聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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【聖女とオマケの性別事情】

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「ルナトー、フカミはどうなんだ?かなり血が出てたけど傷は深いのか!?」

 ラキザがルナトーに詰め寄った。
 あの後ルナトーの下に来た3人は深海を預けると診察をするからと部屋の外へと追い出された。

「ラキザ様、フカミ君が寝てます。大声出さないで下さい」

「う、すまない。で深海の具合はどうなんだ?」

「出血多量で貧血を起こしただけですよ。何も問題ありません」

「貧血起こすほどの出血があったんだろう!?じゃぁ相当大きい傷を負ってるんじゃないのか!?」

「だからただの貧血ですってば。出血は女の子なら誰もが月に1回はなる月のモノの症状です。自然現象です。ただフカミ君は不定期で相当重度のタイプみたいですけど」

「は?おん、な?月のモノ!?」

「フカミ君はフカミちゃんだったと言うことです。あんな大きい胸よく隠せてましたよ。フカミ君の世界の衣類はいろんな機能を備えたものがあるみたいですね。
胸を圧迫する下着を付けていたみたいですね。普段から付けているから慣れているようだったけど流石に体調を崩した時には肺を圧迫して苦しいだろうから脱がせておきました」

「へーフカミちゃんて巨乳だったんだ。1度ちゃんと女物の衣装で全身着飾らせてみたいな」

 フィルドがルナトーの言葉を聞いて嬉しそうにそう言った。

「え、何でお前そんなに冷静なんだよ?」

「え、だってフカミちゃんが女の子だなんてカグウもチノシスもあのコキョウまで気付いてたよ。寧ろラキザ今まで本当に気付いてなかったの?あんなに傍でいてじゃれ合ってたのに?」

「うそ、だろ?」

 ラキザの顔が真っ赤に染まった。
 1度異性なのだと意識してしまえば自分は年頃の少女に酷く近い距離で戯れていたことに羞恥を覚える。

「ふーん。ラキザ様は随分深海と仲良くやってたみたいですね。深海に気がある訳じゃないですよね」

 何時もニコニコしている表情しか見せなかった鳴海が冷たい目でラキザを見ていた。
 そうすると可憐な少女に見えていた鳴海は冷徹な少年の様にしか見えない。
 顔立ちが綺麗なせいで余計に迫力がある。
 たとえ現在身に纏っているのが女物のドレスであろうとだ。

「いや!気があるとかそんなんじゃ、第一俺はフカミの事完全に男だと思っていたし!確かに綺麗な顔してるとは思ってたけど、それに年が離れすぎだろ!!」

「年近かったら良いんだ?」

 フィルドの言葉に鳴海の視線が更に冷たくなる。

「綺麗な顔してるとは思ってたんですね。年なんて5年もしたら丁度良い年の差になりますよ。で、ラキザ様は深海に気があるんですか?」

「な、無いっ!今は無い!良くて妹程度だ!!」

「今はってことはもう少しフカミちゃんが大人になったらあるってこと?」

「フィルド!お前少し黙ってろ!!」

「ふーん、将来的にはあるかもしれないんだ」

「いや、ナルミ!本当に俺はフカミに疾しい気持ち抱いてないから!!」

「あんなに顔真っ赤にして説得力が薄いですラキザ様。第一ちゃんと深海が女の恰好してるところ見た事ありませんもんね。深海はちゃんと女の子の恰好したら絶世の美少女ですから、年齢なんて吹っ飛びますよ」

「お前怖ぇよ!その目止めろ!!どんな恰好しようとフカミはフカミだろ。恰好で扱いが変わる事なんてねーよ!!
それにそう言うならフィルドの方はどうなんだよ!?深海のピアス、あれお前の目の色とお揃いじゃねーか!!」

 少し涙目になったラキザがフィルドに叫ぶ。

「え、俺?俺ちゃーんと自覚してるしナルミちゃんにフカミちゃん口説くの宣言してるから。誰かみたいに男らしくない態度取ってませんから~♪」

「医務室では静かに!!」

 スパーンとルナトーがラキザとフィルドの頭をスリッパで叩いた。

「今日はフカミ君はここに泊まって貰いますから!3人とも出て行って下さい!貴方たちが居るとフカミ君の体調に悪影響です!!」

 怒る美人は怖い。
 それは何処の世界でも同じらしい。
 ルナトーに叱られた3人はスゴスゴと医務室を後にした。

 :::


 晩餐会の翌日、深海はルナトーのいる医務室からカグウの待っている謁見の間に連れて行かれることとなった。

「とにかく「なぁ本当にこの格好で皆の前に出るのか?はっきり言って女装にしか見えないと思うんだが…ウケ狙いとか?」

 タンポポの様な少し淡くも明るい黄色のシンプルなドレスを着た深海がルナトーに問うた。

「フカミ君、どこからどう見ても男にはみえないわよ」

「なぁナベシャツ返してくれねぇ?胸抑えてないと落ち着かない…」

「何言ってるのフカミ君!そんな立派な武器主張することがあっても良いけど押しつぶすだなんて貧乳の女の敵よ!」

 ドレスははAラインで下こそふわりと広がっているものの胸の大きさと腰の細さが強調されている。

「それにしても大きいのに形も崩れてなくて凄く綺麗なバストよね。押し潰してたなんて本当に勿体ない!
男装のフカミ君もそれはそれで可愛かったけどやっぱり女の子にはスカートよね♡
フカミ君は目鼻立ちがはっきりしてる上に肌も綺麗だからお化粧要らずね。唇にリップ乗せるだけで着飾らなくても十分男性の視線を独り占めできるわよ。
本当、可愛くて私が食べちゃいたいくらい♡」

 今ここでルナトーが男のアプローチに靡かない理由が垣間見えてしまった。
 出来れば知りたくなかったと言うのが深海の本音だ。

「やっぱり女の子は女の子同士、男の子は男の子同士が仲良く紡ぎ合うのが美しいわ!あーもう本当、可愛い女の子見てたら滾るわ!!」

 ヒートアップするルナトーを見て深海は早くここから逃げ出したいと思った。
 ひしひしと身に危険を感じてしまう。
 だが胸を押さえていたタンクトップ型の男装するために作られている特殊なシャツはルナトーに取り上げられてしまったし、今着ているワンピース以外に部屋に戻らなければ着替えがない。
 女の恰好を見られるのが嫌な深海にとってこの虎の穴に籠り虎に怯えながらも身を潜めておくか、誰かに見られるのを承知の上で部屋まで戻って制服に着替えるべきか、深海は究極の2択を迫られていた。

「さぁ行くわよフカミ君♡」

 どうやら深海の頭になかった3択目があったらしい。
 深海は虎、もといルナトーに手を引かれ医務室から外へと連れ出された。
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