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66 ゲームの終わり(下)
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漆黒のゲートが開かれ、その向こうに白スーツの破壊神が現れた。
ジュリが警戒し、俺は彼女を庇う位置に立つ。
だが、奴はゲートを開いただけでこちらに踏み込んでくることはなかった。
神はこちらに干渉できない。
ルールによって制約がある為、できるのは言葉を交わすことだけのようだ。
しかし、それでも神が発するオーラは強烈なプレッシャーとなって襲い掛かってきた。
冷や汗が吹き出し、奴の一挙手一投足に視線が吸い寄せられる。
これが、本気になった神の迫力か……。
「よう、久しぶりやなあんちゃん。あんちゃんの魔神昇格祝いに、わいも飲んどるで」
破壊神がグラスの白ワインを一気に飲み干す。
オーバーリアクションで酒を飲み干すと、奴はグラスを床に叩きつけた。
「あんちゃん、わいは悲しいで。あんだけ親身になってたわいをあんちゃんが切り捨てるとは思わんかった。それも星杯なんてしょうもない道具の為にや」
怒りを発散するように、グラスの破片をジャリジャリと踏み潰す。
そして、鋭く俺を睨みつけてきた。
「星杯は道具や。あんちゃん、さっさと殺してやりーや。ジュリももう未練はないやろ? ここら辺で退場しとき?」
ジュリの手が俺の腕をギュっと掴む。
本心では死にたくなどないはずだ。
「なんやジュリ。今更死にたくなくなったんか?」
「少し黙れよ。酔っぱらってんのか? ジュリは道具じゃない。ここに生きる命だ」
「タクマ……」
ジュリの手に触れる。
奴は俺達を見るとケラケラ笑い、それが済むといきなり切れ始めた。
「ここに生きる命? せやから何やねん! 星杯っちゅうんはなぁ、死んで地獄に落ちた魂を使って作った屑の寄せ集めやねん! どんだけ磨いたって神にはならんし、道具として使ってやるのが幸福や。その世界にいる奴らなんかみんなそうやで。善人ぶった聖女もその魂はドブ以下の地獄の魂すくって作った泥人形に過ぎひん。全部無価値なんや。わかりーや!」
分からないな。
というか、お前の考え方自体が間違っている。
「仮にあんたの言うことが全て正しかったとして、その彼女達から生まれてくる赤子が将来神にならないとどうして言い切れる!」
「な、何を言うとんねん。赤ちゃんを産ませて神に育てる? どういう発想やねん!」
「俺はそれを成し遂げる。必ずジュリも孕ませてお前を見返してやる。星杯は価値のある命だ」
「キモいキモイキモイ! ジュリも何か言うてくれや! これは流石にないやろ!」
ジュリが汚いモノを見るように俺を見てる。
しかし、彼女は最終的には俺の隣に落ちついた。
「かなりキモイけど、タクマなら何か変えてくれるかも……」
「任せとけ。創造コマンドの有用性を試そう。この世界の仕組み自体に干渉してやる。その代わり、俺の妻になってくれるか?」
「計画成功までの間ならね。それと、身体は許さないから別のアプローチにして」
俺は前向きな返事をくれたジュリを抱きしめた。
「話聞いてた?」
そう言って肩パンをされた。
神はそんな俺とジュリのやり取りを見て頭を振っていた。
「……タクマと関わると頭おかしくなるで。星杯が意思を持ってゲームに抗うなんて前代未聞や!」
「あんたらが初めから選択肢を与えなかっただけだろ。一人に犠牲を押しつけて楽園を完成させる今のあんたらは間違ってる」
「何を真面目腐って正論振りかざしてんねん! 星杯なんてビーフやポークと同じや! 命犠牲にして世界を回すんはわいらの十八番やろ! 同じことをあんちゃんがしてないって言いきれるんか!? わいらを否定する前に自分の生き方見直してみんかいこのボケが!」
目の前の神が何を言おうと、ジュリは生きようとしてる。
俺の腕を掴んだその力が「答え」だ。
「譲る気はない。ジュリは犠牲にしない。他の方法で俺が楽園を創る。邪魔をするなら全力で潰す」
「舐め腐りおってからに……! わいの面子をこれだけ粉々に砕いてくれたんや。必ずあんちゃん以上のプレイヤーにチートスキルを持たせて送りつけたる。ジュリ共々、首を洗って待っときや!」
対立は避けられないらしい。
「あんたの名前を聞いておきたい」
「名前やと? そんなもん長いこと神としか呼ばれてへんから忘れとったわ。わいの名はクリュウや。ほなまたな、裏切者のあんちゃん」
クリュウのゲートが閉じていく。
