聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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【聖女なオマケの気持ち事情】

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「カグウ様!フカミ君連れてきましたー♡」

「ほぉ、よく似あっているじゃないかフカミ」

「そりゃ俺がみたてたんだから~。それにしてもホントに巨乳だったんだフカミちゃん。俺、ルナトーちゃんより胸デカい子初めて見た。うん、やっぱり隠しておくんじゃなくて前面に押し出してる方が良いね!」

 フィルドの発言は殆どセクハラだがフィルドが言うと何故かいやらしく聞こえないから不思議だ。
 普段は人が多い謁見の間だが人払いがしてあるためカグウと親衛隊、クロナとミラー、鳴海にルナトーしか居ないのが救いだった。

「でも何でフカミちゃんは男装してたわけ?」

「それについては私が答えますね。
元々私が変な大人に攫われかけることが子供のころから多くて、そんな私を守るためふーちゃんは空手を始めたんですね。で、元々さばさばした気質のふーちゃんは外見のよさも相まって同じ道場に通う男子から人気があったんです。
そうやって同性とつるむ機会のなかったふーちゃんは男友達とばかりつるんでいたんですけどそれが、他の女子の反感買いまして。
最初は無視される程度だったんですけどふーちゃんが年齢上がるにつれてスタイル抜群になっていって友達以外の男子からも人気が出てきたことで嫌がらせが悪化していって。
それを見ている男子はますますふーちゃん贔屓になっていくわの悪循環な日々を過ごしてたんですよ。
そんな折、中学と言う学校に入る頃に男女とも制服が規則となりまして。
ふーちゃんは男勝りではありましたけど、まぁ普通に女の子でした。
でも私は心が女であったので男物の制服着るのに抵抗がありまして。
で、ふーちゃんと制服を取り換えることにしたんです。
中性的な顔立ちのふーちゃんが男装したら物凄い美少年に化けちゃったもんだから1部の女子から熱狂的な支持を得まして。
嫌がらせしてた女子も男装姿のふーちゃんには強く出れない様で、味を占めたふーちゃんはそこから男装して過ごすようになったんです。
それが3年間続いて今の状態になります」

「勿体ないね~フカミちゃん着飾ったら凄い綺麗なのに。うん、可愛いというより綺麗だね♪
俺が選んだドレスも良く似合ってるし!」

「独占欲の塊みたいな色合いで着飾らせたな。お前の髪色のドレスに瞳色のアクセサリーって」

「俺は自覚あるから良いんです~」

「そうふーちゃんはちゃんと女の子の恰好したら可愛いんです!
いや、可愛いと言うより綺麗なんです!正直そこらの女がジャガイモに見えるくらい圧倒的に魅力的なんです!!
本人にその自覚がないのが悩みなんですよ。
しかも貧乳の女にさんざん胸が大きいのをディスられてきたから巨乳コンプですし。
それが1番の武器にもなるのに!巨乳なうえ美乳なんですよ!
女の恰好したふーちゃんが居れば男の視線なんて独り占めですよ!?それを本人が分かってないんです!!」

「ナル落ち着けよ。お前は身内贔屓なんだって。俺がそんな魅力ある訳ないだろ?」

「あぁぁぁもどかしいこの鈍感さん!ふーちゃんは綺麗だって何時も言ってるでしょう!周りも皆ふーちゃんの事見てるでしょ!」

「女装してるみたいで面白いんだろ?」

「「もどかしいぃぃぃぃぃぃ!!!」」

 鳴海とルナトーが同時に叫びが謁見の間に響いた。

 その叫びを気にするでもなく深海はラキザの方に顔を向けた。

「ところでラキザ様、先ほどから顔が赤いですけど大丈夫ですか?熱でもあるんじゃないですか?」

「だ、だだだだ大丈夫だ。うん、俺は元気だから気にするな!本当に気にするな!!」

 挙動不審のラキザを鳴海とフィルドとルナトーが冷たい目で見る。

「あれだけふーちゃんに気はないなんて言ってたくせに」

「妹みたいなもんだって言ってたのにねー」

「ラキザ様、フカミ君がどんな恰好でも扱いは変わらないって言ってましたよね確か。それにしては随分何時もと態度ちがいますよねー」

「お前らも変な目で人の事見んじゃねーよ!」

「で、カグウ。フカミが女でナルミが男だったと言いうことはフカミが本当の聖女だったと言う事か?」

 今まで人形のように動かなかったコキョウが感情のない声でカグウに尋ねる。

「理屈的にはそうだろうな。事実、フカミはカカンの国の立て直しに絶大な貢献をしている。聖女としての能力がどうとか言うならその頭脳と順応力が特殊能力だったと考えれば辻褄は合う。
もっともナルミも召喚された時点でこの召喚の儀が成功なのか失敗なのか判断が付きにくいところだがな」

