顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、その身を偽り皇太子の護衛として王国へと帰還する

高井繭来

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【49話】

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「ところでフォルテシモ殿、今日はカノンとは別の部屋で寝て貰う事になるが構わないだろう?」

「えぇっ!?何でですか!!」

「婚姻前の男女を同じ部屋で寝かす訳にはいかんのでな。全能神の私としては、こう言った模範的な回答をせざるを得ないのだよ」

 自分は婚姻どころか婚約もしていない未成年の内に子供まで作っておいて、神様はしれっと答えました。
 その辺の話はマロン様に聞いているので知っているのです。
 まるでお伽噺のような浪漫のあるお2人の話は私は少しばかり詳しいです。
 天界でもその話をするものは少ないです。
 話してくれたのは、マロン様から見て私は神様のファミリーと言うもののカテゴリーに加わって居るからだそうです。
 少しばかり誇らしく思っても良いですよね。

「なら男同士なら構いませんよね!カノン、今日はポリフォニーになろう!一緒のベッドで1夜を過ごそうじゃないか!!」

「そう来たか」

 ニヤニヤと神様が笑います。

「カノン、ポリフォニーになる気は?」

「あ・り・ま・せ・ん!!」

「何故だ!?」

 神様の問いに答えると、その言葉に皇太子様はショックを受けたようです。

「何故だ…カノンもポリフォニーも同一人物ではないか……?」

「ではフォルテシモ様。私と一緒に寝る事になっても何もせずに居られますか?」

「魅力的なカノンを前に、雄性を揺さぶられないと言えば嘘になる」

「ではポリフォニーと一緒に寝る事になったら?」

「え、え、それ、は…………」

 皇太子様の顔がバラ色に染まりました。 
 それはもう恋する乙女のような顔です。
 確実に皇太子様はポリフォニーには雌性を刺激されてますよね?

「浮気です」

「ち、違っ!!」

「神様、浮気ですよね?」

「目が座っているカノンが見れるとは今日は楽しい日だ。そうだな、カノンが浮気と言うなら浮気であろうな。そう言う感情は受け取り側に忠実であるべきであると私は思うぞフォルテシモ殿?」

 クイクイ

 神様の腕の袖を魔王様が引っ張っていました。

「私はサイヒが男と思っている時から愛していたぞ?」

「ルークは私の性別が気にならなかっただけであろう?でもカノンとポリフォニーでは違う。男装と男体化では話が違うのだ。男体化は脳まで男よりになるからな。別人と言えば別人のような物だ。カノンがポリフォニーに嫉妬するのも仕方がない」

「そうなのか、カノン?」

 神様が私の心を代弁して下さいました。
 ポリフォニーになると皇太子様に保護欲が生まれます。
 守ってあげたいと思います。
 全てを差し出して安心させてあげたいと体が動きます。

 でも女であるカノンは違うのです。

 カノンは愛されたいです。
 大切にされたいです。
 守って欲しいです。

 カノンとポリフォニーではこれだけ違う所があるのです。

 皇太子様の言葉に、私は首を縦に振りました。

「そうか、カノン。今まで済まなかった…私が愛しているのはカノン、其方だ」

「フォルテシモ様………」

「今日は寝室を別に借りよう。でも、何時か同じベッドで過ごす日を楽しみにしているくらいは、構わないであろう?」

「はい、フォルテシモ様……」

 何だか寂しい気もしますが、ポリフォニーに対するカノンの想いが伝えれて良かったと思います。
 やっぱり天界は私にとても優しい所です。

「さぁ、お開きだ。其方たちも部屋に案内させる。必要なものがあったら言ってくれれば良いぞ。ではまた明日に」

 神様が手をパンパンと叩き、解散の号令を出しました。
 その腰に魔王様の腕が回っています。
 少しばかり羨ましい、何て思ってしまったりして。
 そう言う事は、地上に戻ってちゃんと全てを片付けてからだ、と自分に言い聞かせたのでした。
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