聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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オマケは御使い様になりました

【ラッキースケベは呪いですか?】

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 その日穏やかな昼の刻、フィルドの研究室が爆発した。

「で、今回は何をやったんだお前は?」

 ラキザに訓練場の真ん中で《私は研究室を爆発させました》の札を首からかけられ、正座で詰め寄られるフィルドの姿があった。

「え~とぉ、古代魔術試してみちゃった。あはっ☆」

「あはっ☆じゃねぇぇえっ!!」

 ズゴンッ!!

 ラキザの拳がフィルドの脳天に落とされた。
 ちなみにラキザの拳は大岩を砕く。
 ソレを喰らってへろっ、としているフィルドは何なのであろうか?
 魔術師のスペックで無い他の要素が強すぎる。

「痛いなぁ、今俺何の魔術にかかっているか分かんないんだよ?殴って俺が爆発したらどうするつもり!まだフカミちゃんと結婚式も挙げて無いのに!」

「フカミが欲しかったら俺を倒してから行け。俺の目が黒いうちはうちの子に手出しはさせねーからな!」

「ラキザ…いつフカミちゃんのオカンになったの?」

「せめてオトンと言えっ!」

 ズゴンッ!
 
 2発目の拳がフィルドに落とされた。
 しかしやはりフィルドはケロっとしている。
 どういう肉体の構造をしているのであろうか?
 普通の人間なら脳味噌で収まらず内臓をぶちまけているレベルの拳であるはずなのに…。
 頑丈すぎるにも程がある。

「あ、フィルド様見つけた!」

「あ、フカミちゃん♡」

 目元は見えないがその弾んだ声と口角が吊り上がる事でフィルドが喜んでいるのが分かる。
 この宮廷魔術師長は聖女様のお兄様ーつまりは御使い様な深海にゾッコン(死語)なのだ。
 もう宮廷で知らぬ者は居ない。
 互いの見目も良いので、2人がじゃれ合ってても視覚の暴力にはならない。
 それどころか黄色い声をあげる少女達も居るくらいだ。
 発酵女子を増やさないでいただきたいとチノシスの言葉である。

「ちょっと手伝って下さっ―――――」

 ズザザザザッ!!

 深海が足元の石に躓いて転んだ。 
 普段の深海の運動能力ではありえない事だ。
 まるで何かの意思が働いた悪戯かと思ってしまう。

 そして深海が顔面からダイブする前にフィルドが深海を受け止めに行った。
 そして…

 チュッ

 ドスンッ!

 深海が馬乗りになる体勢でフィルドに受け止められた。

「すみませんフィルド様大丈夫ですか?」

(今、チュッ、って!フカミちゃんの唇が頬っぺたにあたったー!しかも馬乗りの視覚のご褒美有難うございます!!)

「顔赤いですよ?何処かぶつけました」

「ううん、大丈夫だよ~♪フカミちゃんこそダイジョーブ?」

「フィルド様が受け止めてくれたので怪我無しです。有難うございます」

 ニコリ、と深海が笑う。

 普段目つきがキツイので冷たく見られがちな深海だが、こうして柔らかい表情をすると一気に思わず見惚れてしまう美しい表情を浮かべる。
 その笑みにフィルドだけでなく、周りの者もソワソワした。
 仕方ないだろう。
 フィルドやラキザは深海の性別を知っているが、此処に居る他の者は深海を男だと信じ切っているのだ。
 男相手にときめいたとは声を大きくしては言えない案件である。

(うわ~~~~~っ、馬乗りの上にニコリ笑顔有難う御座います)

 無神論者だがフィルドは神に感謝した。
 神とはこうして都合よく感謝されたり罵倒されたりする存在だ。
 神様の心が広い事を祈っておこう。

「フカミ、どけ」

 ひょい、とラキザが深海をフィルドの上からどけた。

「チッ」

「聞こえてんぞ舌打ち」

「?」

「あ~フカミは気にするな」

「まぁラキザ様がそう言うのでしたら」

 深海のラキザへの信頼は厚いのだ。
 少なくともフィルドに対してそこまで厚い信頼を持っているかと言ったら悩みどころである。
 信頼はしているけど、今一信用はしきれないが正解かも知れない。

 まぁその辺りは置いといて。

「で、フィルド様どうしたんですか?」

「魔術を失敗させて研究室を爆破させた上に呪いにかかったんだよこの馬鹿…」

 はぁ~~~~~~っ、とラキザが大きな溜息を吐いた。

「え、大丈夫なんですかフィルド様!?」

「う~ん、今一何の呪いがかかったのか分からないんだよね~♪」

(良い事ならあったけど☆)

「ちなみに何て言う魔術か少しは情報はあるんですか?」

「古代書だから解読困難な所があったけど、読める欄に《ダークネス》て書いてあったよ♬」

「それ…アカンやつですよ………」

 深海がポツリと呟いた。
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