届かなかったので記憶を失くしてみました(完)

みかん畑

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真実

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 目覚めると、ミナは微睡みの中に落ちていたことに気づいた。

「こ、ここは……」

 意識が覚醒する。目の前には眠ったままの兄の姿がある。

「ミナ。先に行って事情を聴いてきなさい」
「え、はい……」

 頭が霧がかったようにぼうっとする。

 フラフラとおぼつかない足取りで歩き、メイドから心配されつつ彼女の部屋へ。

 そこに二人が揃っているのを見て、ハッとする。

 エレノアは、怒りの表情でミナを見据えていた。

「ミナ、話があるわ。あなたは親友の私に決して許されないことをした。彼を欺き、私達を別れさせようとしたことよ!」
「に、逃げて!!!」
「へ?」

 怒りをぶつけようとしてきたエレノアに、ミナは必死に訴える。

「ここにいたらダメ! たぶん、この屋敷はあいつが支配してるから!」
「ちょっと、何なの。また私達を騙そうとしてるの?」
「違う! 違うの! ホントに危険なの! だって、この屋敷には――」

 ミナの息が詰まる。
 階段を何者かが上がってくる気配がする。

 アーサーは空気を察して従魔、クオンを呼び出した。
 犬と狼の中間のような外見の従魔を呼び出したアーサーが、ミナの肩に触れる。

「他人の魔力が混ざってる。……暗示か?」
「御明察だ。さすが、我が娘の恋人に選ばれるだけはある」

 扉が開き、冷気を纏ったブラッドが部屋に現れる。

「お父様、ミナに何をしたの?」
「私にも分かるように事情を聞いてもらおうと思っていたが、狂言だったようだね。いや、良かったよ。本当に」

 エレノアの影から鎖が伸び、アーサーの身体を拘束する。

「……チッ。やれ、クオン!」

 アーサーが命じるが、ブラッドの影から伸びた鎖がクオンを拘束し、壁に叩きつける。頭を強く打ちつけた従魔は昏睡し、動かなくなった。

「何が起きてるの!?」
「……最初から仕組まれていたのか」

 焦るエレノア、冷や汗を垂らすアーサー。
 ブラッドが杖で床を突くと、そこには巨大な魔法陣が浮かび上がる。

「魂を入れ替える魔法。というものを、若い頃に思いついてね。だが、実行する為には魔力が足りなかった。最初は従魔を使いこの世界の住民の魂を糧にしようと考えたが、アーサーに阻まれてしまった。ゆえに、今度はアーサーの魔力に目をつけさせてもらった。エレノア、君のお陰でアーサーが手に入ったよ。ありがとう、さすが私の娘だ」
「どういうこと……?」
「エレノアの身体には生まれつきある呪いを掛けてある。それは、結婚した者の魔力を父である私に全て転送する、というものだ。他にも、強い魔力を持つ者に惚れるよう高度な催眠も掛けておいた。分かるかね。お前の恋は全て、私に利用される為だけに存在していたのだよ」
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