妹に手を出したというカルマを背負って転生する羽目になったけど、スキルを持ってるの俺だけなんで割と余裕な世界でした

みかん畑

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32.エピローグ

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 目が覚めた時、俺は棺の中に納められていた。幸い、まだ地中には埋められてないようだ。厳かな雰囲気の最中で、宗教的な儀式の途中だと分かる。

「今、一人の英雄の魂が天へと向かいました」
「あー。告別式の途中だったのか」

 大司教が粛々と進行している最中、俺は棺から起き上がった。瞬間、アンデットに出くわしたような悲鳴が教会内に響き渡った。

「こ、こんなことが……」

 困惑するフレデリク大司教に頭を下げる。

「式を妨害してすまない。この通り、俺は生きてるから中断してほしい」

 最前列にいた2人の少女が駆け寄ってくる。
 最愛の2人と再会して、思わず笑みがこぼれた。

「元気だったか?」
「馬鹿! 元気な訳ないでしょ?」
「心配したんですからね!」

 エレナとリーナに激しくハグされて、床に押し倒された。
 2人はさすがに怒ってるようだったが、それでも俺から離れようとはしなかった。

「ずっとあなたを夢に見てた……。ねえ、本物よね?」
「本物だよ」

 罪人の魂によって修復された俺が、以前の俺と全くの同一人物なのかは分からない。だけど、彼女達とこうして再会できた喜びに嘘はない。

「私、アシル様が負けるはずないって思ってました。だって、アシル様は私を救ってくれたヒーローですから」
「ああ、俺は誰にも負けたりしないよ」

 嗚咽を漏らす2人の少女の熱を感じながら、安堵の溜め息を吐く。

「帰るのが遅くなってごめんな」

 大事な2人を強く抱く。今この瞬間の為に、俺は死を覚悟して魔神王に挑んだんだ。
 しばらく抱いてたら、エレナとリーナは揃って寝息を立て始めた。

 よほど安堵したのか、あるいは眠れていなかったのか。
 2人の頭を抱いて、ゆっくりと息を吐きだす。
 このまま俺も眠ってしまいたい。

 だが、そんな訳にもいかないだろう。
 2人を屋敷のベッドに転移させて、立ち上がる。

「お帰り、アシル君」

 声をかけてきたのはユリアン侯爵だった。

「羨ましい限りだ。両手に華だったね」
「皆さんには心配をおかけました」
「全くだな。あまり娘に心労をかけるな」

 サミュエル公爵も合流してくる。
 俺は苦笑いで受け流した。

「まあまあ。心配をかけたことは否定しませんが、閣下とリーナ嬢を救ったのは彼の勇気ですよ」
「感謝はしているさ。だが、これだけは知っておいてほしい。リーナは食事が喉を通らないほど嘆いていたよ。このまま君の後を追うんじゃないかと思うほどにね。本当に、無事に戻ってきてくれてよかった」
「エレナ嬢も心労を抱えていたな。彼女の後見人になろうとしたのだが、なかなか面談ができなかった。日に日にやつれていって、見ていて可哀想だったよ」

 無事に戻ってこれたことを、改めてクオンに感謝する。
 俺が地上に戻ることを許可してくれたカナエルにも、同じく感謝したい。

「再び同じような事があったら、俺は必ず生きて戻ってきます。レオンはまだ見つかってないんですか?」
「国中を捜索しているのだが、いまだ見つかっていない。セラフィーヌ帝国に逃げたという噂もあるが、確認は取れていない」
「レオンの件は宰相閣下に任せて、アシル君は彼女達の元に戻った方がいいよ。起きた時君がいなかったら半狂乱になるかも……失敬、閣下の前で選ぶべき言葉ではありませんでした」
「はぁ……。私もユリアン侯爵の意見に賛同する。さっさと行ってやりなさい」

 では、愛する女達がいる家に戻ろう。
 屋敷に転移し、穏やかな2人の寝顔を見守りながらベッドに寝転がる。

(ここまで長かった……)


 アシル・カバネル:レベル100
 【冒険者】……自動地図
 【商人】……鑑定
 【不死者】……痛覚遮断
 【剣士】……剣術(中級)
 【殺人鬼】……急所攻撃
 【賞金稼ぎ】……危険感知
 【奴隷使い】……強化
 【性豪】……体力向上
 【勇者】……聖剣解放
 【魔術師】……魔力向上
 【魔剣士】……魔力回復
 【剣聖】……剣術(上級)
 【魔人】……闇魔法
 【超越者】……オーラ
 【救世主】……完全治癒
 【英雄】……万魔調伏
 【使徒】……封印術


 クオンとの修行によって、俺は神域の者を相手取れるようになった。レベルの限界を超える術も施されて、100まで達することもできた。

 だが、どんなに力を得ても、不安が尽きることはない。

 大事なものがあるからこそ、人は恐れを抱くのだろう。しかし、それを弱さとは思わない。俺に力を与えてくれたのは、いつだって愛する人達だった。

「ん……アシル?」
「ここにいるよ」

 寝惚けたエレナに笑顔で返す。かけがえのない少女を抱きしめて、俺も微睡みに落ちよう。
 愛する彼女達の温もりがあれば、きっといい夢が見れるだろうから。
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