大事に育てた畑を奪われたからこの村は見捨てることにした ~今さら許しを乞うても無駄なんだよ~(完)

みかん畑

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76 トルニア商店訪問(上)

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 無事に外道神を始末した俺は、その足でラリエと共にアルバトロム領の領主の屋敷へ戻ってきた。

「兄さん、無事だったんですね! その方は?」
「え……。あの、私、ラリエです……」

 ラリエがモジモジと恥ずかしそうに会釈してる。
 ん……?

「ラリエさんですか。よろしくお願いします。兄さんの妹で、カナミと申します。女性が多くて驚かれてるかもしれませんが、皆気のいい人達なので安心してくださいね?」
「う……あぁ……はい」

 ラリエはカナミに手を握られ、委縮してるみたいだった。

 ラリエを連れて屋敷を案内する。
 続いてエリスがやってきた。

「タクマ様、外道神との戦いご苦労様でした。こちらは新しい女性の方ですか?」
「そうなるな。彼女はラリエ、一緒に住むことになった」
「では、お初にお目にかかりますラリエ様。私はタクマ様付きの筆頭メイド、エリスと申します。この屋敷でラリエ様が不自由なく過ごせるよう努めて参りますので、どうぞよろしくお願いします」
「あっ、はひっ」

 俺はラリエを自室へ連れ込んだ。

「お前、あの下手な演技は何だ……」
「狙ってやったんじゃないから! ちょっとお姉ちゃんに似ててさ……。タクマって今、何人くらい恋人がいるんだっけ」
「カナミ、ネリス、セラ、ミイナ、エリス、アリシア、アクアス、レイナ、リリカ(二軍)、ミライ、トワ、ラリエで12人か。イジメるなよ?」
「いやいや、そういうのないから。皆、私の好きな人を大事にしてる女の子なんだし。ていうか、変に気とか使われたくないから、私が神様とか言わなくていいからね? この世界では戦力値200くらいで行くつもりだから」
「それだと女達よりも低くなるが」
「それでいいの!」

 何か彼女なりの拘りがあるらしい。

「たまにはフツーに暮らしたいし、この世界で人として生きるよ」
「管理神の仕事はどうするんだ?」
「もう退職願いを出しといた。ちゃんと受理されたから心配しないで。管理神のポストを狙う破壊神なんか幾らでもいるから、後任がなんとかしてくれるでしょ」
「それならクリュウって奴を後任に薦めたいんだが、無理か?」
「んー? まあいいけど、じゃあ一応そういう方向にしとくね? 多分ねじ込めると思うよ。あ、受理された。オーケーだってさ」
「早いな……」
「創造神様の部下は即断即決だからねー」

 クリュウには恨まれてしまったが、恩義は感じてる。
 これで少しは恩が返せたと思いたい。

「じゃあ、挨拶周りでもするか。ラリエは休んでてくれ。俺は適当に挨拶してくる」
「えーっ。私もついてくよ?」
「じゃあ、丁度いいからラリエの顔合わせも兼ねるか」
「うん!」

 透明感のある美少女なラリエを連れて歩いていると、かなりの男達から人気を集めていた。
 こいつ、ジュニアアイドルみたいなあざとい仕草するからな。

「モテるって大変だなぁ。ニヤニヤ」
「俺も鼻が高いよ」
「ホント―? ねえ、誰に会いに行くの?」
「トルニアっていう女商人に会うつもりだ。弟子が悪徳商人に誘拐されたらしい。ラクシア帝国っていうのがあるんだが、そこに連れていかれたらしくてな」
「酷い事するねー。見つけたらぶっ潰してやろうよ。私とタクマの最強コンビでさ」
「それがいいだろうな。ただ、俺はエグイ復讐をするから引くなよ?」
「ふひひ、楽しみ」
「お前やっぱ性格悪いだろ」

 トルニア商会の看板が下がってる店舗へ赴く。
 荷受けするスペースと事務所が分かれた立派な建物だ。
 商人がどれだけ儲かってるかは荷受けする量を見れば分かるが、なかなか盛況だった。

 俺が事務所に顔を見せると、テキパキと部下に指示を飛ばしていたトルニアが、飛び跳ねそうな勢いで驚いた。

 着任の時の彼女は落ち着いたロングスカートを履いていたが、今は短めのスカートで歩き回っている。ポニーテールと相まって活発な印象を受けた。俺と同年代で十七とかそれくらいだと思うが、なかなかやり手だよな。彼女の倍くらい年のいった連中がヘコヘコ頭を下げてるのを見ると、やはりカリスマを感じてしまう。

「あ、領主様!? どうしてこんな所に!?」
「いや、こんなお店ってことはないだろ。広いのに隅々まで掃除が行き届いていていい店だ。何を扱ってるんだ?」
「あ、私達は食料品を卸したりしてます。農場を持っていて、そこから運んで卸しています。あの、こんなところでは何なので、奥にお通ししますね?」

 トルニアは謙遜したが、彼女は軟らかいソファの置かれたリラックスできそうな部屋へ通してくれた。
 紅茶までトルニアの手で淹れてもらい、頭が下がるな。

「心遣いに感謝しよう」
「……いえ、とんでもないです。王都と比べたらそんなに大きな商会じゃないので、お恥ずかしいです」
「いや、お前達のしてきたことは王都の商会など比べ物にならないくらい立派なことだ。恐らくだが、重税から領民を救う為に頑張ってくれてたんじゃないか?」

 『鑑定』をして分かったことをさも推察したかのように話す俺だ。領主としての体面を保つことに必死だったりする。しかし、トルニアは素直に感心してくれたようだった。

「はい、本当はよくないことなんですが、収穫物を低く見せて、その分を配給に回したりしてました。アルジャンの秘書だったロゼアのお父さん……ロアトさんがお目こぼししてくれてて……。でも、ロアトさんは背信がバレて自決させられました。その密告をしたのがロゼアでした」
「……そうだったのか?」

 一瞬、ロゼアのことを疑いかける。
 しかし、トルニアはすぐに真実を教えてくれた。
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