19 / 53
第19話 境界を越えて、静かなる狂気
しおりを挟む
翌朝──村長の屋敷にて
朝靄が晴れ、やわらかな陽光が村の屋根を照らしていた。
それでも空気には、どこか薄い膜のような張りつめた静けさが漂っている。
村の誰もが、心のどこかで息を潜めている——そんな気配があった。
「……案内されたのは、こっちの屋敷か」
フェイが後ろで手を組みながら、村の外れにぽつんと建つ石造りの屋敷を見上げる。
色あせた扉、苔の浮いた壁、年季を感じさせる木の窓枠。
かつては重要な建物だったのだろうが、今は人の出入りも少ないらしく、静かすぎるほど静かだった。
隣で歩調を揃えていたエヴァが、少し険しい表情で言う。
「……村長、昨日あれだけはっきりしてたのに、やっぱり何か隠してたわね」
「うん。むしろ、あの“迷い”方は、何かを“言いたくない”というより、“言えない”感じだった」
「今朝、自分から声をかけてきたのは、やっぱり……」
「ようやく“決心”がついたってことだね」
扉をノックすると、すぐに中から迎えがあった。
案内された部屋では、すでに村長が静かに腰掛けていた。
その姿は昨夜よりもずっと痩せて見えた。まるで一夜にして何年も老いたように。
「……来てくれて、ありがとう。あんたたちのような旅人を、こんな面倒に巻き込むのは本意じゃなかった。けれど……もう、誤魔化せることじゃなかった」
フェイは椅子に腰を下ろし、柔らかな声音で返す。
「話してくれれば、それでいい。……僕たちは、聞く準備をしてきたから」
村長は少しだけ目を伏せ、それからゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「村に……いや、“この村に居座るようになった男”がいる。名はレオ。最初は旅の職人だと名乗っていた。だが、この一月ほど、様子が明らかにおかしくなっていた」
エヴァがわずかに身を乗り出す。
「具体的には?」
「……夢を見ているような口ぶりで、見えない誰かと会話をする。誰もいない場所に向かって名前を呼んだり、何かを“待っている”と言い続けたり……そして、次第に、他の男たちを従えるようになった」
「昨日、広場にいた男たち……?」
村長はうなずく。
「あれはもともと別の旅の商隊に雇われていた護衛だった。だが、ここ数日で様変わりし、レオの命令で村から金を“徴収する”ようになった」
フェイの目が細くなる。
「つまり、あの男たちは“従っていた”というより、“縛られていた”。……“恐怖”で、だ」
「その通りだ。……実際、一人だけ命令に逆らった者がいた」
村長の言葉が途切れ、空気がわずかに重くなる。
エヴァが低く問う。
「……殺された?」
「……いや、生きてはいた。だが……正気を保っていなかった。言葉も発せず、目の焦点も合わず……ただ、口元だけが、何かを呟いていた。“同じ声が聞こえる”と、何度も……」
部屋に沈黙が落ちる。
窓から差し込む朝の光は暖かいはずなのに、空気はどこか冷たく、底知れぬものが足元から這い上がってくるようだった。
「そのレオは、今どこに?」
フェイの問いに、村長は硬い口調で答える。
「村の南側。古井戸のそばの納屋に、今も一人で閉じこもっている。誰も近づけない。“何か”と話している。……まるで、誰かを“待っている”ようでもある」
「……わかった。僕らで、見てくるよ」
フェイが立ち上がろうとすると、村長はふと、微かに唇を震わせて言った。
「……助けてくれとは言えん。だが、もし……もし、あの男が戻れる道があるのなら……」
その声には、村を守る者としての苦悩と、ただ一人の“人間”としての祈りが滲んでいた。
フェイはわずかに微笑んだ。けれどその笑みに、いつもの軽さはなかった。
「……見て、考える。どうするかは、それから」
そしてそのとき、沈黙を破るように、エヴァがぽつりと呟いた。
「ねえ……私たち、もしかして、何か“大きなもの”に巻き込まれ始めてる?」
フェイはその言葉に答えなかった。ただ、静かに笑った。
だがその瞳に宿っていたのは、“答えを知る者の覚悟”だった。
あたたかくも冷たい、その深い瞳の奥に——エヴァは、言葉にできない何かを見た気がした。
* * *
古井戸の脇に建てられた小さな納屋は、朝の光が差しているにもかかわらず、そこだけが妙に陰って見えた。
風も音も止まり、まるで空気そのものが怯えているかのように、重く、湿り気を帯びていた。
「……ここか」
フェイがぽつりと呟いた。
閉ざされた扉の隙間から、何かが“滲み出て”いた。気配のようでいて、意識のようでもある。
