大事に育てた畑を奪われたからこの村は見捨てることにした ~今さら許しを乞うても無駄なんだよ~(完)

みかん畑

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70 考察談議

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 俺が作成したスキルは女達に譲渡することも可能らしい。
 俺の信仰値は日に一万程のペースで増えており、作成可能リストにあるスキルなら3000程度で作成して譲ることもできる。

 迷ったが、俺はネリスとセラに『チャネリング』のスキルを覚えさせた。
 これはパーティメンバーの戦力値の合計を平均して共有するスキルで、ネリスとセラは俺から分配された戦力値で200越えの数値となっていた。

 平原に現れるゴブリンの集団くらいでは手も足も出ない程の戦力になり、森の支配者と怖れられるオーガですら、戦いになっていなかった。

 俺は女達のレべルを上げる傍ら、レアスキルである二刀流を獲得するクエストなどもこなし、両手剣を解禁して戦力値を更に上昇させた。また、アクアスの力を借りて女達に水の魔力を秘めた武器を渡し、国内外に名前が轟く最強の戦力となった。

 今の俺の戦力値は448、戦闘組の女達は263まで育ってくれた。

 俺は魔王と始めた週に一度の面談で、そのことを報告した。

「私の配下の特別強い三人が250だから、戦ったらこっちが負けそうね。短期間でよくやるものだわ」

 お土産のクッキーをポリポリ齧りながらそんなことを言ってる。

「ジュリの方はレベリングとかしないのか?」

 同盟について相談するつもりだったが、ついつい話が脇道に逸れてしまう。
 ジュリも分かっているだろうが、俺の話に乗ってくれた。
 正直、魔王軍の幹部達を説得する根拠が、今は足りない状況だ。

「知ってるでしょ。私達は鍛えても無駄なの。最初からどのレベルまで到達するか決まってるから。タクマの持つリセット能力でサブクラスをプレイヤーにすれば、いいとこまでイケるかもしれないけど、私の仲間達はまだタクマのことを信頼してないし、私がリセットするなんて言ったら罠だと疑って大騒ぎするでしょうね」
「愛されてるんだな」
「『眷属作成』で作った配下は皆そうなのよ。私には『カリスマ』っていうスキルもあるから猶更ね。まあ、私が配下の下剋上でやられたりしたらゲームが成立しなくなるから、裏切りだけはないと思ってくれていいわよ」
「なるほどな。ところで、破壊神の序列一位と二位を知ってるって言ってたよな。参考までにどれくらいの戦力値か分かるか?」
「そうね。序列第一位『フジタ・ジン』が10920。序列第二位『クサカベ・ワタル』が10800くらいかしらね。まあ、あなたの『唯我独尊』があれば戦力値は越えられそうだけど」

 今の俺とは文字通り桁違いだな。
 それにしても、フジタにクサカベってどっちも日本人っぽいな。
 俺まで入れたら上位三人が日本人か。どんな連中なんだろうな。

「それと、序列一位のジンには『永久凍土』っていう時間停止系のスキルがあって、序列二位のワタルには『ヒュプノス』っていう対峙した相手を完全催眠状態にするスキルがあるわ」
「ヤバそうな連中だな」
「うん、特にヒュプノスの方は『完全催眠』で女を寝取るのが大好きな屑野郎で、すごく嫌われててしかも強いって評判なの。恋人を寝取られた破壊神を全員返り討ちにしたくらい強いって噂。タクマは綺麗な恋人に囲まれてるから関わらない方がいいわね。まあ、被害に遭ってるのは女神だから楽園の子達は大丈夫なはずだけど」
「タネが分かっててもやっぱり強いものなのか? 催眠無効系のスキルでもあれば対抗できそうだが」
「催眠無効を更に無効にするスキルも取ってるだろうから、いたちごっこになるわね」

 それはそうか。ワタルが本気で『ヒュプノス』を仕掛けるつもりなら、こちらの対抗手段を潰すカードも持ってるだろうな。

「私が持ってる知識は全てクリュウの記憶なんだけど、彼は『完全催眠』には弱点があるって思ってたみたい。催眠効果は死んでる人には無効になるから、その穴を突けば能力は破れるって考えてたみたいだけど、それ以前に戦力値が10800とかバケモノだから、並みの破壊神は10600くらいで200も戦力値に差がある以上、歯が立たないだろうって考えてたみたい」

 まあ、戦力値っていうのは純粋なパワーとしての側面と、カーストとしての意味もあるからな。
 序列を超えて勝つことは難しいのだろう。全体から見たら小さい差に見えても、生身で戦ってみれば200という途方もない戦力値の差に気づくことだろう。

「しかし、能力だけなら俺の場合は蘇生スキルがあるから、肉体が死んだ状態でスキルを使えば対抗できそうだな。六道輪廻の復活までの60秒間を使えば、あるいはってところか……」
「それなら『レクイエム』を取得するのはどうかしら。死をトリガーに自動で発動して、一つだけスキルを使えるの」
「いや、やっぱり駄目だ。その辺はワタルの奴も分かってる気がするんだよな。こっちは自分の死をトリガーにして反撃のパターンを組み立てようとしてるが、相手がそのパターンを逆読みしてトドメを刺さない可能性もあるんじゃないか? 催眠状態にしておけばひとまず反撃される心配はないからな」
「催眠って厄介ね」

 今後の同盟について進展させるつもりが、スキル談議に花を咲かせてしまっている。
 本筋を話すのも大事だと理解しつつも、システムが分かってる子と話すのは楽しいんだよな……。
 ジュリも同じなのか、饒舌に話に付き合ってくれてる。

 それにしても、やはり『完全催眠』について解決策がないと気分が悪い。
 何となく喉に小骨が刺さったような気分だ。

 悩んでたら、アクアスが念話を飛ばしてきた。

『もし旦那様が催眠状態になったら余が起こしてやるぞ? 水の精霊は『目覚め』とは相性がいいからのう。『アストラル・クリア』という余が最近覚えた専用技もあるのじゃ』

「その手があったか!」
「え、何?」

 アクアスがいいアイデアをくれた。最近、国王に触発されて自分を余などと言い始めたアクアスだが、頭の冴えは流石だな。伊達に数百年も生きていない。

 俺がアクアスから貰ったアイデアを説明すると、彼女は感心していた。

「そんな攻略法があったのね」
「ただ、これは俺がヒュプノスと対峙した際の防衛方法だ。まず神と遭遇することなどないだろうが、この先のことも考えて女達が寝取られないように対策はしておきたいな」

『それなら余が女共にやった武器を介して『催眠状態』を解除してやるから心配はいらないのだ。あの者達は気立てのいい娘達だからのう。それと、余がアクセサリーを作って皆に渡しておこう。何かの拍子に武器が離れてもそれなら安心なのでな。完全催眠、怖れるに足らずじゃ。念の為、同盟者であるジュリにも渡しておくのがよかろう』

 やっぱり幻想級の剣はすげぇ!!!

 俺は密かにアクアスを見直していた。神に対抗できる剣なんてもうチートじゃないか。
 セックスできるオナホ機能つきの剣くらいな感覚で頼ってたが、実に心強い剣だな。

『……余のことオナホだと思ってたのか?』

「え、いや違うぞ? 言葉の綾だ! 恋人としてのアクアスは別に見ていた! 本当だ!」
「あなた、急に騒ぎ始めて不審者みたいよ」

 ジュリに注意されつつ、俺はアクアスを宥め続けた。
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