聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

文字の大きさ
55 / 167
オマケは御使い様になりました

【男装の女王と鍼と灸2】

しおりを挟む
 結局スティルグマ女王の寝室のベッドは柔らかすぎるのと大きすぎるため医務室を使う事となった。
 スティルグマ女王には上衣類を脱いで貰い、下着だけになって貰うとベッドに横になって貰う。
 自分でも剣を取るらしいスティルグマ女王の上半身は綺麗な過度すぎない筋肉が付いていた。
 どうりで男装が似合うはずである。

 治療を見学するのは王宮の女性の医官だ。
 優し気な微笑みを浮かべる美貌の華奢な医官は”ノーライフ”と言うらしい。
 スティルグマ女王の幼馴染なのだとか。
 武術と魔術も嗜む天才であることで国でも有名らしい。
 
 スティルグマ女王と言い、ノーライフと言い、美貌と能力と権力がありながら2人共まだ未婚。
 何とも勿体ない話である。

「それでは鍼を打っていきます。体に鍼を打つのは傷つける行為に見えますが治療のいっかんなのでノーライフさんも落ち着いて見学ヨロシクお願いします」

「うん、了解したよ」

「では、失礼します」

 深海はマヒロに錬金して貰った鍼を懐から取り出す。

「鍼治療では、通常、直径0.12~0.18mm程度の極めて細いステンレス製の鍼を使います。管鍼法といって円形の金属あるいは合成樹脂製の筒を用いる方法か、筒を使わない方法がありますが、どちらも殆ど痛みはありません。子供向けの小児鍼は、鍼を皮膚に接触させたり押圧させたりして治療します。
まず基本になる4つのツボに打ちます。
 ★合谷(ごうこく)
 親指と人差し指の水かきの間で骨に近いところ。頭痛や歯痛など、痛みがあるときによく効くといわれています。
 ★内関(ないかん)
 手のひら側の手首のしわの中央から肘に向かって指幅3 本分のところ。消化器系の症状の軽減に有効といわれています。
 ★三陰交(さんいんこう)
 足首の内側、くるぶしから指幅4 本くらいのところ。生理痛や冷え症などに有効といわれています。
 ★足三里(あしさんり)
 膝頭の外側、膝から指幅4 本くらいのところ。非常に応用範囲が広く、有用なツボで、胃に気力がないときに生命エネルギーを送り込んでくれるといわれています」

「もう鍼を刺しているのか?」

「ええ、間違いなく刺していますよケイフィス」

 ケイフィス…男装の女王の名である。
 ノーライフとスティルグマ女王は名前で呼び合う仲らしい。

「鍼灸は、不妊治療、肩こり、腰痛、生理不順、冷え性といった方から、どこかなんとなく調子が悪い、本調子ではない、という方の体調を整えること(養生)、また免疫力アップなど、症状にあわせて治療内容を組み立てて行います。
そのメカニズムの詳細が全て明らかになっているとは言えないものの、重ねられた多くの研究と臨床から、鍼灸治療には生体機能の調整、血行の促進、免疫力の活性化といった作用があると考えられています。
つまり鍼灸治療の刺激が自律神経系、内分泌系、免疫系等に作用することで、筋肉の緊張緩和、血液及びリンパ液の循環を改善させるなどの作用があり、それが人体の病気を自然に回復させる機能を正常化させる、体の機能全体を調整していく働きがあると考えられているのです。
俺のいた世界では、以下の各症状に対して有効性が認められたとされています。

1.神経系疾患
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー

2.運動器系疾患
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

3.循環器系疾患
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

4.呼吸器系疾患
気管支炎・喘息・風邪および予防

5.消化器系疾患
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

6.代謝内分秘系疾患
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

7.生殖、泌尿器系疾患
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

8.婦人科系疾患
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

9.耳鼻咽喉科系疾患
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

10.眼科系疾患
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

あたりまえのことですが、人体はひとつにつながっています。ここが痛いからといって、その場所だけに原因があるわけでもなく、またどこが、というわけではないものの、なんとなく本調子ではない、といった場合も多くあるかと思います。

お身体の状態について問診でゆっくり伺いながら、体の中でのつながりを考えて治療メニューを、ひとりひとりのために、また、同じ人であってもその日の体調にあわせて考えて治療を組み立てていくことが鍼灸治療の最も得意とする治療法です。
さらに灸を行います。
灸頭鍼(きゅうとうしん)での治療します。
鍼の上に乗っているものは、もぐさを炭化させたものです。煙がほとんどなく、灰が落ちる心配も少ないというものですが、この治療では、鍼の刺激と灸の輻射熱を同時に与えることができるという特徴があります。
ポカポカと暖かく気持ちのいいお灸で、冷え性など、慢性的な症状に大きな効果があります」

「凄いな、全身が温もって来た。これは心地よい」

「では灸が終わる迄暫くそのまま楽にしていてください。何か質問があればどうぞ質問を」

「そうだな。それではフカミの居た世界の話しを聞かせて貰いたい」

「では他愛無い話で良ければ話させて頂きます」

 :::

「ふ~気持ちが良かった。体がいい具合に気だるい」

「鍼を刺しているのに痛く無いのは不思議だね。ボクも出来るようになってみたいな」

「コチラにいる間でしたらご指導させて頂きます。今日打った4か所くらいでしたらすぐ覚えれると思いますので。鍼の方もこちらの錬金術師に手配させます」

「そう、それは嬉しいな。じゃぁスティルグマにいる間よろしく頼むね」

「こちらこそ宜しくお願いしますノーライフさん」

 女3人、随分と仲良くなった。
 深海としても同世代で無い同性と言うのは思った以上に付き合いやすく、自分でも随分簡単にパーソナルスペースに2人が飛び込んできたのを驚いている。

「良い治療をして貰った礼は尽くさせて貰う。料理と風呂、楽しみにしているが良い」

「そう言えばスティルグマは宝石以外にも温泉の国でしたね!?」

「温泉好きなの?」

「私が居た国も温泉の国だったので。父の出身地の田舎は温泉街でしたし、温泉は大好きです!」

「では後で私の浴場を案内しよう。ノーライフ、お前も来るだろう?」

「一緒にお風呂久しぶりだね。久しぶりに背中を流すよ」

「い、一緒にお風呂ですか?ソレは流石に不味いんじゃ…」

「ここは私の国だからな。スティルグマにいる以上誰にも文句は言わさん、安心しろ」

 そうは言うが深海は男装の身である。
 昼間の兵士辺りが女王と一緒に風呂など許さないと思うのだが、スティルグマ女王は自分の意志を曲げるようには思えない。
 せめて「子供だから」と恨まれないことを祈ろうと深海は思った。
しおりを挟む
感想 213

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。 2025/9/29 追記開始しました。毎日更新は難しいですが気長にお待ちください。

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...