 ニヤニヤと含みのある笑みを浮かべてカグウが説明をする。

(((((((今この人絶対悪趣味なこと考えてるよ)))))))

 謁見の間に居た者の心が1つになった瞬間だった。

「良かったなクロナ。お前は見事聖女様を召喚できた。流石は純血の王族だ」

「そ、んな…ナルミ様でなくフカミさんが、聖女?だったら私がしようとしたことは………」 

「フカミがナルミを守るのを前提としてわざとナルミを襲わせて庇いに行ったフカミを亡き者にしようなんて低レベルな作戦折角立てたのにな。
残念だな、お前が殺そうとした方が本物の聖女様のようだぞ」

 クロナの顔が真っ青になりカタカタと震え出す。

「嘘っ、嘘よ!だったら私が国を立て直すためにしてきた努力は――」

「全部無駄だな。ナルミのブーストを使って他国を制圧するつもりで貴族とつるんで軍隊を用意していたようだが今のカカンは既に復興の軌道に乗っている。戦争をするのは全くの無意味だ」

「何で、純血の私じゃなくて下民の血を引くお兄様が当たりくじを引くのよ!
私だって私なりに国の事を考えてきたのに!何で貴方が民衆から支持されるの!?何で玉座に貴方が座るの!?何で私には欲しいものが1つも手に入らないのよぉ!!!」

 ボロボロと涙を零しながらクロナが叫ぶ。
 恐らく長年抱えてきた、誰にも言ったことのない心の底からの叫びだったのだろう。
 誰もが普段穏やかで柔和な性格のクロナの取り乱す姿に驚きを隠せないでいた。
 カグウを除いて。

「ミラー、クロナを自室に連れて行ってやれ」

 哀れなものを見る眼差しでカグウはミラーに命ずる。
 ミラーもその言葉に素直に従いクロナを抱きかかえると謁見の間を後にした。
 ミラーに抱きかかえられたクロナはブツブツと「何で何で」と呟きながら光を失っためから涙を流して動かなくなってしまった。

「良かったんですかカグウ様?」

「1番被害にあったのはお前だろうフカミ。お前こそ何もしなくて良かったのか?」

「うーん、確かに酷い扱い受けたとは思いますけど…髪飾りが可愛かったんで恨むに恨めないです」

「何その理由?」

 鳴海が首を傾げた。
 生まれた時からずっと一緒にいるが、未だにこの妹は鳴海の理解できないことを言い出す。

「クロナ姫綺麗なドレスをきていたでしょう?綺麗な装飾品を腕にも首にも着けてました。
でも頭だけは小さな黄色の花のついた細工のしてあるピン止めだったんですよね。それ見ちゃったら同じ年頃の女としては心の底から嫌えないんですよ。
きっとクロナ姫が背負っていたモノはクロナ姫の肩には重すぎて耐えられなかったんだと思います。それが今回の暴走に繋がっているんだとも思います。
そう思うと恨みもあるけどそれ以上に1人の女の子として見たら可哀想だなと思いまして。こんなこと言ったら上から発言の様に聞こえるかもしれませんが」

 深海の発言に周囲の者が息を漏らす。
 自分の命を狙われて尚、相手を思いやる心の広さと優しさ。
 しかもその発言をしたのはしなやかな若木のような生命力に満ち溢れている、美しい少女の口から出た言葉だ。
 外見の美しさだけでなく内面から溢れ出る澄み切った生命力が少女を更に魅力的に見せた。
 皆、悦とした視線を深海に向けていた。
 カグウ大好きコキョウは特別表情に変化は見られなかったが。

(うーん、また深海の天然たらしが出たな。異世界に来てまで信者増やしてどうすんだよ。これなら男で通し切ってた方が後々面倒臭くなかったかもなぁ…)

 鳴海も思わずため息をついた。
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