妹に手を出したというカルマを背負って転生する羽目になったけど、スキルを持ってるの俺だけなんで割と余裕な世界でした

みかん畑

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15.すれ違い

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 家に帰った後、リーナのことを話すとエレナは不機嫌になった。
 帰ってきた時は満面の笑みだったのに、今は難しい顔だ。

「エレナ、もしかして怒ってるのか?」
「怒ってないわ。奴隷である私がご主人様に怒る訳ないじゃない」

 頭の中で「ゴーンゴーン」と鐘の音が鳴る。
 真実の鐘がある街で嘘をつかれるとこうなるんだな。
 こんな形で知りたくなかった。

「リーナ様ってお綺麗よね。私、お会いしたことがあるの」
「人命救助の為に手を差し伸べただけで、邪な考えで近づいた訳じゃないさ」
「それは分かるけど、自分のいない所で関係が進展したらって思うと不安になるわ。いきなりお役御免で他の男に売られても困るし」

 今の言い方は少しムッときた。

「俺がそんな不誠実な男に見えるか?」
「あっ……。違うの」
「違わないだろ? エレナの考えがよく分かったよ。だが心配はしないでくれ。他の男に売る時は、ちゃんと君の意見だって聞くことにするよ」
「……っ」

 黙り込んだエレナを見ると、目尻に涙が浮かんでいた。
 急速に罪悪感が込み上げてくる。

 エレナは拗ねてただけで、本気で売られると思ってた訳じゃないだろう。
 ただそんなことはないと否定してほしかっただけだ。

「エレナ、すまない」
「いいの。私は奴隷だから。あなたのことを想う資格なんてないわよね」

 エレナは逃げるように自室に引きこもり、俺はリビングに一人になってしまった。

「何してるんだ俺」

 他の男に売る時はちゃんと意見を聞くだって?
 売り言葉に買い言葉だったとしても、言っていいラインはあるだろう。
 俺はそれを踏み越えた。だから、彼女は泣いたんだ。

 エレナになんて声を掛ければいいんだろう。
 信頼を裏切るようなことを言ってしまった……。

 家に居づらくなった俺は外に出た。
 行く宛なんかなくて、適当なベンチに腰掛けて溜息をつく。

 社会人になって自制心を養って、それなりに大人になった気でいた。でも、考えてみると他人と意見がぶつかるのを避けてただけな気がする。

「……はぁ」

 外で頭を冷やそうと思ったが、暑くて全然クールダウンできそうもない。

 少し歩いてみるか。
 ブラブラと街を歩いてると、市場で指輪が売られてるのを見つけた。
 そんなに高いものでもない。俺からすれば小銭で払える程度の値段だ。

 詫びの品として一つ買って帰ることにした。
 単純な俺は、プレゼントで誤魔化そうという発想に至ったのである。

 家に帰ると、エレナは自室に引きこもっているようだった。
 ノックをするが、返事はない。

「エレナ。すまなかった。俺が言い過ぎたな」

 返事は……なしか。今は一人になりたいだろうし、そっとしておこう。
 リビングへ戻り、ソファに横になって目をつむる。

 寛いでたら眠気がやってきた。もういい。このまま寝てしまおう。
 そう思って寝てたら、思ったよりも時間が過ぎてしまった。
 部屋に差し込む光は茜色で、いつの間にか夕方になっていた。

 いつから居たのか、リビングにはクッションを抱くエレナの姿があった。

「……エレナ。ここにいたんだな」
「これ」

 そういうエレナの指には、俺が買ってきた指輪が嵌められている。
 金色の、何の飾りもないリングだ。
 買ってきたのをそのままテーブルに出してしまっていた。

 サプライズが台無しだ。

「私にくれるの?」
「当たり前だろ。他に渡す相手なんかいないし」
「……そうなんだ」

 エレナは少し嬉しそうに笑った。
 その姿が尊く見えて、俺は「隣に座っていいか?」と聞いていた。

「いいわよ」
「じゃあ、お邪魔して……」

 並んで座る。沈黙が訪れたが、険悪な空気ではない。
 贈り物が効果を発揮してくれたようだ。

「どうして買ってきてくれたの?」
「……悪かったと思ったんだ。約束してたよな? 金貨を100枚返したら自由にするって。なのに、酷いことを言ってしまった。他の男に売る時は……なんて、本心じゃなくても言うべきじゃなかった」
「私も、リーナ様に嫉妬して八つ当たりしてたの。ごめんなさい」
「エレナも謝れるんだな」
「私を何だと思ってるのよ」

 クスクスとエレナが笑う。それで、だいぶ救われた気持ちになった。

「私のこと売らないって約束してくれる?」
「当たり前だ。絶対に売らないし売りたくない。エレナは大事な家族だ」
「エッチもする家族なんだ?」
「それは言うなよ」

 ひとしきり2人で笑ったあとに、エレナが急に肩をぶつけてきた。

「ねえ、私にしてほしいこととかない? プレゼントの御礼がしたいの」
「それなら、いや、しかし……」
「なんでも言って?」
「あ、その、口で奉仕してほしい」
「口で?」

 エレナが自分の唇に指を当てる。エレナの可愛い口で愛してもらえたら最高だと思うんだが。

「舐めたりしてほしいんだ?」
「いや、やっぱりさすがになしでいい」
「えー。もう遅いってば。聞いちゃったもん」
「無理ならいいからさ」
「初めてだから、痛くしたらごめんね?」

 エレナが屈んでくれた。彼女をは俺のモノを取り出すと、優しく両手で包み込んでくれた。

「あったかい。脈打ってるね?」
「あ……ああ」

 エレナがフランクフルトを頬張るみたいに大きく口をあける。
 そのまま上目遣いで俺の反応を見ながら、舌を這わせてくれた。

「エッ……エレナッ」

 エレナの頭を掴んで快感に抗ってしまう。
 それは、甘く痺れるような快楽だった。
 美しいエレナが鼻息を荒くして咥えてくれる。

 熱すぎる口内で温められながら、俺は情けなく腰を震わせた。
 コクコクとエレナの喉が鳴って、彼女は微笑んでくれる。

「吐かないで飲んじゃった」

 俺にはエレナがいれば十分だ。
 やはり、そう思わせるだけの魅力が彼女にはある。
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