冷酷な王子がお馬鹿な私にハマり過ぎて婚約破棄できなくなってることを周りは誰も知りません※R15

みかん畑

文字の大きさ
7 / 29

6 冤罪事件ですぅ!

しおりを挟む
 お昼休み、殿下の為に用意して来たバスケットを持って彼の席に向かうと、すでに先客がいました。

(あの方は……クライアントさん!)

「クラリス、何の用かな」

(……クラリスさんでした!)

「朝はお忙しそうだったので遠慮したのですが、殿下が研究しているマナ理論についてのレポートを書いてきたんです。ランチでも取りながら見ていただけないかと思いまして」
「なるほど。君の書いてきた論文なら是非読ませてもらいたいところだ」
「じゃあ……!」
「しかし、昼は先客があるんだ。もしよければこれは預からせてもらえないかな。王宮でじっくりと読ませてもらいたい」
「分かり……ました」

 断られたクラリスさんがそそくさと私の横を通りすぎていこうとします。

「キャ!」

(ふぇ?)

 クラリスさんが何かに躓いたのか、何もないところで転んでしまいました!
 え? えーっと、大丈夫ですか?
 手を貸そうとしたら、怒ったクラリスさんに睨まれてしまいました。

「いきなり突き飛ばすなんて酷いです! そんなに婚約者に近づこうとする私が邪魔でしたか!?」

 クラスメイトたちが集まってきて、私たちを遠巻きに見ています。

「おい、今の見てたか?」
「ああ、何もないところでクラリスさんが……」
「いきなり突き飛ばすとか最低ね」

(ど、どうしろと……!?)

 焦っている私を見かねたのか、殿下が無言で近づいてきました。

「何かあったのか?」
「それが……」
「聞いて下さいヴァレール様……! 私が彼女の前を通りすぎようとしたら、足を出して転ぶように仕向けたんです!」
「何? 足を……?」

 殿下が鋭く私の足を睨みました。
 う、疑われてますか!?
 助けてくださいエミリー!
 泣き叫びたい心境でしたが、彼女はきっと屋敷にいます!

 殿下は考え込んでいましたが、さすが頭の回転が速いです。
 事件を検証し始めました。

「再現してみようか。彼女はどうやって足を出したのかな?」
「はい。ここから、こうです……」

 私も事件の中心人物のはずですが、驚きすぎて何も言えてません。
 どうしろと……!

「なるほど。クラリス、一つ分かったことがある」
「はい、何でしょうか!」
「それはきっと君の勘違いだ」
「え……?」

 クラリスさんが目を丸々と見開いています。
 なんだか、信じられないものを……幽霊でも見たってくらいの驚きようです。

「実は、今朝がた彼女は足を怪我していてね。少し借りるよ」
「へ?」

 殿下が私の足を掴んでいきなり引っ張ります。
 あたたたた……! 股が……!
 初めてエッチしたのでまだ股がズキズキしていたんです!

「痛いですよぉ!」

 怒りのあまり殿下の頭をポカリと叩いてしまいました。
 クラスメイトたちは「不敬だ……!」と驚いてます!
 ど、どうしましょう。罪状が増えましたか?

「すまない。だが、これで証明されたと思う。ほら、痛みのせいでリアは泣いている。これが演技に見えるか?」
「見えませんが……私は確かに……」
「クラリス、実のところ俺は婚約者に声を掛けようと思って彼女を観察していたんだ。リアは足を出したりしていなかった。君が何もないところで勝手に転び、リアを犯人に仕立て上げようとしたんだ」
「リア様を犯人にしようだなんて考えてません!」
「だったら納得するべきだ。君は被害者であろうとするあまり、無実の彼女に対して加害者になっている。特待生であり、頭脳明晰な君なら俺の言っていることが分かるはずだ」

 殿下の言葉はスパスパ切れるナイフみたいでした。
 あっという間に優等生のクラリスさんを言いくるめてしまって、凄すぎます。

「……申し訳ありません。確かに脚が出たような気がしたのですが、私の勘違いだったかもしれません」
「確証もないのに決めつけるなど君らしくもない。それと、謝罪の相手を間違っているのではないか?」
「くっ……」

 クラリスさんが射殺しそうな目で私を睨んでます。
 こ、怖すぎですよ……!

「この度はぁぁぁ……申し訳ぇぇぇ……ありませんんんん」
「気にしてませんから……!」

 怖かったー。私は殿下の腕にくっついて引っ張ります。
 こんな空気が悪いところには一秒だっていたくありません。

「どうした?」
「サンドイッチ作ったので……」
「そうか。お前が俺の為に作ってくれるとはな」

 ええと、実際はシェフが作った具をシェフが焼いたパンで挟んだだけなのですが。
 サンドしたのは私なので、私が作ったと言っても過言ではないはずです。

「許さない。私の世界なのに」

 教室を去り際、クラリスさんのただならぬ気配が怖かったです。
 私の世界……って何のことなんでしょう。
 分かりませんでしたけど、不吉な感じがしました。

 お腹が空いたのでサンドイッチを食べてから考えましょう……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた

たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。 女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。 そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。 夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。 だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……? ※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません…… ※他サイト様にも掲載始めました!

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

婚約者のことが大大大好きな残念令息と知らんふりを決め込むことにした令嬢

綴つづか
恋愛
――私の婚約者は完璧だ。 伯爵令嬢ステラリアの婚約者は、将来の宰相として期待されている筆頭侯爵令息のレイルだ。冷静で大人びていて文武にも長け、氷の貴公子などと呼ばれている完璧な男性。 でも、幼い頃から感情と表情が読み取りづらいのレイルの態度は、婚約者として可もなく不可もなく、ステラリアはどこか壁を感じていた。政略なこともあるが、引く手あまたな彼が、どうして平凡な伯爵令嬢でしかないステラリアと婚約を結び続けているのか、不思議で不安だった。 だが、そんなある日、偶然にもステラリアは見てしまった。 レイルが自室でベッドローリングをしながら、ステラリアへの愛を叫んでいる瞬間を。 婚約者のことが大好き過ぎるのに表情筋が動かな過ぎて色々誤解をされていた実は残念な侯爵令息と、残念な事実を知ったうえで知らんふりをすることにした伯爵令嬢のラブコメです。 ヒーローとヒロインのどちらかの視点で基本お話が進みますが、時々別キャラ視点も入ります。 ※なろうさんにも掲載しています。

過労薬師です。冷酷無慈悲と噂の騎士様に心配されるようになりました。

黒猫とと
恋愛
王都西区で薬師として働くソフィアは毎日大忙し。かかりつけ薬師として常備薬の準備や急患の対応をたった1人でこなしている。 明るく振舞っているが、完全なるブラック企業と化している。 そんな過労薬師の元には冷徹無慈悲と噂の騎士様が差し入れを持って訪ねてくる。 ………何でこんな事になったっけ?

処理中です...