大事に育てた畑を奪われたからこの村は見捨てることにした ~今さら許しを乞うても無駄なんだよ~(完)

みかん畑

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 昼間は休憩所を拠点に仲間達と魔物を狩り、夕方からキャンプファイアーを囲んで団らんの時間を過ごすことにした。

 俺はその団らんの中で、魔王との同盟、そして次の戦いについて仲間に告白するつもりでいた。

 だが、俺がアルコールで軽く唇を湿らせている間に、リリカは完全に出来上がっていた。なんなんだこいつは……。

「ウェーイ!!! 皆も飲もうぜウェーイ!!!!」
「すみません、皆とのキャンプが楽しすぎてリリカは少しテンションが上がってるみたいですね」

 少しどころの騒ぎではなかったが、レイナ姫的には従者のあのテンションはセーフらしかった。もしかして、今までリリカの問題が表面化していなかったのって、レイナの心が広すぎたせいじゃないのか?

「ちょっと兄さん、リリカさんアレ大丈夫なんですか?」
「誰があいつに飲ませたんだ……」
「わ、私……」

 犯人はアリシアだった。
 まったく……。

「リリカはこんなんだが、皆に聞いてもらいたいことがある」
「さっきタクマ様に森で犯されました! ウェーイ!」
「えっ、兄さんそうなんですか?」
「待ってくれ。違う、今話したいのはそういうことじゃないんだ」
「スピー」

 寝た……だと……?

「あの、リリカさんが寝てしまいましたが」
「こいつはもういい。俺は、魔王と停戦したいと思っている」

 打ち明けた。
 女達の沈黙が重い……。

(やはり、魔王がこの世界に与えた痛みはそれだけ大きかったということか)

 皆が言葉を飲み込む中、セラが言葉を発した。

「私は、タクマに一度救われた女よ。だから、この先も何があってもタクマの決定を信じるわ」
「セラ……。お前がそんな風に思ってくれてたとはな」
「それで、いつセックスしたのかしら?」

 最初に聞くことがそれか……。

「いや、まだセックスはしていないし、そういう予定も今のところはない。向こうの幹部にも嫌われてるしな」
「大丈夫よ。私はタクマを信じてるから。素直に話してちょうだい。いつ、魔王とセックスしたの? きっと皆も聞きたがってるはずよ」
「いや、待て、本当にそういう関係じゃないんだ!」
「いつから屋敷に来るのかしら?」

 これは信用されていると言えるのか!?

「兄さん、驚きましたけど、心の準備はできていました。いつか兄さんのことだから、魔王ともセックスするんじゃないかって」
「ま、タクマらしいって言ったら……らしいよな」
「私は信仰よりタクマを取った女です。魔王とも、きっと上手くやりたいと思いますよ。その、タクマが信じた女性なんですから」

 カナミ、ネリス、ミイナまで俺を疑うのか。

「よかったです。少し変わった形ですが、ラムネアに平和が訪れましたね。私達の結婚式の日取りが楽しみです」

 そしてレイナが続く――!

 エリスは……!?

「屋敷の方はご心配なさらないでください。いつでも新しい女性を迎えられるようにしています」

 配慮の仕方……ッ!

「違うんだ! それでも俺はやってない……!」

 俺はかくかくしかじかと説明をした。
 話の運び方として、魔王を服従させていた邪神クリュウという黒幕の存在があり、そのクリュウの企みに気づいた俺は命を狙われているので、魔王と共闘することにしたと話した。

 で、管理神に勧誘されたことは素直にそのまま話した。

「――というわけで、俺はクリュウに命を狙われたり外道神と戦ったりすることになったんだ」
「そんな大変なことになってたんですね。第二の勇者に命を狙われたり、外道神という悪い神様と戦ったり、領主として仕事をしたり、兄さんが過労で倒れないか心配です」
「ああ、俺も何だか心配になってきたよ」

 大丈夫なのだろうか……。

「支えられる部分は私達でも支えていきましょう。私がタクマ様の為に新しい勇者を見つけ、姫の地位を使って誅殺しますね」
「いや、まずは話し合いから入りたいと思う。だがレイナ、ありがとう」
「そうなるとレイナは忙しくなるだろうから、私が領主代行としてタクマの名声を高めてあげるわ。こう見えて、村長の娘として皆の信頼を得ていた実績があるから」
「アリシアはよく賄賂を配っていましたもんね」

 それは領主代行として大丈夫なのだろうか? と思わなくもなかったが、まあやる気があるみたいなので任せることにする。アリシアとカナミのコンビで領主代行を務めてくれるそうだ。

「じゃあ、あたし達は来たるべき勇者との戦いに備えてレベリングを続けるぜ」
「それが良さそうね」
「私も聖女として腕を磨きます」
「ほんならウチもそっちに参加しようかなー」

 ネリス、セラ、ミイナ、ミライでパーティを組むことになった。彼女達にはレベリングの傍ら、領民の為に危険な魔物も狩ってもらおう。

「私達はタクマ様が不在の間の屋敷の管理等を引き続き行っていきますね。それと、領主としての業務の応援も、文字を書けるようになった子達を中心に手伝ってみます」

 エリスのフォローもバッチリだな。

「しかし、そろそろ領主としてアルバトロム領へ引っ越すことも考えないといけないな。領主の為の屋敷があるらしい」
「それでしたら、新入りのクロエ達には屋敷を管理しつつメイドとして研鑽を積んで頂いて、私達が領主の屋敷へ移りましょうか?」
「それは助かるな。ネリスパーティも引っ越しの準備を手伝ってくれるか?」
「へへっ、任せとけよ」

 これで女達の動き方は決まったな。
 あとは、ジュリと今度の同盟について話し合っていかないと。
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