鼻先をくすぐる焦げた臭いと、微かに金属のような鉄臭さ。そして——ほんのわずかに、“魔素”の気配。
「……おかしい。生きてはいる。でも、呼吸が異様に浅い。まるで、意識だけが別の場所にあるみたい」
エヴァが眉をひそめる。
フェイは静かに扉に手をかける前に、軽くノックをした。
コン、コン。
返事はなかった。
しかし、その次の瞬間——
「……うるさい……来るな……やつらが……やつらが、また来るんだ……!」
男の叫び声が中から響いた。
喉の奥をかきむしるような、壊れかけた声。意味を持たない単語の連なりに、どこか“他人の言葉”のような響きがあった。
「レオ、村長が心配してる。少しだけ話せないかな?」
フェイが優しく声をかけると、中の男はがたん、と何かを蹴飛ばした音を立てた。
「知ってる……見てるんだろ、おまえ……その目……青い……!」
一瞬、エヴァがぴくりと肩を震わせた。
フェイはわずかに笑みを浮かべるが、その目には一切の遊びがなかった。
「……見られてる、らしいよ。僕」
「まだだ……まだ“その時”じゃない……くるな……来るなァァッ!」
バンッ!
納屋の中から木箱が弾け飛ぶような音。物が乱暴に投げられたのか、それとも人が暴れているのか。
エヴァが剣の柄に手を添える。
「……行く?」
「うん、ちょっとだけね」
フェイが静かに扉を押し開けると、中はわずかに薄暗く、冷たい空気がぬめりながら流れ出てきた。
納屋の中、藁の散らばる床の中央で、ひとりの男が膝をついていた。
体はやせ細り、髪は伸び放題。だが何より異様だったのは、彼の周囲を取り巻く空間だった。
空気が“揺れて”いた。見えないはずのものが、そこに“ある”と感じられる。
「……魔族の干渉、だね」
フェイの声が低く、沈む。
「え……」
エヴァが息を呑んだそのとき、レオががくりと顔を上げた。
「おまえ……“なか”にいるのか……あいつの……なかに……?」
その視線はフェイを見ていたはずなのに、次の瞬間にはエヴァに向いていた。
「ちがうのか……じゃあ、女のほうか……あいつが……目を通して見ている……!」
「……っ!」
レオがふらりと立ち上がり、よろめきながら手を伸ばしてきた。
即座にエヴァが間合いを取り、手首を打ち払う。
男は倒れ、再び地面に崩れた。
「やっぱり……壊れてはいない。でも、境界が曖昧になってる。中に、誰かがいるような……でも、完全に“乗っ取られて”はいない」
フェイがしゃがみ込み、レオの様子をじっと観察する。
「これ……魔法じゃない。“入り口”がある。思考の奥深くに……別の意識が、“棲み着いて”いるような感触」
「そんなこと……本当にあるの?」
「……あるよ。古い記録に、“魔族の憑依”のようなものがあった。直接操るんじゃない。“意識の隙間”に入り込み、囁き続けて……やがて人格の一部を侵食する」
「じゃあ、これは——」
エヴァが呟きかけたそのとき、レオが地面を這いながら何かを繰り返し呟いた。
「……うしろに……うしろにいる……ずっと、立ってる……影が……声が……」
その声は、誰にも聞こえていないものへ向けた祈りか、あるいは恐怖そのものだった。
エヴァの全身に冷たいものが走る。
「これは、ただの狂気じゃない。“入り込まれてる”」
フェイは立ち上がり、ゆっくりと息を吐いた。
「……そう。たぶん、もう村の中には“痕跡”がある。気づいてないだけで、他にも……」
「私たち、狙われてる可能性もあるってこと?」
フェイはわずかに沈黙し、そして笑った。けれどその笑みは、どこか**“諦観に近い覚悟”**を含んでいた。
「そうかもしれない。……でもまあ、狙われるってことは、価値があるってことかもね」
その軽口の裏にある“本当の意味”に、エヴァは言葉を返せなかった。
納屋の中には、まだ怯えた呻きがこだましていた。
その声の向こうに、確かに“何か”がいる。
影を、言葉を、そして人の心の隙間を通して、こちらを見ている——そんな感覚だけが、強く残っていた。
納屋の扉が静かに閉じられたとき、まるで空気そのものが密閉されたような重さが室内を支配した。
湿った藁の匂い、染みついた汗と焦げた鉄のような臭い。生きているはずの空間なのに、そこに“命の気配”は薄かった。
レオは、散乱した藁の上に膝をつき、虚ろな瞳で何もない空間を見つめていた。
額には冷たい汗。唇は乾き、かすれた声が絶え間なく漏れる。
「……声がする……影が……また、また、来るんだ……!」
フェイはゆっくりと歩み寄る。
重苦しい空気を切り裂くことなく、まるでそれすら馴染ませるような静かな足取りだった。
正面にしゃがみ込むと、そっとレオの名を呼ぶ。
「レオ」
反応はない。
エヴァが背後で剣の柄に手を添えつつも、すぐには動かない。彼女の目は、フェイの“目”を見ていた。
「何かが……中で、ぐるぐるしてる……」
レオの言葉は、まるで自分の体の中を迷う魂のようだった。
「……自分の声なのに……自分じゃない……やつが……なかに……」
そのとき、フェイの右手がふっと持ち上がった。
胸の前で掌を開き、指先が空気の層をなぞる。まるで何か“見えない膜”を探っているように。
「……やっぱり、いるな」
囁くように言ったフェイの瞳に、淡く、深い青の光が宿る。
エヴァが思わず息をのむ。
(この空気……あの時と同じ……)
義賊に囲まれたあの夜。
彼の目が青く染まったとき、空気は沈み、何か“別の次元”がそこに現れた気がした——。
フェイの指先が、そっとレオの額に触れた——瞬間。
バシュッ。
音のない衝撃が空間を走る。
空気が波打ち、視界がふわりと揺らいだ。フェイの意識は、一瞬で“レオの内側”へと引きずり込まれた。
——声。無数の囁き。
——痛み。脳裏に刺さるような、鋭くも深い裂け目。
——名前。知らぬ誰かの名が、遠くから響いてくる。
そこには、レオの“精神の断層”があった。
自我が軋み、割れ目に黒い水のようなものが流れ込んでいた。
それは——魔族のものだ。思念だけで他者を汚染する、古く異質な“囁き”。
「……やめろ……おれは、おれは……おれは……!」
レオの心が軋みながら訴えていた。
その叫びを、フェイは受け止める。
押し返すのではない。拒むのでもない。
ただ、静かに、まるで友に語りかけるように、内側から声をかける。
「大丈夫。まだ、戻れる。君は“壊れていない”」
すると——
レオの体から、“黒い残響”のようなものがふっと揺れた。
目には見えないが、空気が確かに“澄んだ”。
まるで濁った水面に、小さな光が落ちたような……希望の揺らぎだった。
次の瞬間、レオの体から力が抜け、静かにフェイの腕の中へ倒れ込んだ。
「……終わったの?」
エヴァがそっと近づき、慎重に問いかける。
フェイは頷く。
「うん。でも、完全には抜けてない。痕跡は残ってる。……けど、もう自分を失ってはいない」
エヴァはそっとレオの顔を覗き込む。
その表情は穏やかで、目を閉じた顔はまるで眠っているかのようだった。
「……まるで、深く眠ってるだけみたい」
「彼の奥に沈んでいた自我を、少しだけ引き戻した。あとは……時間が必要だ」
そう言って、フェイはレオの体をゆっくりと横たえた。
エヴァは、さっきの出来事を脳裏で反芻する。
あの一瞬、フェイの気配は“人”のものではなかった。
(あれは……心の中に手を伸ばしていた。まるで、魂に触れるように)
その背を見つめたまま、ぽつりと呟く。
「……あなた、本当に“ただの案内人”じゃないわよね」
フェイは少し笑った。
けれど、何も言わず、そのまま扉のほうへと向かう。
その背には、“他者には踏み込めない場所”があった。
覗いたら引きずり込まれそうな深淵——
それをエヴァは、本能で感じ取っていた。
だが、同時に思う。
(それでも……この人は“帰ってこられる”。きっと、自分で決めた場所に)
だから、自分も目を逸らさずに隣を歩いていこう。
そう、小さく決意するように、エヴァは一歩を踏み出した。
納屋の扉がゆっくりと開かれた。
その瞬間、淀んでいた空気が押し流されるように、朝の光が差し込んだ。
けれど、それはただの光ではなかった。
まるで、何かが終わり、そして“始まり”の兆しが届いたような——そんな光。
レオを静かに抱き上げたフェイの腕に、彼の身体は抵抗なく預けられていた。
眠っているだけ——だが、今の彼は確かに“人”の姿に戻っていた。
納屋の外には、ぽつりぽつりと村人たちが集まり始めていた。
昨夜までの不安と困惑に満ちた表情はどこかに消え、代わりに、恐れと、それに混ざるようにして——希望が滲んでいた。
その希望の正体を、彼ら自身もまだ知らない。
けれど、フェイの背負う男の静かな寝顔が、その兆しを示していた。
無言のまま、フェイはゆっくりと村長の屋敷へと向かう。
彼の背に流れる空気はどこまでも静かで、けれど、なぜか心をざわつかせる。
エヴァは少し距離を取りながらその後ろを歩いた。
足取りは軽いはずなのに、何故か胸の奥がざわりと揺れる。
さっき、フェイがレオの“心”に触れた時、自分が見たもの——それは“人の領分を超えた何か”だった。
(……あの人は、いったい、どこまで知っているの?)
やがて屋敷に着くと、扉を開け放った先に、村長が立っていた。
その目がレオを見るなり、大きく見開かれる。
「……彼は……!」
「意識はない。でも、もう暴れたりしない。自我は、ちゃんと戻ってるよ」
フェイはそう言って、レオを丁寧に床に横たえた。
その腕からそっと手を放す時、彼の表情に一瞬だけ“慈しむ”色が宿った。
村長は言葉もなく、レオの傍らに膝をつき、震える手で額をそっと撫でる。
「……こんな顔を……久しく見ていなかった……」
その声には、安堵と悔恨と、深い哀しみがにじんでいた。
「時間はかかります。でも、もう“他人”の顔じゃなかったわ」
エヴァがゆっくりとそう告げると、村長は深く頷いた。
「……ありがとう。本当に、ありがとう。これでようやく、この村も……夜を、眠れる」
その言葉に、フェイは小さく首を振った。
「僕らはただ、少しだけ扉を開けただけですよ。中に入るかどうかは、村の人たち次第です」
村長は何も返さず、ただ深く頭を垂れた。
窓の外には、朝の風が吹き抜けていく。
柔らかな陽の光が草木を照らし、どこかで鳥の鳴く声が聞こえた。
広場には、もう傭兵たちの姿はなかった。
彼らは、レオの崩壊とともに姿を消したらしい。
恐怖の糸が切れたとき、彼らが縛られていた“支配”もまた、力を失ったのだ。
「……結局、彼らも“ただの人間”だったのね」
エヴァが呟く。
その声には責める響きはなかった。ただ、理解しようとする静かな温度があった。
「恐怖は、人を縛る。時に、道理も、誇りも、友情すらねじ曲げる」
フェイは窓の外を見ながらぽつりと呟いた。
「でも……それに勝てるのも、結局は“人”なんだよ。
きっかけさえあれば、誰だって、目を覚ませる」
エヴァは少しだけ、その横顔を見つめた。
その言葉は、どこか彼自身に向けたものにも思えた。
(……この人は、誰よりも“人間の強さ”を信じている)
それは、強い魔族や術者を知っている者だからこそ持てる信念。
本物の闇を見たことがある者だけが語れる言葉。
「……あのレオって人も、最初はきっと誰かを助けようとしていたのよね。
何かに取り込まれたのは、その“思い”の先だったのかもしれない」
「そうかもね。強い想いほど、闇にとっては“美味しい”。だからこそ、狙われる」
フェイの声に、ひそかに潜む“警鐘”のような響き。
それが、ただの警告ではなく——どこか“自分にも言い聞かせている”ように感じられて、エヴァは静かに目を伏せた。
(私たちも、気をつけなきゃいけない)
風が、木の枝を揺らしていた。
遠くの森のほうから、カラスの鳴く声が聞こえた。
その声が、一瞬だけ“誰かの笑い声”に聞こえたのは、気のせいだっただろうか。
——嵐の中心には、まだ誰もたどり着いていない。
だが、確かにそこへ向かって、物語は動き始めていた。
朝靄が晴れ、やわらかな陽光が村の屋根を照らしていた。
それでも空気には、どこか薄い膜のような張りつめた静けさが漂っている。
村の誰もが、心のどこかで息を潜めている——そんな気配があった。
「……案内されたのは、こっちの屋敷か」
フェイが後ろで手を組みながら、村の外れにぽつんと建つ石造りの屋敷を見上げる。
色あせた扉、苔の浮いた壁、年季を感じさせる木の窓枠。
かつては重要な建物だったのだろうが、今は人の出入りも少ないらしく、静かすぎるほど静かだった。
隣で歩調を揃えていたエヴァが、少し険しい表情で言う。
「……村長、昨日あれだけはっきりしてたのに、やっぱり何か隠してたわね」
「うん。むしろ、あの“迷い”方は、何かを“言いたくない”というより、“言えない”感じだった」
「今朝、自分から声をかけてきたのは、やっぱり……」
「ようやく“決心”がついたってことだね」
扉をノックすると、すぐに中から迎えがあった。
案内された部屋では、すでに村長が静かに腰掛けていた。
その姿は昨夜よりもずっと痩せて見えた。まるで一夜にして何年も老いたように。
「……来てくれて、ありがとう。あんたたちのような旅人を、こんな面倒に巻き込むのは本意じゃなかった。けれど……もう、誤魔化せることじゃなかった」
フェイは椅子に腰を下ろし、柔らかな声音で返す。
