聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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オマケは御使い様になりました

【御使い様の香り事情】

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 フワリ、と爽やかな匂いが鼻腔を擽った。 
 その香りに気付いたのは王宮使用人のA君だった。

「なぁ、聖女様と御使い様って何か良い匂いしないか?」

 食堂で発せられたA君の言葉。
 それに周りは反応を示した。

「皆が清潔にしだしたから防臭の魔法を解いても臭いのは無くったけど、流石に人から良い匂いはしないだろ?」

「いや、もしかしたら聖女様たちの世界の人間はあんなに良い匂いするのかもしれないぞ」

「で、どんな匂いだったのよ?」

 メイドたちも食いついてくる。
 女の子として良い香りが体からする、と言うのは興味がそそられたらしい。

「ん~何か爽やかな香りだったな。オレンジとかそんな感じの」

「誰か確かめて来いよ」

「無理よ~聖女様も御使い様もカグウ王が匿って王宮内ですら滅多に会えないじゃない」

「まぁカグウ王が匿うのも無理ないよな」

 王族による聖女暗殺未遂。

「この件の噂が消えるまでお2人を命の危険に晒すわけにもいけないもんな」

「あ~でも私その匂い嗅いでみたい!」

「お綺麗なうえ良い匂いがするとか正しく天上人だな」

 :::

「て、言う話で今王宮が盛り上がってるんだけど確かにフカミちゃん良い匂いするね。これ何の匂い?」

「あぁ、精油を作ったのでついでに香水作ってみました」

「コースイ?硬い水?」 

「いえ、香りに水と書いて香水です。カカンの名産を増やすためまず自分で試してみようかと思いまして。フィルド様も使います?」

「え、良いの?高価なもんじゃないのソレ?」

「大して手間もかかってませんし。テストケースが増えるなら大歓迎です。まだ王宮中に流行らす予定はありませんが親衛隊の皆様にも是非使って頂きたいです」

「カグウの分もあるのか?」

 ガシッとコキョウに腕を掴まれる。
 結構半端ない力なので正直痛い。

「カグウ様の分はないです」

「何故だ!確かにカグウは何もつけなくても良い匂いがするが、そこいらの木偶の坊が良い香りを纏ってカグウに使わないなんて神に対する冒涜だろう!!」

(((木偶の棒って俺らのことかよ)))

「コキョウ様落ち付いて下さい!カグウ様の分がないのはカグウ様に似合う匂いがまだ作れていないからです」

「カグウに似合いう匂い?」

「少しは表情筋動かして下さいコキョウ様。ノンブレスで無表情の大男に詰め寄られると流石に怖いです!
それに今俺が付けているのは柑橘系の香りばっかりなんです。手元で作る原材料見たらそれしか作れなかったもので。
でもカグウ様に似合うのって柑橘系じゃなくて薔薇とかの匂いのフローラル系だと思うんですよね。薔薇の匂いのカグウ様、堪らなくないですか」

 ニヤリ、と深海の唇が弧を描く。

「薔薇の匂いのカグウ……っう!」

「鼻血たらすとかどんな想像したのコキョウ…いややっぱり言わなくて良いよ。どうせ碌な妄想じゃないだろうし」

 チノシスが疲れ気味に呟いた。

 :::

「で、その香水てどうやって作るのフカミせんせー」

「相変わらずノリが良くて可愛いですねフィルド様。では簡単に説明を。フィルド様は何時もの如く頭の中覗いてください」

「「「「はーい」」」」

「皆さんノリ良いですね…さてまず香水ですが、香水は、基本的な成分はアルコールと香料です。
薬局などで購入できる無水エタノールと精油があれば、簡単に作ることができます作り始めはアルコール臭がするので、お好みで2週間~2ヶ月程香りを熟成させるのがおすすめです。
作り方は無水エタノール10mlをボトルに入れる。
精油を20滴入れ、よく混ぜる。それだけです。
香水の種類は香水には香りの濃度によって種類が分類されます。パフューム、オーデコロンなど呼び方が違うものは、同じ香水でも種類が違います。
名称 アルコール(又はオイル)を含めた全体量に対する精油の濃度エッセンス 30%以下パフューム 15-25%オーデパルファン 12-15%オードトワレ 8-12%オーデコロン 4-8%スプレーコロン 1-4%となります。
次に精油について説明します」

「センセーそのせいゆ、てのが香水の匂いのモノですか?」

「正解ですフィルド様。では精油についてです。
今回使った方法は圧搾法と言う方法です。果皮などを機械で圧搾したあとで遠心法で分離して精油を得る方法で、主に柑橘類の果皮から精油を得る場合に用いられます。
圧搾法では、熱することなく精油を得ることができるので、水蒸気蒸留法に見られる熱による精油成分の変化はほとんどなく、自然のままの香りが得られます。
ただし、圧搾法で製造された精油は原料の搾りカスなどの不純物が混入したり変化しやすい成分が多く含まれるので、精油成分の劣化が早いことに注意する必要があります。
なお、昔は手で果皮を圧搾してスポンジに吸わせて精油を回収していました。勿論俺も昔ながらの手で圧縮する方法で作りました。
遠心分離機もありませんでしたし。個人的には職人に遠心分離機作って欲しいですね」

「だからフカミは最近厨房で捨てるはずだったフルーツの皮回収してたか?」

「流石ラキザ様、厨房情報に余念がないですね」

「調理長から御使い様が奇行に走られていて困ってるって相談されたからな」

「奇行、ですか…調理長後でブッコロリ」

「怖い発言止めろ!!」

「で、機材があれば他の香りも作れるんだな!カグウに相応しい香りも作れるんだな!!」

 コキョウの眼の瞳孔が開いているのが怖いと切実に深海は思った。
 何時もは死んだ魚のよな目のコキョウが目を爛々輝かせているのはちょっと、いやかなり怖い。
 表情筋は死んだままだし。

「よ、良ければカグウ様への香水はコキョウ様が調合しますか?」

「そんな事が可能なのか!俺の作った香りを纏うカグウ…グッ」

「うん、嬉しいのは分かるけど鼻血はともかく吐血するほど興奮するのは止めようねコキョウ」

 チノシスが残念そうなモノを見る目でコキョウを見ていた。

「じゃぁ機材はどう揃えましょうか?」

「俺は道具の形大体わかったから手伝うよ~」

「では今回は俺も手伝おう。カグウの香りを俺色に染め…カカンの復興のため協力しようじゃないか」

「いや、コキョウ。お前全然下心隠せてねーから。今回は俺は良いのか?」

「ラキザ様には美味しい差し入れを期待しています」

「リョーカイ、んじゃフィルド、コキョウ、フカミを頼んだぞ」

(((何かすっかり保護者枠だなラキザオカン)))

 親衛隊の皆がそんな事思っているのも知らずラキザは深海の頭を撫でていた。
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