなら家に伝わる味と言うのも納得できる。
「ヒック、君、名前は……?」
「ミュゲです貴族様」
どう見ても身なりが良すぎるので貴族と判断着けてミュゲは答えた。
「僕の名前はマーギュリット・ソレイユ・フルール。フルール王国の第2皇子にして王国騎士団長をさせて貰っている。それで、今から君にプロポーズしたいんだけど良いかな?」
「へ?」
「レディミュゲ、どうか私の花嫁となって下さい」
そう言われ膝をつかれて頭を垂れて、立っていたミュゲのエプロンの裾に口付けた。
「ええええええええええええええっ!?」
ミュゲの悲鳴が村に響き渡って、両親がかえって一悶着あるまで後2分………。
金糸の髪に新緑色の瞳の美青年が大人げなく、12歳の村娘の前で大粒の涙を零しながら泣いている。
それもスープを口にして。
「あぁ、お母様の、お母様や御婆様が作ってくれていたスープの味だ…まさか、また飲める日が来るなんて、ヒック、美味しい、懐かしい…ウゥ~毎日食べたい、ヒック………」
泣いても美形は美形だな、とミュゲは思った。
美青年が飲んだスープはミュゲのオリジナルレシピである。
正確にはもうミュゲしか作り方を知らないであろう特別製異世界スープだ。
名前をミソスープ。
ミュゲがまだ1回目の人生を歩んでいる時-剣聖で合った頃-に異世界から召喚された勇者が好んで作っていたスープだ。正確には味噌汁と言うらしい。
このスープを飲んだことがあるのは勇者と共に旅した剣聖であったミュゲと2人の同行者であった召喚士の王太子とドラゴニュートのオーティぐらいだろう。
男やもめかと思いきや、途中で女と分かった勇者は料理を作ることが好きなだったので食事には困らなかった。ついでに手伝っていたら剣聖であったミュゲもすっかり料理に詳しくなって異世界料理を作れるようになってしまった。
立場は同じはずなのに王太子とオーティが食べる専門だったのは何故なのか、解せぬ。
そんな訳で、あの冒険の日から2千年たっている今では誰も作り方を知らない筈のレシピだったのである。
そのスープを母の味だと言い、目の前の青年は泣いている。嘘泣きではない。嘘ならミュゲには分かる。大魔導士時代に嘘探知の魔術を編み出したせいで無駄に嘘が分かる体質になってしまったのだ。
なので本当に青年が幸せそうで、嬉しくて、懐かしさに浸って泣いているのだと理解してしまっている。
(母の味?祖母の味?…金糸の髪に新緑の瞳、好みの顔………あ、コイツは私が剣聖時代にパーティー組んでた勇者と王太子の子孫か!!)
よく見れば色合いは憎き恋敵と同じだが、顔はドストライクな初恋の勇者の面影がある顔立ち。男にしておくには勿体ない可愛らしい顔立ちをしているのだ。ぶっちゃけミュゲの好みである。
人生で1度きりの恋であった勇者は王太子と結婚した。その時にいくつかのレシピが受け継がれたのであろう。それなら家に伝わる味と言うのも納得できる。
「ヒック、君、名前は……?」
「ミュゲです貴族様」
どう見ても身なりが良すぎるので貴族と判断着けてミュゲは答えた。
「僕の名前はマーギュリット・ソレイユ・フルール。フルール王国の第2皇子にして王国騎士団長をさせて貰っている。それで、今から君にプロポーズしたいんだけど良いかな?」
「へ?」
「レディミュゲ、どうか私の花嫁となって下さい」
そう言われ膝をつかれて頭を垂れて、立っていたミュゲのエプロンの裾に口付けた。
「ええええええええええええええっ!?」
ミュゲの悲鳴が村に響き渡って、両親がかえって一悶着あるまで後2分………。
31
あなたにおすすめの小説
外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます
刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。
日常的に罠にかかるうさぎが、とうとう逃げられない罠に絡め取られるお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレっていうほど病んでないけど、機を見て主人公を捕獲する彼。
そんな彼に見事に捕まる主人公。
そんなお話です。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
偶然同じ集合住宅の同じ階に住んでいるだけなのに、有名な美形魔法使いに付き纏いする熱烈なファンだと完全に勘違いされていた私のあやまり。
待鳥園子
恋愛
同じ集合住宅で同じ階に住んでいた美形魔法使い。たまに帰り道が一緒になるだけなんだけど、絶対あの人私を熱烈な迷惑ファンだと勘違いしてる!
誤解を解きたくても、嫌がられて避けられている気もするし……と思っていたら、彼の部屋に連れ込まれて良くわからない事態になった話。
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
王太子殿下が、「国中の未婚女性を集めて舞踏会を開きたい」などと寝言をおっしゃるものですから。
石河 翠
恋愛
主人公のアレクは、ある日乳兄弟である王太子に頼みごとをされる。なんと、国中の未婚女性を集めて舞踏会を開きたいというのだ。
婚約者がいない王太子による、身分の垣根を越えた婚活パーティー。あまりにも無駄の多い夜会であること、何より「可愛い女の子のドレス姿が見たい」という下心満載の王太子にドン引きしつつも、王太子の本音に気がつき密かに心を痛める。
とはいえ王太子の望みを叶えるべく奔走することに。しかし舞踏会当日、令嬢の相手をしていたアレクは、怒れる王太子に突然からまれて……。
転生後の人生を気ままに楽しむヒロインと、ヒロインにちっとも好意が伝わらないポンコツ王子の恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は、チョコラテさまの作品(写真のID:4099122)をお借りしております。
やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~
小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。
そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。
幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。
そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――?
「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」
鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。
精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる