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第一、静かな楼閣
鶴岡邸一泊目
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1 鶴岡邸一泊目
鶴岡邸。
万両市を一望出来る小高い・・・否、急勾配の登山道を抜けた所にある。
夏なので、歩く度全身から湯水、滝の様な汗が滲み出て、恨めしそうにカンカン照りの太陽を見上げる。
あいつめ、核弾頭の大陸間弾道ミサイルぶつけたろうか?
などと思う、が今度は冬場になると人間とは都合の良いもので太陽の光で暖を取り、ありがたみを感じるものなのだ。
それはいつの時代も同じ。
イレギュラーを生み出した事を後悔しているかは聞いてみないと分からないが。
イレギュラー。
異端者。
人類が神、悪魔などを偶像崇拝するようになった時から、不可思議な力を持つ者達が現れ始めた。
東に陰陽師あれば、西に魔術師。
双璧、対を成し、何百年と戦いを繰り広げていた。
だが、ある時を境に争いは止まる。
霊魔冷戦時代に突入し、もう10年。
小競り合いは稀に起きるも、大きな動乱は無い。
陰陽師、安倍晴明。
魔術師、アンブローズ・マーリン。
この二人の予言により戦いは突如止まったとされるが・・・。
まあ、付け焼刃的知識をヒスイから聞いて、疑問に思った事。
陰陽師と魔術師の戦いはタブーのはずなのにどうして屋上で派手に戦っていたのか?
そして何故・・・
「銀次郎さん、本当にいいんですか?エルフに鶴岡の門をくぐらせて」
「俺が構わんって言ってるからいいんよぉ・・・無粋を働けば斬り捨てるだけだしねぇ」
そんな会話が聞こえてくる。
そう、エルフを特別に嫌っているのか?
これは流石に教えてはもらえなかったが・・・。
やがて、やっと舗装された道が現れる。
ん?舗装?
そう、麓からコンクリートで舗装された道が。
「これぐらいで弱音吐かれても困るしねぇ」
とけたけた哂う。
鶴岡邸。
和洋折衷の建物がそこにはあった。
通されたのは中庭に立派な白石の河が流れている離れ。
私と蓮祖母ちゃん、その後ろには3人のエルフさん。
武器の持ち込みはご自由にどうぞ、だったので剣を携えている。
ヒスイ、銀次郎さんはそれぞれ脇差を畳に置く。
でもよく考えたらエルフと畳とは少しアンニュイな感じがしてならない。
エルフさん達は時代錯誤は危険と判断したよう。
昔、ゲームではエルフと言えば、ニーパッドに弓に皮の兜、と言う感じだったが、今のエルフは剣は分かる、分かるが、弓から拳銃はどうなのだろうかと。
服装もネクタイを締め、その上からカーキ色のスーツ。
完全に人間社会に混ざっている。
少しすると
「頭が高い、主上おなーりー」
奥座敷から真っ白い髪の、これまた真っ白い雪の様な肌をした12歳位の少女が入ってくる。
少女のまとっている十二単には、一目で分かる鶴の紋。
そう言えば鶴岡邸の門にもこれと同じものが彫られていたのを記憶の片隅から引っ張り出す。
少女が口を開く。
その瞬間、緊張感がこの空間を支配する。
第一声が何なのか?
気品の塊である、この少女。
まるで真綿で死を与えられそうな、そんな緊張感が走る。
まだ一言も発していないのにこれは異常だ。
そして放たれた言葉は・・・。
「はぁぁ・・・重い、暑い・・・軽く死ねる、もうちょっとどうにかならないかしらね、これ・・・しかも友達とタピオカジュース飲んでのんびりしてたのに急に呼び出し食らうし、空気読めないのかしら?」
その言葉にプツりと緊張感の糸が切れる。
余りに俗世に慣れている感が否めない。
普通の小学生のレベル。
これ、ツッコミ入れたら面白い反面、軽く怒られる、かも?
ブツブツと独り言が口から洩れていたので
「まーた独り言洩れてるぞ?金剛」
金剛とはまた、この小さな、否、麗しさを感じるので小さな子とは失礼である。
ともかく金剛とは些か当てはまらない。
型が合わない、材料が不適合、そんなレベルではない。
金は合ってもいいかもしれない。
ただ、剛は・・・。
最初、襲名した際
「ダサい」
後で聞く話だと、とばっさり切り捨てた。
それでも仕来りは仕来り。
むっすーと襲名したての頃は頬を膨らませていたが、まあ、時間と妥協。
金剛という名は外では出来るだけ使わない。
なので外では鏡と言う名を名乗っている。
金剛は
「あ、銀助来てたの?」
銀次郎に気が付くと、軽く手をひらひら。
そしてこっちこい、こっちこい。
あんまり気が乗ってなかったのか、ため息一つ。
そして金剛の差し出した座布団に座る。
それと同時に金剛は、銀次郎の頭を撫で
「相変わらず小さいなあ!どうだ!まだあの話・・・」
話の腰を折るように、と言うより、眉間にしわを寄せ、離れようとする。
が、中々剥がれない。
「銀助じゃねぇって何度言ったら分かる、銀次郎だ」
と撫でまわしてくる離れない手を軽く避ける。
そして再び元の座に戻り、くちゃぐちゃにされた髪を手ぐしで適当に直し・・・と思った事が一つ。
身長は低いが、中々の美少年。
しかし理由も付けず、つっけんどんにされたあの話と言うのは・・・?
もしかしたら鶴岡の秘密を探れる?
探ったしても私には使い道がないが。
だがこれまたどうでもいい事だった。
「デート。忘れた訳じゃないわよね?」
「語弊を生むからな?それ?あくまで護衛だ」
その言葉にプーっと頬を膨らませる。
フ・・・。
風が走る。
ブタさん線香。
これだけの豪邸なのに置かれている物は一々レトロである。
そのブタさん線香の煙が揺れた。
ふと、後ろを振り向いてみると、エルフが一人いない、否、畳を蹴って、更に梁を蹴りソードを抜いて
「その命、貰った!」
だが
「私を屠りたいか?下賤者」
銀次郎が脇差の切っ先をエルフの首元に突き付ける。
同時に
「うん、Eカップ」
胸を掴んでいた。
オヤジか?
しかし最初に仕掛けてきたのはエルフの方であって、下手すると殺されていた。
しかしセクハラはセクハラ。
いや、敵にセクハラしたらどうなるんだろう?
法律的に正当防衛?
だが銀次郎の行動は微妙に主旨に合わない。
だがこのエルフは特に何も無かったかのように剣を納めようとした、が鈍い音がして、バラバラになって金属クズになる。
「・・・流石、鬼斬り童子の異名を持つ小童、銀次郎」
「本気で首刎ねるぞ」
小僧扱いされるのが滅茶苦茶嫌なのだろう。
歳のいった小学生にありがちな事。
特に男子は。
だがよく考えたら、煙草吸おうとしてたような?
エルフの女性の一人が
「冗談です。本気にしたら格が落ちましてよ」
銀次郎はフンっと鼻息荒く、縁側に出て、わかばを懐から出すと、一本取り、火を点ける。
ふわっと、煙草の煙が立つ。
だが不思議な事に、部屋には煙が入ってこない。
よく考えたらブタさん線香の煙も立ち昇るが、やはり入ってこない。
入ってこられても、咳き込みそうだからご遠慮願うが。
しかし不思議なレトロ感がある邸宅である。
和洋折衷。
部屋の明かりはランプと灯篭。
廊下の明かりは提灯。
こんな造りの家に上がるのは後にも先にも早々にないだろう。
しばらく無言の間が流れたが、銀次郎はよいせと腰を上げ
「いい加減姿を見せたらどうだぁ?赤鉄。お前の殺気はクセぇんでな」
クスクスっと庭先の林の中から・・・いや、あちらこちらから反響する。
余りの事に方向感覚が崩れそうになる。
そして
銀、相変わらずねぇ、もう少し肩肘の力抜いたらぁ?そこにいるエルフぶち殺すとかぁ、きゃはは・・・!
やがて私の影からすーっと人影が現れる。
驚いた事に、この万両市立中学校のセーラー服の女子生徒。
しかもかなり可愛い感じの子である。
だが、持っているのは学業本分の学生カバンでも何でもない。
禍々しさを一際引き立てる日本刀。
それをずるりずるりと曳く。
命の危機と感じたのか、エルフの一人が
「シャイニングブレード!」
赤鉄の上空に魔法陣が浮かび、そこから無数の光の剣が降る。
「この程度か。魔法って言うのはよぉ!拍子抜けだぜぇ!死にさらりゃせやぁ!」
剣を避けきり一気に縁側を蹴り、殺しにかかろうとした、が
「・・・何のつもり?」
銀次郎は赤鉄の持つ一振りの凶刃を、鞘で止める。
これが、全くの無音でおこなわれた事なので、達人の域に入る。
剣を止められた、是は是でいい。
ただ、己の未熟に内心腹を立てている。
それが例え、鬼斬り童子の異名を持つ、達人、否、化け物であっても。
剣士なら分かるだろう。
常に強くなりたい。
その願望が。
ただ、剣を交えるのではない。
他の者の振るう剣も学習する。
赤鉄の言葉、纏う殺気は常人離れしているが、無意識に学習し物にしている。
だが、いくら強者と戦い学習しても、銀次郎は天に与えられた、正しく天才なのだ。
銀次郎に戦いを挑み、何度、辛酸を舐めらせられた事か。
後、何回戦いを挑めば勝てるのか。
否、肩を並べられる程強くなれるのか?
赤鉄は刀を納め
「主上の前での殺生はご法度、だったな」
迎賓館。
鶴岡邸には数多くの権力者や有名人や、ともかく、御偉方々が来る。
お風呂から上がった私と蓮祖母ちゃん、エルフ方々。
遅れて戻ってきたヒスイがビールをお盆に載せて戻ってくる。
「私達はこっちね」
瓶コーラを二つ。
冷たいコーラは喉の渇きを一掃するには十分。
障子を開けると、不気味な真っ赤な月。
まるでこれから流される血の量を予見するかのように。
この時はまだ、何が起きるか分からなかった。
否、その言葉では片付けられない事を知り、体感し、あまりの不遇に怒り、泣き、それでも先に進もうとする、そう、霊魔大戦の引き金になろうとも。
鶴岡邸。
万両市を一望出来る小高い・・・否、急勾配の登山道を抜けた所にある。
夏なので、歩く度全身から湯水、滝の様な汗が滲み出て、恨めしそうにカンカン照りの太陽を見上げる。
あいつめ、核弾頭の大陸間弾道ミサイルぶつけたろうか?
などと思う、が今度は冬場になると人間とは都合の良いもので太陽の光で暖を取り、ありがたみを感じるものなのだ。
それはいつの時代も同じ。
イレギュラーを生み出した事を後悔しているかは聞いてみないと分からないが。
イレギュラー。
異端者。
人類が神、悪魔などを偶像崇拝するようになった時から、不可思議な力を持つ者達が現れ始めた。
東に陰陽師あれば、西に魔術師。
双璧、対を成し、何百年と戦いを繰り広げていた。
だが、ある時を境に争いは止まる。
霊魔冷戦時代に突入し、もう10年。
小競り合いは稀に起きるも、大きな動乱は無い。
陰陽師、安倍晴明。
魔術師、アンブローズ・マーリン。
この二人の予言により戦いは突如止まったとされるが・・・。
まあ、付け焼刃的知識をヒスイから聞いて、疑問に思った事。
陰陽師と魔術師の戦いはタブーのはずなのにどうして屋上で派手に戦っていたのか?
そして何故・・・
「銀次郎さん、本当にいいんですか?エルフに鶴岡の門をくぐらせて」
「俺が構わんって言ってるからいいんよぉ・・・無粋を働けば斬り捨てるだけだしねぇ」
そんな会話が聞こえてくる。
そう、エルフを特別に嫌っているのか?
これは流石に教えてはもらえなかったが・・・。
やがて、やっと舗装された道が現れる。
ん?舗装?
そう、麓からコンクリートで舗装された道が。
「これぐらいで弱音吐かれても困るしねぇ」
とけたけた哂う。
鶴岡邸。
和洋折衷の建物がそこにはあった。
通されたのは中庭に立派な白石の河が流れている離れ。
私と蓮祖母ちゃん、その後ろには3人のエルフさん。
武器の持ち込みはご自由にどうぞ、だったので剣を携えている。
ヒスイ、銀次郎さんはそれぞれ脇差を畳に置く。
でもよく考えたらエルフと畳とは少しアンニュイな感じがしてならない。
エルフさん達は時代錯誤は危険と判断したよう。
昔、ゲームではエルフと言えば、ニーパッドに弓に皮の兜、と言う感じだったが、今のエルフは剣は分かる、分かるが、弓から拳銃はどうなのだろうかと。
服装もネクタイを締め、その上からカーキ色のスーツ。
完全に人間社会に混ざっている。
少しすると
「頭が高い、主上おなーりー」
奥座敷から真っ白い髪の、これまた真っ白い雪の様な肌をした12歳位の少女が入ってくる。
少女のまとっている十二単には、一目で分かる鶴の紋。
そう言えば鶴岡邸の門にもこれと同じものが彫られていたのを記憶の片隅から引っ張り出す。
少女が口を開く。
その瞬間、緊張感がこの空間を支配する。
第一声が何なのか?
気品の塊である、この少女。
まるで真綿で死を与えられそうな、そんな緊張感が走る。
まだ一言も発していないのにこれは異常だ。
そして放たれた言葉は・・・。
「はぁぁ・・・重い、暑い・・・軽く死ねる、もうちょっとどうにかならないかしらね、これ・・・しかも友達とタピオカジュース飲んでのんびりしてたのに急に呼び出し食らうし、空気読めないのかしら?」
その言葉にプツりと緊張感の糸が切れる。
余りに俗世に慣れている感が否めない。
普通の小学生のレベル。
これ、ツッコミ入れたら面白い反面、軽く怒られる、かも?
ブツブツと独り言が口から洩れていたので
「まーた独り言洩れてるぞ?金剛」
金剛とはまた、この小さな、否、麗しさを感じるので小さな子とは失礼である。
ともかく金剛とは些か当てはまらない。
型が合わない、材料が不適合、そんなレベルではない。
金は合ってもいいかもしれない。
ただ、剛は・・・。
最初、襲名した際
「ダサい」
後で聞く話だと、とばっさり切り捨てた。
それでも仕来りは仕来り。
むっすーと襲名したての頃は頬を膨らませていたが、まあ、時間と妥協。
金剛という名は外では出来るだけ使わない。
なので外では鏡と言う名を名乗っている。
金剛は
「あ、銀助来てたの?」
銀次郎に気が付くと、軽く手をひらひら。
そしてこっちこい、こっちこい。
あんまり気が乗ってなかったのか、ため息一つ。
そして金剛の差し出した座布団に座る。
それと同時に金剛は、銀次郎の頭を撫で
「相変わらず小さいなあ!どうだ!まだあの話・・・」
話の腰を折るように、と言うより、眉間にしわを寄せ、離れようとする。
が、中々剥がれない。
「銀助じゃねぇって何度言ったら分かる、銀次郎だ」
と撫でまわしてくる離れない手を軽く避ける。
そして再び元の座に戻り、くちゃぐちゃにされた髪を手ぐしで適当に直し・・・と思った事が一つ。
身長は低いが、中々の美少年。
しかし理由も付けず、つっけんどんにされたあの話と言うのは・・・?
もしかしたら鶴岡の秘密を探れる?
探ったしても私には使い道がないが。
だがこれまたどうでもいい事だった。
「デート。忘れた訳じゃないわよね?」
「語弊を生むからな?それ?あくまで護衛だ」
その言葉にプーっと頬を膨らませる。
フ・・・。
風が走る。
ブタさん線香。
これだけの豪邸なのに置かれている物は一々レトロである。
そのブタさん線香の煙が揺れた。
ふと、後ろを振り向いてみると、エルフが一人いない、否、畳を蹴って、更に梁を蹴りソードを抜いて
「その命、貰った!」
だが
「私を屠りたいか?下賤者」
銀次郎が脇差の切っ先をエルフの首元に突き付ける。
同時に
「うん、Eカップ」
胸を掴んでいた。
オヤジか?
しかし最初に仕掛けてきたのはエルフの方であって、下手すると殺されていた。
しかしセクハラはセクハラ。
いや、敵にセクハラしたらどうなるんだろう?
法律的に正当防衛?
だが銀次郎の行動は微妙に主旨に合わない。
だがこのエルフは特に何も無かったかのように剣を納めようとした、が鈍い音がして、バラバラになって金属クズになる。
「・・・流石、鬼斬り童子の異名を持つ小童、銀次郎」
「本気で首刎ねるぞ」
小僧扱いされるのが滅茶苦茶嫌なのだろう。
歳のいった小学生にありがちな事。
特に男子は。
だがよく考えたら、煙草吸おうとしてたような?
エルフの女性の一人が
「冗談です。本気にしたら格が落ちましてよ」
銀次郎はフンっと鼻息荒く、縁側に出て、わかばを懐から出すと、一本取り、火を点ける。
ふわっと、煙草の煙が立つ。
だが不思議な事に、部屋には煙が入ってこない。
よく考えたらブタさん線香の煙も立ち昇るが、やはり入ってこない。
入ってこられても、咳き込みそうだからご遠慮願うが。
しかし不思議なレトロ感がある邸宅である。
和洋折衷。
部屋の明かりはランプと灯篭。
廊下の明かりは提灯。
こんな造りの家に上がるのは後にも先にも早々にないだろう。
しばらく無言の間が流れたが、銀次郎はよいせと腰を上げ
「いい加減姿を見せたらどうだぁ?赤鉄。お前の殺気はクセぇんでな」
クスクスっと庭先の林の中から・・・いや、あちらこちらから反響する。
余りの事に方向感覚が崩れそうになる。
そして
銀、相変わらずねぇ、もう少し肩肘の力抜いたらぁ?そこにいるエルフぶち殺すとかぁ、きゃはは・・・!
やがて私の影からすーっと人影が現れる。
驚いた事に、この万両市立中学校のセーラー服の女子生徒。
しかもかなり可愛い感じの子である。
だが、持っているのは学業本分の学生カバンでも何でもない。
禍々しさを一際引き立てる日本刀。
それをずるりずるりと曳く。
命の危機と感じたのか、エルフの一人が
「シャイニングブレード!」
赤鉄の上空に魔法陣が浮かび、そこから無数の光の剣が降る。
「この程度か。魔法って言うのはよぉ!拍子抜けだぜぇ!死にさらりゃせやぁ!」
剣を避けきり一気に縁側を蹴り、殺しにかかろうとした、が
「・・・何のつもり?」
銀次郎は赤鉄の持つ一振りの凶刃を、鞘で止める。
これが、全くの無音でおこなわれた事なので、達人の域に入る。
剣を止められた、是は是でいい。
ただ、己の未熟に内心腹を立てている。
それが例え、鬼斬り童子の異名を持つ、達人、否、化け物であっても。
剣士なら分かるだろう。
常に強くなりたい。
その願望が。
ただ、剣を交えるのではない。
他の者の振るう剣も学習する。
赤鉄の言葉、纏う殺気は常人離れしているが、無意識に学習し物にしている。
だが、いくら強者と戦い学習しても、銀次郎は天に与えられた、正しく天才なのだ。
銀次郎に戦いを挑み、何度、辛酸を舐めらせられた事か。
後、何回戦いを挑めば勝てるのか。
否、肩を並べられる程強くなれるのか?
赤鉄は刀を納め
「主上の前での殺生はご法度、だったな」
迎賓館。
鶴岡邸には数多くの権力者や有名人や、ともかく、御偉方々が来る。
お風呂から上がった私と蓮祖母ちゃん、エルフ方々。
遅れて戻ってきたヒスイがビールをお盆に載せて戻ってくる。
「私達はこっちね」
瓶コーラを二つ。
冷たいコーラは喉の渇きを一掃するには十分。
障子を開けると、不気味な真っ赤な月。
まるでこれから流される血の量を予見するかのように。
この時はまだ、何が起きるか分からなかった。
否、その言葉では片付けられない事を知り、体感し、あまりの不遇に怒り、泣き、それでも先に進もうとする、そう、霊魔大戦の引き金になろうとも。
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