66 / 244
ミモザ-mimosa-1
しおりを挟む「ねぇ、樹矢くん。3月8日って何の日か知ってる?」
「3月8日…?えーっと……。」
__________________
「じゃあ、行ってくる。今日はちょっと帰り遅いかも。」
ちゅ…。
口づけをして目を合わし微笑む。
「いってらっしゃーい!」
カメラを抱えながら仕事へ行く恋人の背中を見送った後、大きな欠伸をひとつして、俺は寝間着から着替えて軽く身支度を始める。
今日から3月か…。
携帯に送られているスケジュールを確認しながらカレンダーを見ると2月のままだった。
ペラっと捲って3月に変える。
「あっ…。」
家にあるカレンダーには毎月違った花のイラストが描かれている。捲って出てきた花は、黄色い小さなミモザの花だった。
「……。」
3月8日…。
ある日付をを見つめながら思いにふけってその場を立ったまま動けなかった。
途端に電話の着信音が鳴り響く。
「あ!やべっ…!」
マネージャーからのお迎えの着信だ。慌てて用意を済ませ、バタバタと音を立てながら家を飛び出た。
「おはようございます。今日はまず事務所へ行って……。」
車に乗り込んでマネージャーが運転しつつ今日の流れを話している最中も、窓の外を眺めながらボーッとしていた。
「瀬羅さん?聞いてます?」
信号で止まった時に、マネージャーは俺の膝をポンと叩いた。
「えっ?あ、あぁ…うん。」
「もー、しっかり起きてください!」
「ごめんごめんー。で、これから先にスタジオで撮影だっけ?」
「全然聞いてないし…。」
ホントに…。と呆れたようにマネージャーはため息をついて車を走らせた。
5
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる