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第二章 サイキック
23話 制圧作戦
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『オールイートの実』
遺伝子組み合わせによって生まれた果実。栄養価は非常に高く、栄養ドリンクの主要成分としても使用されている。特徴として、適切な環境であれば一時間以内に種から熟成させることが出来る。
たった一時間、速いですね……本当に前の世界とは常識が違うようですね。
「もしかしたら、食料をここで育てることが出来るかもしれません」
「そうか、成長するまで餓死しなければ食べられるな」
「いいえ、それが……一時間で採取が出来ると書いてあります」
「本当か!? いや、この世界だったら不思議ではないか……」
「局長室にクラフトツールパックがあって、それがいるそうです」
「ここの荒れ具合からして数年以上は確実に経過していると思うが、種とか劣化してないか?」
「……どうでしょうか?」
言われてみれば確かに、あのマニュアル通り成功するとは限りませんね。当時と状況が違っていますし……
「見た所は種は劣化しているようには……あ、元々を知らないので、判断できないですね……」
「だが、屁理屈言っても仕方ない。逆に無事な可能性もあるな」
「そうですね……どうしましょうか?」
「俺はアールの判断に従う」
「私の判断ですか? こんな15歳の女子高校生に……」
「見た目に反して、下手な大人よりはよほどしっかりしている。それに、俺は特殊能力は無いからな。アールの方が状況判断に適している」
「そうですか……ね? まぁ、分かりました。では、希望がある方に掛けましょう!」
クラフトツールパックというのが気になりますし!
「イエッサー、キャプテン!」
笑みを浮かべる。
「キャプテン……?」
凄く、違和感があります……
「今度からアールの事はキャプテンと呼ぶことにした」
「はぁ……」
よくわかりませんが、まぁ、いいや……
「局長室はどこでしょうか?」
「ここにそれらしい物がある」
壁に貼り付けている紙に顔を向ける。
ここの案内地図の様で、受付けや警備室などの各部屋に名前が書いてる。
「テレポートステーション……」
4階のある部屋の名前にテレポートステーションと書いてある。
「そんなのもあるのか、何でもありだな」
「局長室は一番上なので、ついでに行ってみましょうか」
気になりますし!
「そうだな」
「ワン!!」
嬉しそうに吠える。
エレベーターの方を見ると、扉は変形し、明らかに壊れている。
「流石に壊れているようですね」
「例え、壊れてなかったとしても乗る気は起きないな」
「点検もされてないですし、危険ですね。階段で行きましょうか」
「まて、一気に上まで登らない方がいい」
「そうなんですか?」
「さっきの化け物がまだ他の階にいる可能性がある。一気に登ると挟み撃ちにあう可能性が高い」
「確かにそうですね……この先、強い化け物が居たら逃げられないかもしれないですし、制圧するしかないですね」
「キャプテンが頑固者でなくて安心した」
「……」
やはりキャプテン呼ばわりは違和感があります……
階段で2階に上る。
音をなるべく立てずに、そっと廊下を覗くと、複数の陶器物が見える。
全く微動せず止まっている。私に気が付いていなようだ。
「……」
今でしたら、大丈夫そうですね。
スキャートフォンで陶器物をスキャンする。
『該当データなし バージョンアップして下さい』
と表示される。
「どうだった?」
小声で聞いてくる。
「駄目でした……これもバージョン不足なようです……」
「そうか、何かわかればよかったんだけどな」
「全くです。でしたら仕方ありません。やりましょう!」
「俺は背後を警戒する。キャプテン、前方は任せたぞ!」
拳銃を取り出す。
「はい!」「ワン!!」
廊下に出る。
数体の陶器物が私達に気が付き、浮遊しながら向かってくる。中には両手を広げている遠距離攻撃の陶器物も見えた。
相変わらず動きも姿も不気味だが、倒せる相手と分かったら恐怖は無い。
「スノーは攻めずに私を守ってください! 私は遠距離の土偶を打ち返します!」
効率よく戦わないと、私がエネルギー不足でダウンしてしまうので!
「ワン!!」
体から剣を抜き、私の前から動かない。
壊れたドアから追加の陶器物が現れ、向かってくる数が増える。
両手を広げている陶器物から、黒く燃え上がる球体が放物線を描いて向かってくる。
「!!」
直ぐに、それをサイコキネシスで止める。
そして、なるべく密着している所に撃ち放つ。
小さな爆発音と共に、数体の陶器物が粉々に飛び散る。
無事な陶器物がスノーに襲い掛かるが、遅すぎた。
陶器物が剣を振り下ろす前に、素早い動きで、スノーが剣で薙ぎ払う。
スノーによって巻き込まれなかった陶器物も粉々に散った。
廊下には視認する限り、土偶たちはいない。
「全員、倒しました! クリアです!」
何とかなりました! スノーがいてくれて心強いです!
「ワン!!」
嬉しそうに吠える。
「後ろも問題なかった。増援は来なかったからな」
「ありがとうございます!」
「にしても流石だな……これなら、俺の出る幕がないな」
どこか、寂しげに言う。
「いいえ、フロストさんがいなかったら、ここまでこれなかったですし、それに戦闘経験や知識は非常に有用ですし、今みたいに、後ろを警戒して頂くことで安心して戦うことが出来ています」
「そうか、そういってもらえるとありがたい。差別もしないしな」
「差別なんて、そんな、生産性のないことはしませんよ」
外国人という意識はしましたが、差別する意味が分からないですし、フロストさんはいい人ですし。
「はは、世界中がキャプテンみたいな人だったら生産力があがるだろうな」
笑みを浮かべる。
「そうですね」
私も自然と笑みが浮かぶ。
遺伝子組み合わせによって生まれた果実。栄養価は非常に高く、栄養ドリンクの主要成分としても使用されている。特徴として、適切な環境であれば一時間以内に種から熟成させることが出来る。
たった一時間、速いですね……本当に前の世界とは常識が違うようですね。
「もしかしたら、食料をここで育てることが出来るかもしれません」
「そうか、成長するまで餓死しなければ食べられるな」
「いいえ、それが……一時間で採取が出来ると書いてあります」
「本当か!? いや、この世界だったら不思議ではないか……」
「局長室にクラフトツールパックがあって、それがいるそうです」
「ここの荒れ具合からして数年以上は確実に経過していると思うが、種とか劣化してないか?」
「……どうでしょうか?」
言われてみれば確かに、あのマニュアル通り成功するとは限りませんね。当時と状況が違っていますし……
「見た所は種は劣化しているようには……あ、元々を知らないので、判断できないですね……」
「だが、屁理屈言っても仕方ない。逆に無事な可能性もあるな」
「そうですね……どうしましょうか?」
「俺はアールの判断に従う」
「私の判断ですか? こんな15歳の女子高校生に……」
「見た目に反して、下手な大人よりはよほどしっかりしている。それに、俺は特殊能力は無いからな。アールの方が状況判断に適している」
「そうですか……ね? まぁ、分かりました。では、希望がある方に掛けましょう!」
クラフトツールパックというのが気になりますし!
「イエッサー、キャプテン!」
笑みを浮かべる。
「キャプテン……?」
凄く、違和感があります……
「今度からアールの事はキャプテンと呼ぶことにした」
「はぁ……」
よくわかりませんが、まぁ、いいや……
「局長室はどこでしょうか?」
「ここにそれらしい物がある」
壁に貼り付けている紙に顔を向ける。
ここの案内地図の様で、受付けや警備室などの各部屋に名前が書いてる。
「テレポートステーション……」
4階のある部屋の名前にテレポートステーションと書いてある。
「そんなのもあるのか、何でもありだな」
「局長室は一番上なので、ついでに行ってみましょうか」
気になりますし!
「そうだな」
「ワン!!」
嬉しそうに吠える。
エレベーターの方を見ると、扉は変形し、明らかに壊れている。
「流石に壊れているようですね」
「例え、壊れてなかったとしても乗る気は起きないな」
「点検もされてないですし、危険ですね。階段で行きましょうか」
「まて、一気に上まで登らない方がいい」
「そうなんですか?」
「さっきの化け物がまだ他の階にいる可能性がある。一気に登ると挟み撃ちにあう可能性が高い」
「確かにそうですね……この先、強い化け物が居たら逃げられないかもしれないですし、制圧するしかないですね」
「キャプテンが頑固者でなくて安心した」
「……」
やはりキャプテン呼ばわりは違和感があります……
階段で2階に上る。
音をなるべく立てずに、そっと廊下を覗くと、複数の陶器物が見える。
全く微動せず止まっている。私に気が付いていなようだ。
「……」
今でしたら、大丈夫そうですね。
スキャートフォンで陶器物をスキャンする。
『該当データなし バージョンアップして下さい』
と表示される。
「どうだった?」
小声で聞いてくる。
「駄目でした……これもバージョン不足なようです……」
「そうか、何かわかればよかったんだけどな」
「全くです。でしたら仕方ありません。やりましょう!」
「俺は背後を警戒する。キャプテン、前方は任せたぞ!」
拳銃を取り出す。
「はい!」「ワン!!」
廊下に出る。
数体の陶器物が私達に気が付き、浮遊しながら向かってくる。中には両手を広げている遠距離攻撃の陶器物も見えた。
相変わらず動きも姿も不気味だが、倒せる相手と分かったら恐怖は無い。
「スノーは攻めずに私を守ってください! 私は遠距離の土偶を打ち返します!」
効率よく戦わないと、私がエネルギー不足でダウンしてしまうので!
「ワン!!」
体から剣を抜き、私の前から動かない。
壊れたドアから追加の陶器物が現れ、向かってくる数が増える。
両手を広げている陶器物から、黒く燃え上がる球体が放物線を描いて向かってくる。
「!!」
直ぐに、それをサイコキネシスで止める。
そして、なるべく密着している所に撃ち放つ。
小さな爆発音と共に、数体の陶器物が粉々に飛び散る。
無事な陶器物がスノーに襲い掛かるが、遅すぎた。
陶器物が剣を振り下ろす前に、素早い動きで、スノーが剣で薙ぎ払う。
スノーによって巻き込まれなかった陶器物も粉々に散った。
廊下には視認する限り、土偶たちはいない。
「全員、倒しました! クリアです!」
何とかなりました! スノーがいてくれて心強いです!
「ワン!!」
嬉しそうに吠える。
「後ろも問題なかった。増援は来なかったからな」
「ありがとうございます!」
「にしても流石だな……これなら、俺の出る幕がないな」
どこか、寂しげに言う。
「いいえ、フロストさんがいなかったら、ここまでこれなかったですし、それに戦闘経験や知識は非常に有用ですし、今みたいに、後ろを警戒して頂くことで安心して戦うことが出来ています」
「そうか、そういってもらえるとありがたい。差別もしないしな」
「差別なんて、そんな、生産性のないことはしませんよ」
外国人という意識はしましたが、差別する意味が分からないですし、フロストさんはいい人ですし。
「はは、世界中がキャプテンみたいな人だったら生産力があがるだろうな」
笑みを浮かべる。
「そうですね」
私も自然と笑みが浮かぶ。
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