「話してくれれば、それでいい。……僕たちは、聞く準備をしてきたから」
村長は少しだけ目を伏せ、それからゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「村に……いや、“この村に居座るようになった男”がいる。名はレオ。最初は旅の職人だと名乗っていた。だが、この一月ほど、様子が明らかにおかしくなっていた」
エヴァがわずかに身を乗り出す。
「具体的には?」
「……夢を見ているような口ぶりで、見えない誰かと会話をする。誰もいない場所に向かって名前を呼んだり、何かを“待っている”と言い続けたり……そして、次第に、他の男たちを従えるようになった」
「昨日、広場にいた男たち……?」
村長はうなずく。
「あれはもともと別の旅の商隊に雇われていた護衛だった。だが、ここ数日で様変わりし、レオの命令で村から金を“徴収する”ようになった」
フェイの目が細くなる。
「つまり、あの男たちは“従っていた”というより、“縛られていた”。……“恐怖”で、だ」
「その通りだ。……実際、一人だけ命令に逆らった者がいた」
村長の言葉が途切れ、空気がわずかに重くなる。
エヴァが低く問う。
「……殺された?」
「……いや、生きてはいた。だが……正気を保っていなかった。言葉も発せず、目の焦点も合わず……ただ、口元だけが、何かを呟いていた。“同じ声が聞こえる”と、何度も……」
部屋に沈黙が落ちる。
窓から差し込む朝の光は暖かいはずなのに、空気はどこか冷たく、底知れぬものが足元から這い上がってくるようだった。
「そのレオは、今どこに?」
フェイの問いに、村長は硬い口調で答える。
「村の南側。古井戸のそばの納屋に、今も一人で閉じこもっている。誰も近づけない。“何か”と話している。……まるで、誰かを“待っている”ようでもある」
「……わかった。僕らで、見てくるよ」
フェイが立ち上がろうとすると、村長はふと、微かに唇を震わせて言った。
「……助けてくれとは言えん。だが、もし……もし、あの男が戻れる道があるのなら……」
その声には、村を守る者としての苦悩と、ただ一人の“人間”としての祈りが滲んでいた。
フェイはわずかに微笑んだ。けれどその笑みに、いつもの軽さはなかった。
「……見て、考える。どうするかは、それから」
そしてそのとき、沈黙を破るように、エヴァがぽつりと呟いた。
「ねえ……私たち、もしかして、何か“大きなもの”に巻き込まれ始めてる?」
フェイはその言葉に答えなかった。ただ、静かに笑った。
だがその瞳に宿っていたのは、“答えを知る者の覚悟”だった。
あたたかくも冷たい、その深い瞳の奥に——エヴァは、言葉にできない何かを見た気がした。
* * *
古井戸の脇に建てられた小さな納屋は、朝の光が差しているにもかかわらず、そこだけが妙に陰って見えた。
風も音も止まり、まるで空気そのものが怯えているかのように、重く、湿り気を帯びていた。
「……ここか」
フェイがぽつりと呟いた。
閉ざされた扉の隙間から、何かが“滲み出て”いた。気配のようでいて、意識のようでもある。
鼻先をくすぐる焦げた臭いと、微かに金属のような鉄臭さ。そして——ほんのわずかに、“魔素”の気配。
「……おかしい。生きてはいる。でも、呼吸が異様に浅い。まるで、意識だけが別の場所にあるみたい」
エヴァが眉をひそめる。
フェイは静かに扉に手をかける前に、軽くノックをした。
コン、コン。
返事はなかった。
しかし、その次の瞬間——
「……うるさい……来るな……やつらが……やつらが、また来るんだ……!」
男の叫び声が中から響いた。
喉の奥をかきむしるような、壊れかけた声。意味を持たない単語の連なりに、どこか“他人の言葉”のような響きがあった。
「レオ、村長が心配してる。少しだけ話せないかな?」
フェイが優しく声をかけると、中の男はがたん、と何かを蹴飛ばした音を立てた。
「知ってる……見てるんだろ、おまえ……その目……青い……!」
一瞬、エヴァがぴくりと肩を震わせた。
フェイはわずかに笑みを浮かべるが、その目には一切の遊びがなかった。
「……見られてる、らしいよ。僕」
「まだだ……まだ“その時”じゃない……くるな……来るなァァッ!」
バンッ!
納屋の中から木箱が弾け飛ぶような音。物が乱暴に投げられたのか、それとも人が暴れているのか。
エヴァが剣の柄に手を添える。
「……行く?」
「うん、ちょっとだけね」
フェイが静かに扉を押し開けると、中はわずかに薄暗く、冷たい空気がぬめりながら流れ出てきた。
納屋の中、藁の散らばる床の中央で、ひとりの男が膝をついていた。
体はやせ細り、髪は伸び放題。だが何より異様だったのは、彼の周囲を取り巻く空間だった。
空気が“揺れて”いた。見えないはずのものが、そこに“ある”と感じられる。
「……魔族の干渉、だね」
フェイの声が低く、沈む。
「え……」
エヴァが息を呑んだそのとき、レオががくりと顔を上げた。
「おまえ……“なか”にいるのか……あいつの……なかに……?」
その視線はフェイを見ていたはずなのに、次の瞬間にはエヴァに向いていた。
「ちがうのか……じゃあ、女のほうか……あいつが……目を通して見ている……!」
「……っ!」
レオがふらりと立ち上がり、よろめきながら手を伸ばしてきた。
即座にエヴァが間合いを取り、手首を打ち払う。
男は倒れ、再び地面に崩れた。
「やっぱり……壊れてはいない。でも、境界が曖昧になってる。中に、誰かがいるような……でも、完全に“乗っ取られて”はいない」
フェイがしゃがみ込み、レオの様子をじっと観察する。
「これ……魔法じゃない。“入り口”がある。思考の奥深くに……別の意識が、“棲み着いて”いるような感触」
「そんなこと……本当にあるの?」
「……あるよ。古い記録に、“魔族の憑依”のようなものがあった。直接操るんじゃない。“意識の隙間”に入り込み、囁き続けて……やがて人格の一部を侵食する」
「じゃあ、これは——」
エヴァが呟きかけたそのとき、レオが地面を這いながら何かを繰り返し呟いた。
「……うしろに……うしろにいる……ずっと、立ってる……影が……声が……」
その声は、誰にも聞こえていないものへ向けた祈りか、あるいは恐怖そのものだった。
エヴァの全身に冷たいものが走る。
「これは、ただの狂気じゃない。“入り込まれてる”」
フェイは立ち上がり、ゆっくりと息を吐いた。
「……そう。たぶん、もう村の中には“痕跡”がある。気づいてないだけで、他にも……」
「私たち、狙われてる可能性もあるってこと?」
フェイはわずかに沈黙し、そして笑った。けれどその笑みは、どこか**“諦観に近い覚悟”**を含んでいた。
「そうかもしれない。……でもまあ、狙われるってことは、価値があるってことかもね」
その軽口の裏にある“本当の意味”に、エヴァは言葉を返せなかった。
納屋の中には、まだ怯えた呻きがこだましていた。
その声の向こうに、確かに“何か”がいる。
影を、言葉を、そして人の心の隙間を通して、こちらを見ている——そんな感覚だけが、強く残っていた。
納屋の扉が静かに閉じられたとき、まるで空気そのものが密閉されたような重さが室内を支配した。
湿った藁の匂い、染みついた汗と焦げた鉄のような臭い。生きているはずの空間なのに、そこに“命の気配”は薄かった。
レオは、散乱した藁の上に膝をつき、虚ろな瞳で何もない空間を見つめていた。
額には冷たい汗。唇は乾き、かすれた声が絶え間なく漏れる。
「……声がする……影が……また、また、来るんだ……!」
フェイはゆっくりと歩み寄る。
重苦しい空気を切り裂くことなく、まるでそれすら馴染ませるような静かな足取りだった。
正面にしゃがみ込むと、そっとレオの名を呼ぶ。
「レオ」
反応はない。
エヴァが背後で剣の柄に手を添えつつも、すぐには動かない。彼女の目は、フェイの“目”を見ていた。
「何かが……中で、ぐるぐるしてる……」
レオの言葉は、まるで自分の体の中を迷う魂のようだった。
「……自分の声なのに……自分じゃない……やつが……なかに……」
そのとき、フェイの右手がふっと持ち上がった。
胸の前で掌を開き、指先が空気の層をなぞる。まるで何か“見えない膜”を探っているように。