俺はジュリの肩を抱き、脇腹を殴られながら今後の計画について思いを馳せていた。
ジュリが警戒し、俺は彼女を庇う位置に立つ。
だが、奴はゲートを開いただけでこちらに踏み込んでくることはなかった。
神はこちらに干渉できない。
ルールによって制約がある為、できるのは言葉を交わすことだけのようだ。
しかし、それでも神が発するオーラは強烈なプレッシャーとなって襲い掛かってきた。
冷や汗が吹き出し、奴の一挙手一投足に視線が吸い寄せられる。
これが、本気になった神の迫力か……。
「よう、久しぶりやなあんちゃん。あんちゃんの魔神昇格祝いに、わいも飲んどるで」
破壊神がグラスの白ワインを一気に飲み干す。
オーバーリアクションで酒を飲み干すと、奴はグラスを床に叩きつけた。
「あんちゃん、わいは悲しいで。あんだけ親身になってたわいをあんちゃんが切り捨てるとは思わんかった。それも星杯なんてしょうもない道具の為にや」
怒りを発散するように、グラスの破片をジャリジャリと踏み潰す。
そして、鋭く俺を睨みつけてきた。
「星杯は道具や。あんちゃん、さっさと殺してやりーや。ジュリももう未練はないやろ? ここら辺で退場しとき?」
ジュリの手が俺の腕をギュっと掴む。
本心では死にたくなどないはずだ。
「なんやジュリ。今更死にたくなくなったんか?」
「少し黙れよ。酔っぱらってんのか? ジュリは道具じゃない。ここに生きる命だ」
「タクマ……」
ジュリの手に触れる。
奴は俺達を見るとケラケラ笑い、それが済むといきなり切れ始めた。
「ここに生きる命? せやから何やねん! 星杯っちゅうんはなぁ、死んで地獄に落ちた魂を使って作った屑の寄せ集めやねん! どんだけ磨いたって神にはならんし、道具として使ってやるのが幸福や。その世界にいる奴らなんかみんなそうやで。善人ぶった聖女もその魂はドブ以下の地獄の魂すくって作った泥人形に過ぎひん。全部無価値なんや。わかりーや!」
分からないな。
というか、お前の考え方自体が間違っている。
「仮にあんたの言うことが全て正しかったとして、その彼女達から生まれてくる赤子が将来神にならないとどうして言い切れる!」
「な、何を言うとんねん。赤ちゃんを産ませて神に育てる? どういう発想やねん!」
「俺はそれを成し遂げる。必ずジュリも孕ませてお前を見返してやる。星杯は価値のある命だ」
「キモいキモイキモイ! ジュリも何か言うてくれや! これは流石にないやろ!」
ジュリが汚いモノを見るように俺を見てる。
しかし、彼女は最終的には俺の隣に落ちついた。
「かなりキモイけど、タクマなら何か変えてくれるかも……」
「任せとけ。創造コマンドの有用性を試そう。この世界の仕組み自体に干渉してやる。その代わり、俺の妻になってくれるか?」
「計画成功までの間ならね。それと、身体は許さないから別のアプローチにして」
俺は前向きな返事をくれたジュリを抱きしめた。
「話聞いてた?」
そう言って肩パンをされた。
神はそんな俺とジュリのやり取りを見て頭を振っていた。
「……タクマと関わると頭おかしくなるで。星杯が意思を持ってゲームに抗うなんて前代未聞や!」
「あんたらが初めから選択肢を与えなかっただけだろ。一人に犠牲を押しつけて楽園を完成させる今のあんたらは間違ってる」
「何を真面目腐って正論振りかざしてんねん! 星杯なんてビーフやポークと同じや! 命犠牲にして世界を回すんはわいらの十八番やろ! 同じことをあんちゃんがしてないって言いきれるんか!? わいらを否定する前に自分の生き方見直してみんかいこのボケが!」
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俺の腕を掴んだその力が「答え」だ。
「譲る気はない。ジュリは犠牲にしない。他の方法で俺が楽園を創る。邪魔をするなら全力で潰す」
「舐め腐りおってからに……! わいの面子をこれだけ粉々に砕いてくれたんや。必ずあんちゃん以上のプレイヤーにチートスキルを持たせて送りつけたる。ジュリ共々、首を洗って待っときや!」
対立は避けられないらしい。
「あんたの名前を聞いておきたい」
「名前やと? そんなもん長いこと神としか呼ばれてへんから忘れとったわ。わいの名はクリュウや。ほなまたな、裏切者のあんちゃん」
クリュウのゲートが閉じていく。
俺はジュリの肩を抱き、脇腹を殴られながら今後の計画について思いを馳せていた。
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