聖女として召喚されたのは双子の兄妹でしたー聖女である妹のオマケとされた片割れは国王の小姓となって王都復興を目指しますー

高井繭来

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御使い様が誑しに進化しました

【御使い様は学びたい36】

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 獣車の旅も3日目。
 本日は小さな町に泊まることが出来た。
 取れた宿での部屋訳は1家族1部屋。
 小さな町なので宿があるだけでも良い方であろう。

 風呂は無いので井戸の水を浴びるとの事だ。
 流石にこれは性別を隠している深海とルナトーには不可能である。
 大きな桶を借りて、深海がガフティラベル帝国にいる間に作っていた清拭液で身体を清める。
 この間は部屋に体を清めるものが1名残って後の2人は部屋の外で待機である。

 仕方ない。

 ルナトーは女の子が大好きなケダモノさんなのだ。
 深海の裸体を前にして大人しくしていられるとは思わない。
 勿論フィルドも見たいけどまだ深海の裸を直視できるほど肝が据わっていない。
 見て魔法の棒がお勃ちになったら罪悪感でいっぱいになってしまう。
 少しばかりフィルドは深海を神聖視しすぎるきらいがある。
 仕方ない。
 20台半ばの初恋である。
 しかも相手はいたいけな10歳近く年下の少女。
 フィルドの中で深海は大切に大切に、壊れ物を護るように扱う存在なのだ。

 先に清拭を終えたのはルナトーだ。
 ラベンダーの香りを漂わせて女の子漁りに行ってしまった。
 フィルド的にはルナトーが深海を襲うのを止めなくて良いので大変助かる事である。

 そして次に深海。
 髪が短い分、ルナトーよりも早く清拭を終える。
 やはりルナトーと同じくラベンダーの香りを纏っている。

「フィルド様残り湯ですみません。どうぞ清拭をして下さい。ちゃんと部屋の前で見張っていますので」

「いや、俺の清拭覗くやついないでしょ?それにフィルドちゃん男だから覗かれても別に問題ないよ?」

「あ、そうですか?じゃぁ俺も部屋に居させて貰いますね」

「はい!?」

 全く持って墓穴を掘るのが上手い男である。
 見られてイイ宣言しておいて、深海だけ駄目とは言い辛い。
 そして荷物をごそごそと整理する深海と衝立1枚を挟んでフィルドは清拭することになった。

「あ、お湯は温くなってるんで温めなおして下さいね」

「了解~」

(て言うか、フカミちゃんが使ったお湯なんだよね?え、コレご褒美?拷問?)

 素数を数えて興奮を逃す。
 最近脳細胞に負担をかける事が多すぎる気がする。
 主に深海関連の事に関して。

 ちなみに1番最初にルナトーが湯を使ったことはフィルドの脳内ではもう無かったことになっている。
 恋する男の記憶直何てこの程度のモノである。

「あ、フィルド様背中流しますよ」

「キャ――――――ッ!」

 衝立の向こうからひょい、と深海が顔を出す。
 確かに見られても平気とは言ったが!
 もう少し年頃の反応をしてくれ頼むから!
 フィルドは思わず絹を裂く声を上げた。
 下着を脱ぐ前で本当に良かった。

「フィルド様…体出来上がってますね………」

 ゴクリ、と深海が唾をのむ。
 その目が爛々と光っている。
 体を鍛えるのが趣味な深海の前にあるのは上質な肉体の持ち主。
 これを触らずしておられるか?
 いや、無理だ(反語)

「胸筋と腹筋凄い………」

 ツー、と深海が指でフィルドの胸から腹をなぞる。

「!!!!」

「彫刻みたいで綺麗ですね、フィルド様………」

 はぁ、と深海の吐息には熱が籠っていた。

「ふ、ふふふふふフカミちゃん!?」

「はぁ、何か、熱い、ですね………」

 そう言いながら深海が己の上着を脱ぐ。
 アンダーウェアの上に何時もしている胸を抑える胸当てが無かった。
 今フィルドの目には深海のたわわな双丘が存在しているのである。

(素数!素数数えて!1・3・5・7・11・13…………………)

「フィルド様、俺、熱い………」

「キャ―ッ!フカミちゃん!ストップ、ストップ――――ッ………へ?」

 ポテン、と深海がフィルドの胸に倒れて来た。
 熱い。
 物理的に熱い。

「フカミちゃん熱あるじゃない!!」

「んーご飯の用意、しない、と………」

「今日は出来和えで良いから早く寝て!」

 フィルドは手早く己の身体を拭い、深海を横抱きにするとベッドへ運んでそ、と寝かす。

「毎日俺たちの食事の面倒も見てくれてたもんね。慣れない生活環境で、熱が出るのも当たり前だよね、頑張らせ過ぎちゃってごめんね、フカミちゃん……」

 フィルドは深海の額に唇を落とす。

「あ」

「へ?」

 バタン

 ドアが閉まった。
 開く時にも音を出せ!
 フィルドはドアにそう叫びたかった。

「違うからルナトーちゃん!俺がフカミちゃん襲ったんじゃないから―――――ッ!!!!」

 カチャ♫

 外から鍵をかけられた。
 ルナトー曰く「ゆっくりどうぞ♡」と言う事だろう。

「本当に違うから――――――っ!!!!」

「ん~~~フィルド様、五月蠅い、です」

「ハイスミマセン」

 ほぼ寝言の深海の言葉に謝罪をし、熱の時の処置は何だっけと頭を悩ませる。
 が、こういう時に限って優秀な脳細胞が仕事をしない。
 怪我や病気の担当は深海とルナトーなのである。

「そうだ、フカミちゃんの鞄に熱冷ましあるはず!」

 フィルドが深海から離れようとするとギュ、とその腕を掴まれた。

「フィルド様、傍に、居て、下さい………」

「大丈夫、お薬取りに行くだけだから。俺はこれからもずっとフカミちゃんの傍に居るから、大丈夫だよ」

「………はい」

 ニッコリと笑って深海はスヤスヤ寝息を立てだした。

「本当に、逃げてもずっと傍に居続けてやるんだからね」

 フィルドは深海の手を外し、その手にもキスを落とすと布団の中に治してやる。
 そして深海の鞄から熱冷ましの薬丸を見つけるのだが、これを寝た深海にどう飲ませるか頭を痛める事となるのであった。
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