「……やっぱり、いるな」
囁くように言ったフェイの瞳に、淡く、深い青の光が宿る。
エヴァが思わず息をのむ。
(この空気……あの時と同じ……)
義賊に囲まれたあの夜。
彼の目が青く染まったとき、空気は沈み、何か“別の次元”がそこに現れた気がした——。
フェイの指先が、そっとレオの額に触れた——瞬間。
バシュッ。
音のない衝撃が空間を走る。
空気が波打ち、視界がふわりと揺らいだ。フェイの意識は、一瞬で“レオの内側”へと引きずり込まれた。
——声。無数の囁き。
——痛み。脳裏に刺さるような、鋭くも深い裂け目。
——名前。知らぬ誰かの名が、遠くから響いてくる。
そこには、レオの“精神の断層”があった。
自我が軋み、割れ目に黒い水のようなものが流れ込んでいた。
それは——魔族のものだ。思念だけで他者を汚染する、古く異質な“囁き”。
「……やめろ……おれは、おれは……おれは……!」
レオの心が軋みながら訴えていた。
その叫びを、フェイは受け止める。
押し返すのではない。拒むのでもない。
ただ、静かに、まるで友に語りかけるように、内側から声をかける。
「大丈夫。まだ、戻れる。君は“壊れていない”」
すると——
レオの体から、“黒い残響”のようなものがふっと揺れた。
目には見えないが、空気が確かに“澄んだ”。
まるで濁った水面に、小さな光が落ちたような……希望の揺らぎだった。
次の瞬間、レオの体から力が抜け、静かにフェイの腕の中へ倒れ込んだ。
「……終わったの?」
エヴァがそっと近づき、慎重に問いかける。
フェイは頷く。
「うん。でも、完全には抜けてない。痕跡は残ってる。……けど、もう自分を失ってはいない」
エヴァはそっとレオの顔を覗き込む。
その表情は穏やかで、目を閉じた顔はまるで眠っているかのようだった。
「……まるで、深く眠ってるだけみたい」
「彼の奥に沈んでいた自我を、少しだけ引き戻した。あとは……時間が必要だ」
そう言って、フェイはレオの体をゆっくりと横たえた。
エヴァは、さっきの出来事を脳裏で反芻する。
あの一瞬、フェイの気配は“人”のものではなかった。
(あれは……心の中に手を伸ばしていた。まるで、魂に触れるように)
その背を見つめたまま、ぽつりと呟く。
「……あなた、本当に“ただの案内人”じゃないわよね」
フェイは少し笑った。
けれど、何も言わず、そのまま扉のほうへと向かう。
その背には、“他者には踏み込めない場所”があった。
覗いたら引きずり込まれそうな深淵——
それをエヴァは、本能で感じ取っていた。
だが、同時に思う。
(それでも……この人は“帰ってこられる”。きっと、自分で決めた場所に)
だから、自分も目を逸らさずに隣を歩いていこう。
そう、小さく決意するように、エヴァは一歩を踏み出した。
納屋の扉がゆっくりと開かれた。
その瞬間、淀んでいた空気が押し流されるように、朝の光が差し込んだ。
けれど、それはただの光ではなかった。
まるで、何かが終わり、そして“始まり”の兆しが届いたような——そんな光。
レオを静かに抱き上げたフェイの腕に、彼の身体は抵抗なく預けられていた。
眠っているだけ——だが、今の彼は確かに“人”の姿に戻っていた。
納屋の外には、ぽつりぽつりと村人たちが集まり始めていた。
昨夜までの不安と困惑に満ちた表情はどこかに消え、代わりに、恐れと、それに混ざるようにして——希望が滲んでいた。
その希望の正体を、彼ら自身もまだ知らない。
けれど、フェイの背負う男の静かな寝顔が、その兆しを示していた。
無言のまま、フェイはゆっくりと村長の屋敷へと向かう。
彼の背に流れる空気はどこまでも静かで、けれど、なぜか心をざわつかせる。
エヴァは少し距離を取りながらその後ろを歩いた。
足取りは軽いはずなのに、何故か胸の奥がざわりと揺れる。
さっき、フェイがレオの“心”に触れた時、自分が見たもの——それは“人の領分を超えた何か”だった。
(……あの人は、いったい、どこまで知っているの?)
