あんたは俺のだから。

そらいろ

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ミモザ-mimosa-1

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「ねぇ、樹矢くん。3月8日って何の日か知ってる?」

「3月8日…?えーっと……。」


__________________


「じゃあ、行ってくる。今日はちょっと帰り遅いかも。」

ちゅ…。

口づけをして目を合わし微笑む。

「いってらっしゃーい!」

カメラを抱えながら仕事へ行く恋人の背中を見送った後、大きな欠伸をひとつして、俺は寝間着から着替えて軽く身支度を始める。

今日から3月か…。
携帯に送られているスケジュールを確認しながらカレンダーを見ると2月のままだった。
ペラっと捲って3月に変える。

「あっ…。」

家にあるカレンダーには毎月違った花のイラストが描かれている。捲って出てきた花は、黄色い小さなミモザの花だった。

「……。」

3月8日…。

ある日付をを見つめながら思いにふけってその場を立ったまま動けなかった。


途端に電話の着信音が鳴り響く。

「あ!やべっ…!」

マネージャーからのお迎えの着信だ。慌てて用意を済ませ、バタバタと音を立てながら家を飛び出た。


「おはようございます。今日はまず事務所へ行って……。」

車に乗り込んでマネージャーが運転しつつ今日の流れを話している最中も、窓の外を眺めながらボーッとしていた。


「瀬羅さん?聞いてます?」

信号で止まった時に、マネージャーは俺の膝をポンと叩いた。

「えっ?あ、あぁ…うん。」

「もー、しっかり起きてください!」

「ごめんごめんー。で、これから先にスタジオで撮影だっけ?」

「全然聞いてないし…。」

ホントに…。と呆れたようにマネージャーはため息をついて車を走らせた。
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