聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい35】

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「結局今日は野営だねー」

「見張りしなくてイイ分楽ですけどね」

「まぁそれがわざわざ獣車に乗る特典だもんね」

 自分たちだけで馬などに乗って旅する場合、必ず野営には見張り番がある。
 複数人居れば1人あたり短い時間で済むが、深海たちは3人である。
 睡眠時間が3分の2になるのは正直しんどい。
 その点、獣車などで旅をすると見張り番は経営者がする。
 今回の獣車はテイマーの御者が1人。
 護衛は2人だ。
 御者が寝不足になるのは旅に支障をきたすから、護衛の2人が交互に見張り番を務めるのだろう。

 そして旅で近くに町や村が無い時は野営が基本だが、客を乗せる台はそこそこに広く天蓋があるので女子供中心に獣車の中で睡眠をとる事となる。

 深海たちは一応男3人のパーティーなので野営組だ。
 焚火を囲んで現在食事の準備中である。

「流石に野営だと干し肉とパンとスープくらいだね~」

「でもスープをフカミ君が作ってくれるなら十分豪勢ですよ♪」

「うん、フカミちゃんが作るスープが食べる前から美味しいのは分かる!」

 焚火の前でごそごそと夕食の用意をしている深海の後ろで、フィルドとルナトーはキャッキャウフフとはしゃいでいた。
 野営ではスープが美味しければ上々なのだ。
 これは大陸全土の考え方である。
 決してカカンだけの価値観ではない。

「え、お2人が考えているような料理は用意しませんよ?」

「「え”っ…?」」

 美味しいスープが食べれない?
 パンと干し肉だけ?
 フィルドとルナトーが絶望しかけた。
 すっかり深海に餌付けされている2人である。

「少しは手の込んだ料理も作りますよ?少しだけ待ってて下さいね」

「「!!!」」

 2人の顔に笑顔が戻った。
 美味しいのはスープだけでないらしい。
 どうやらパンも美味しいのが出てくるようである。
 深海がパンを持っているのでソレは間違いないだろう。

「少し待っててくださいね」

 そう言って深海はマジックバックから調理器具をごそごそと出す。
 旅に出る前に調理器具はマヒロに錬金術で作って貰っていたのだ。
 令和モデルなので使い勝手がとても良い。
 勿論御代金は薄い本である。

 ☆本日の野営食☆
 ・ハムエッグ
 レシピ(作り方)
 ①ホットサンドメーカーで食パンの両面を焼く
 ②熱したフライパンにロースハムンを乗せて焼く
 ③焼いたハムの上に卵を落とし弱火で焼く。
 ④完熟する前に火を止める
 ⑤卵とハムを食パンに載せ好きな調味料をかけて完成
 ハムと卵を一緒に焼くだけの簡単料理。
 焼き目が付くまでハムをしっかり加熱し、その上に卵を割り入れるだけ。
 味付けは、シンプルに塩でも、お好みでケチャップやソース、しょうゆでも美味。
 食パンの上に乗せて食べれば食器も汚れず片付けも簡単だ。

 ・ラタトゥイユ
 レシピ(作り方)
 ①ズッキーニとナスを半月切にする
 ②ズッキーニとナスを混ぜコンソメでまぶす
 ③玉ねぎは2cm角、パプリカは乱切りにする
 ④フライパンにオリーブオイルをいれ、玉ねぎとにんにくを入れる
 ⑤2と3をフライパンに入れ混ぜる
 ⑥トマトを入れる
 ⑦弱火で20分程煮る
 ⑧つやが出たらふたをとり塩・こしょうで味付けする
 フランス南部・プロヴァンス地方の名物料理であるラタトゥイユ。
 野菜を炒めて煮込んで作る。
 お酒のおつまみにぴったりで、作りたて熱々でも冷まして食べてもおいしい。

 ・ホットワイン
 レシピ(作り方)
 ①好きなワインに砂糖・レモン・好みの香辛料を入れ温めれば完成
 汁物ではないが、液体つながりでこちらもおすすめ。
 大人同士でキャンプに行くならぜひ作りたいホットワイン。
 簡単に作れて身体の芯からポカポカ温まる、秋冬のキャンプでは欠かせない一品。

「「(゚д゚)ウマー」」

 目の前に出される見栄えも良い料理を口に含み、フィルドとルナトーはそれしか言葉がでなかった。
 まさか野営でこれ程のご馳走が出されるとは。
 日常で出されても十分にご馳走である。
 手抜きだなんてとんでもない。
 深海的には手抜きらしいが、一般家庭でコレが出てきたら客人は皆驚くだろう。
 それくらいの出来の料理なのだ。

「フカミちゃんと旅したら野営でも美味しいモノ食べれちゃうのね」

「フカミ君、結婚しましょう!」

「あ、ルナトーちゃん抜け駆けズル!!」

 ギュウ、とルナトーが深海の手を握る。
 それに文句をつけるフィルド。
 ルナトーは女の子だが、同性が好きなのでこれ以上ない危険人物である。
 しかも深海は同性愛者ではないが可愛い女の子は好きだ。
 フィルド的にはルナトーはブラックリスト上位者なのである。

「お2人が気に入ってくれて良かったです。野営の時でも出来るだけ飽きないよう料理はしますね、でも期待だけはしすぎないで下さいよ?」

 そんな事言って、何時だって深海は期待以上の料理を出すのだ。

(あ~ルナトーちゃんじゃないけどフカミちゃんと結婚したい!毎日手料理食べたい!俺だけのために毎朝珈琲淹れたりして欲しい!!)

 ホットワインを飲みながら、酔っても無いのにその自分の考えに気恥しさを感じて、フィルドは頬を赤くするのだった。
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