やがて屋敷に着くと、扉を開け放った先に、村長が立っていた。
その目がレオを見るなり、大きく見開かれる。
「……彼は……!」
「意識はない。でも、もう暴れたりしない。自我は、ちゃんと戻ってるよ」
フェイはそう言って、レオを丁寧に床に横たえた。
その腕からそっと手を放す時、彼の表情に一瞬だけ“慈しむ”色が宿った。
村長は言葉もなく、レオの傍らに膝をつき、震える手で額をそっと撫でる。
「……こんな顔を……久しく見ていなかった……」
その声には、安堵と悔恨と、深い哀しみがにじんでいた。
「時間はかかります。でも、もう“他人”の顔じゃなかったわ」
エヴァがゆっくりとそう告げると、村長は深く頷いた。
「……ありがとう。本当に、ありがとう。これでようやく、この村も……夜を、眠れる」
その言葉に、フェイは小さく首を振った。
「僕らはただ、少しだけ扉を開けただけですよ。中に入るかどうかは、村の人たち次第です」
村長は何も返さず、ただ深く頭を垂れた。
窓の外には、朝の風が吹き抜けていく。
柔らかな陽の光が草木を照らし、どこかで鳥の鳴く声が聞こえた。
広場には、もう傭兵たちの姿はなかった。
彼らは、レオの崩壊とともに姿を消したらしい。
恐怖の糸が切れたとき、彼らが縛られていた“支配”もまた、力を失ったのだ。
「……結局、彼らも“ただの人間”だったのね」
エヴァが呟く。
その声には責める響きはなかった。ただ、理解しようとする静かな温度があった。
「恐怖は、人を縛る。時に、道理も、誇りも、友情すらねじ曲げる」
フェイは窓の外を見ながらぽつりと呟いた。
「でも……それに勝てるのも、結局は“人”なんだよ。
きっかけさえあれば、誰だって、目を覚ませる」
エヴァは少しだけ、その横顔を見つめた。
その言葉は、どこか彼自身に向けたものにも思えた。
(……この人は、誰よりも“人間の強さ”を信じている)
それは、強い魔族や術者を知っている者だからこそ持てる信念。
本物の闇を見たことがある者だけが語れる言葉。
「……あのレオって人も、最初はきっと誰かを助けようとしていたのよね。
何かに取り込まれたのは、その“思い”の先だったのかもしれない」
「そうかもね。強い想いほど、闇にとっては“美味しい”。だからこそ、狙われる」
フェイの声に、ひそかに潜む“警鐘”のような響き。
それが、ただの警告ではなく——どこか“自分にも言い聞かせている”ように感じられて、エヴァは静かに目を伏せた。
(私たちも、気をつけなきゃいけない)
風が、木の枝を揺らしていた。
遠くの森のほうから、カラスの鳴く声が聞こえた。
その声が、一瞬だけ“誰かの笑い声”に聞こえたのは、気のせいだっただろうか。
——嵐の中心には、まだ誰もたどり着いていない。
だが、確かにそこへ向かって、物語は動き始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
悲報 スライムに転生するつもりがゴブリンに転生しました
ぽこぺん
ファンタジー
転生の間で人間以外の種族も選べることに気付いた主人公
某人気小説のようにスライムに転生して無双しようとするも手違いでゴブリンに転生
さらにスキルボーナスで身に着けた聖魔法は魔物の体には相性が悪くダメージが入ることが判明
これは不遇な生い立ちにめげず強く前向き生きる一匹のゴブリンの物語
(基本的に戦闘はありません、誰かが不幸になることもありません)
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる