聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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【オマケな聖女の帰る場所】

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「さて、誰が聖女だとかは置いておいて、フカミ、ナルミ、お前たちはこれからどうするつもりだ?
俺としては今までの様に俺の側近の1人として国の繁栄に力を貸してもらいたい気はあるが、もうこの国は復興の軌道に乗った。
お前たちが聖女や御使い様の役割をこなさなくても大丈夫だろう。
クロナは聖女召喚の儀式しか知らなかったようだが、俺の腹違いの弟のクリムゾンなら純血であるしお前たちをもとの世界に返す儀を執り行えるかも知れない。
お前たちはどうしたい?」

「私はふーちゃんが居れば何処でもイイです」

 鳴海が数秒も悩む素振りを見せず率直に答えた。

「俺としては戻る方法が見つかってもそれを行う勇気がありません」

「どういう意味だフカミ?」

「この半年で暮らして俺は1つの仮説を立てました。そしてそれは多分正解のはずです。この世界は、俺たちの暮らしていた世界と同一世界だと検討を付けています。
最初のころ俺はフィルド様にこの大陸の名前を聞きました。そしてこの大陸がアメイジア大陸だと知りました。俺のいた時点の世界にそんな大陸は存在しません。
でも俺はアメイジア大陸の存在を知っていました。
アメイジア大陸は、プレートテクトニクスにおいて、俺たちが居た時代より約2億年後に地球に出現する可能性があると考えられている超大陸の1つです。
アメイジア大陸は、地球内部のマントルが長年をかけて対流することでプレートが移動し、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、アメリカ大陸、オーストラリア大陸の合体によって形成されます。
その際には太平洋は消滅し、そこに大山脈が出現し、その後、太平洋の跡からの大規模なプルーム現象が起こると予測されています。
そしてこの国の宗教がキリスト教であることから俺と鳴海は異世界でなく過去から未来に召喚されたものと推測されます。
異世界で同じ宗教が根付いているとは考え難いですから」

 皆の顔が茫然としていた。
 それはそうだろう。
 あまりにも規模が大きすぎる話なのだから。
 だが異世界と繋がる召喚があるなら時間を超越した召喚があり得てもおかしくない、そう頭の回る者たちはそう判断した。

「つまりお前らは過去からやってきた存在と言う事か。そして過去に戻るにはリスクが高すぎると踏んだのか?」

「はい、その理由としてはこの世界の文明と魔法と魔物の存在です。俺たちの居た時代では魔法は存在しませんでした勿論魔物もいません。
そして文明はその分この時代とは比べ物にならない程発達しています。
そこで俺は文明が滅びた瞬間があると考えました。
では何時文明が滅びたのか?考えれられるのは戦争です。
でもそれでは魔法と魔物の存在が説明できません。
なら魔物が現れたから人類が滅亡に追い込まれ文明が衰退し、新たに魔法と言う概念を取り入れて生き残った者が新たに国づくりをしたと考えられないでしょうか?
それがどれくらいの年代の時に起こったかは分かりません。
もしかしたら俺たちが過去に戻って次の日に魔物が現れるかもしれません。
時間軸が完璧に操作できないのなら文明が衰退し人類が滅亡に追い込まれる寸前の、暗黒時代に跳ばされるかもしれません。
2億年と言う月日の長さがある以上日単位どころか年単位で時間軸を捉えることが出来ないでしょう。
ならその危険を回避し、すでに生活のなれたこの国でお世話になるのが一番理にかなっているのではないかと思っています。
それに万が一安全を保障されて帰ることが出来たとしてもそれは皆さんとの一生の別れを意味します。
皆さんと一生再会出来ないまま、いつ来るか分からない滅亡の時を待つのは苦痛です。何よりこれからも一緒に居たいと思うくらいに皆さんに情が移り過ぎました」

 深海が言い終えると辺りはシン、と静まり返っていた。
 いや小さな嗚咽や鼻をすする音が聞こえる。

「俺だってもっとフカミちゃんたちと一緒に居たいー!!」

「私もお2人と離れたくありません!!」

「俺もまだフカミともナルミとも別れたくないな。もっと旨い飯教わりてーし」

 周囲に居た者たちが深海と鳴海と離れるのは嫌なのだと訴えてきた。

「はは、人気者だね2人とも」

 ぼんやりした眼で眠そうな声でチノシスが言った。

「逆に聞かせて下さい。カグウ様は今まで通りここに居ても良いと言って下さいました。皆様は俺たちと離れることについてどう思われますか?」

「俺はフカミちゃんもナルミちゃんも可愛くて大好きだよー♡離れるのは寂しいからヤダー!」

「俺としてはここまで国を復興させてくれた2人にはまだまだこの国に居て欲しいな」

「フカミの作る石鹸や化粧水のお陰でカグウの美しさが更に極みがかかった。まだまだ実践してない美容法があるだろう?カグウの更なる美のためにもお前を返すわけにはいかないな」

「俺はフカミの要求に振り回されて今まで以上に仕事は増えて寝る時間削られるけど、話が同じレベルで通じるフカミとのお茶の時間は気に入っているよ。
今帰られたら燃え尽き症候群になっちゃうかな?」

「私フカミ君には同じ匂いを感じるの!一緒に萌えの高みを目指せると思うの!フカミ君色んな意味を含めて私とパートナーになって!!」

 フィルド、ラキザ、コキョウ、チノシス、ルナトーが声を上げる。

「俺としては誰が聖女だろうがなかろうが関係ない。ただの1人の人間としてフカミの知能とナルミのブーストの魔法をかっている。面倒は一生見てやろう。だから2人ともここに残れ!王命だ!!」

 カグウが声を高らかに宣言した。

「「喜んで!!」」

 深海と鳴海は満面の笑みで、美貌の王の命令を承諾した。


 第1部完
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