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村の惨劇
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アリアを背負って歩きつつ、時折マップを見て道を歩いてたら、急に死亡を意味する黒い点が増え始めた。
『アルメルが奴隷にされました』
『リックが力尽きました』
『ポーラが奴隷にされました』
『ソフィが奴隷にされました』
『ドロテが奴隷にされました』
――大量に流れてきたログを見る限り、近隣の村で略奪が起こってるみたいだ。名前的に女性が優先して狙われているらしい。
「なあ、この辺って盗賊が多いのか?」
「え?」
「驚くようなことを言ったか? 言いづらいことでも情報共有してもらえると助かるんだが」
頼み込むと、申し訳なさそうにアリアが口を開いた。
「エリク様は盗賊への対処をお願いする為に、アドリアン・エヴラール侯爵と仲を深めようと考えられました。オレスム領では近年、盗賊による被害が増えています。我が領にはギルドが設置されていませんので、進んで討伐しようとする者がいないのです」
「関係性を深めて先方のギルドに依頼を出してもらおうとしてたのか」
「はい。その為に冒険者の方が泊まれるような色街の建設も進めていました」
心なしかアリアの声が冷たく感じるのは気のせいではないはずだ。話を変えよう。
「しかし、伯爵家は俺に護衛もつけなかったのか。死んだ方がいいとでも思われてたのかな」
「…………」
はい図星。俺、家族から恨まれてたらしい。
「俺、兄妹とかいたのかな?」
「なぜそんな質問を……。まさか、記憶障害なのですか!?」
(そういうことにしておいた方がいいだろう)
「自分の出自のことになると記憶がぼやけるんだ」
「そうだったのですね……。盗賊に襲われたショックなのでしょうが……。伯爵家にはエリク様の他に、長男であるテランス様と、姉君であるナタリー様がいらっしゃいます」
「兄と姉がいたのか。兄弟仲はどうだったんだ?」
「……いずれ分かることなので素直に伝えますが、最悪です」
「理由はあるのか?」
「エリク様が、姉君であるナタリー様に睡眠薬を盛って、性行為をしてしまったことが原因です。オレスム家の醜聞として広まってしまったこともあって、お二人とも激怒されてます。特にナタリー様は婚約の話が一つも舞い込んでこなくなって、恨みの余り幾度となくエリク様を毒殺なさろうとした為、実質的な軟禁状態にあります。お会いしない方がよろしいかと……」
そりゃ護衛もつけずに放り出されるわ……。
「少し先の様子を見てくる。アリアは休んでいてくれ」
俺は結界と隠蔽の魔法を重ね掛けして、アリアを木陰に下ろした。
「エリク様!?」
「アリア、命令だ。不用意に動かないように」
飛翔した俺は高速で空を飛んだ。
10キロ程移動してから眼下を見下ろすと、村で始まった略奪は佳境を迎えようとしていた。
村娘たちが広場に集められている。盗賊の数は30人弱で、思い思いに気に入った娘を取り合ってる。歯向かった村の男達は無惨な姿で殺害されていた。石を口に詰めて殺された女性もいて、この世の地獄が凝縮されたみたいな光景だ。
(まだ衣服が乱れてる娘はいないな)
今の俺は100キロ離れた先にある的でも精密に撃ち抜けるくらい魔法の技量が高い。敵に視認されないよう上空に飛んだ俺は、標的を確認してソーラー・レイの魔法を一斉に解放した。次の瞬間、ヒュンヒュンヒュンという無数の風切り恩と共に盗賊達の四肢が撃ち抜かれた。
「か……はっ……」
降下してのたうち回る男達と目を合わせる。
「てめ……え。侯爵の……雇われか」
「さあな。俺が何者かなんてどうでもいいが、お前達がたっぷり苦しむだけの時間は与えてやるよ」
「何……者……」
「皆、もう大丈夫だ。助けにきたぞ」
感謝されるかなと思ったが、それよりも復讐の方が優先らしい。
救われた娘達が近くにあった石で自分たちを襲った盗賊を殴り始める。
「やめ……ぎっ」
「許してく……」
「あがっ」
情けない声を挙げて男達は死んでいく。
執拗に急所を狙う娘もいて、同じ男として身震いした。
「……救っていただき、ありがとうございます」
少女に礼を言われる。
涙で頬が濡れていて痛々しい。
俺はストレージの魔法で布を取り出すと、少女の涙を拭った。
「う……ぐっ……」
瞬間、少女の涙が決壊した。
「うあああぁぁぁ……!」
「この方は村長の娘です。ご家族は身罷られ、先ほど姉を残酷に嬲り殺されたばかりなのです」
せっかく綺麗な顔なのに、石を口に詰めて殺された死体があった。
目も抉られて片腕もない。
アレはトラウマになりそうだな。
「助けにくるのが遅くてすまなかった」
「とんでもないです。私達全員、もう命はないものと覚悟しましたから……。私はメイドのネリーです。何もない村ですが、どうぞ村長の家に来てください」
冷静に言う黒髪のメイドだが、彼女の頬にはぶたれたような跡がある。強引な男に捕まったんだろうな。美人はこういう時に不利だ。俺がヒールで癒してやると、彼女は深々と頭を下げた。
「従者を迎えにいって構わないか」
「ドロテ様、よいですね?」
「……いかないでほしいです」
幼いドロテを置いて迎えに行けるか?
いや、しかしアリアを放置しておくわけにもいかない。
「必ず戻ってくるから」
「まだ怖いよぉ」
ドロテを抱きしめて頭を撫でてやる。
俺もまだガキだが、彼女はそんな俺よりも3つくらい更に年下だ。
美少女に抱きつかれて庇護欲をそそられた。
「この村を襲ったのは、大盗賊ティボーがまとめる『鮮血の旅団』の一味です。もし仲間の帰りが遅いことに気づけば、次はもっと多くの被害が……」
もっと多くの被害って、現時点で男は殺されて女しか残ってない。今ここにいる生存者は20名弱か? 元が何人の村だったか知らないが、これ以上何をするって言うんだ?
俺の疑問を読んだのか、ネリーは詳細に説明してくれた。
「ティボーは仲間との絆を重んじる盗賊だと自負しています。もし仲間がやられたことに気づけば、きっと生き残った私達は拷問の末に女としての機能が使えなくなるまで犯され、最後は股から八つ裂きにされて魔物の餌にされるでしょう」
大盗賊ティボーか。ストーリーにも関わってくるネームドモンスターで、厄介なことにレジェンダリークラスの装備で身を固めている。今の俺にできることはないかもしれない。
ゲーム本編では実装されていなかったレベルまでスキルを強化してるから、上位ランクの装備なんてなくても余裕で勝てる可能性はある。しかし、安易な期待だけで動いて失敗したら目も当てられない。
「どうか我々をお救い下さい。この身でよければ差し出しますので」
ネリーの身体か。まあ、報酬としては悪くないよな。
「私もお願いします。家族の仇を取ってください。仇さえ取っていただけるなら、一生尽くしますので」
「何でもします。私達を見捨てないでください」
「私も、全部あげるから助けて……」
娘達が口々に訴えてきた。まだ幼いドロテまで……。男に抱かれるのは怖いだろうに、それでもワンピースの裾を持ち上げて下腹部を見せてくる。
(……うーん。命を賭けるだけで村の女全員が、俺の女になるって言ってるんだ。実家で大して力もない俺がこんなに女を囲えるチャンスなんてないよな……)
女達は覚悟を決めた目だ。本気で、俺に身体を売ってでもティボーと戦って欲しいと思ってるらしい。
「皆の気持ちは分かった。やれる限りのことはやってみよう」
「あ、ありがとうございます!」
女達が喜んでる。結局のところ、俺の女になるかティボーの女になるかって話なんだが、まだ俺の方がマシだと考えてるらしい。けっこう好きに抱かせてもらうつもりなんだけど。
「さっきも言ったが、まずは従者を連れてくる。俺が不在の間は結界の魔法を張っておこう。ドロテもくるか?」
「はいっ」
村に置いていきたいが、よほど怖い思いをしたのか俺の傍を離れようとしないので、お姫様抱っこで運ぶことにする。
「お兄ちゃんって呼んでもいいですか? 私、お兄ちゃんがずっと欲しかったんです」
「好きに呼んで構わない」
「うれしいです。でも、もっと早くお兄ちゃんに会いたかったです。そうしたら、お姉ちゃんも助かったのに……」
姉を助ける方法はある。ゴッド・ヒールという最上級魔法は、奇跡を起こして対象を完全復活させる魔法だ。使えば助かるが、そうなると村の男連中も救ってくれとかいう話になりそうだ。せっかく24人も綺麗な女ばかり囲えたのに、元の夫や家族が戻ってくるとなると俺の元を離れる女もいるだろう。
それに、この力を利用しようとする輩が出てくる可能性もある。
いずれにせよ、面倒ごとは避けたい。
だけど、嬲り殺されてたドロテの姉はいい女な雰囲気があったんだよな。
こっそり救っておこうかな。村にあった死体は埋葬するまで綺麗な状態で保管するという名目でストレージに入れている。ドロテの姉を救うことは恐らく簡単だ。
(……ま、今考えることじゃないか)
ドロテを抱いてしばらく飛んだ俺は、無事なアリアを発見して降下した。
「エリク様、ご無事でよかったです。その娘は……えっ」
痛々しく真っ赤になった目を見て、アリアが分かりやすく引いている。
「違う。俺じゃない」
早口で否定しておく。
「この近くに集落があるみたいなんだ。盗賊に襲われてたから救ったんだが、生き残った村人を保護するのに手を貸して欲しい」
「平民をあれほど毛嫌いしてたのに、本当に変わられたのですね」
(……ドロテの前で余計なこと言うなよ)
「生き残ったのは盗賊達に狙われてた若い娘達だ。俺の庇護下に入りたいと言ってきた」
「村の庇護は領主の仕事ですし、承諾を得る前にエリク様が間に入ってしまうと火種になる可能性が……」
困ったな……。軽い気持ちで引き受けてしまったけど、大事になりそうだ。
「もしかして、お兄ちゃんと暮らせないんですか?」
「方法は考えるよ」
「私、お兄ちゃんと離れたくないです」
大盗賊ティボーの討伐と、村娘達の保護。
両方こなせるだろうか。
『アルメルが奴隷にされました』
『リックが力尽きました』
『ポーラが奴隷にされました』
『ソフィが奴隷にされました』
『ドロテが奴隷にされました』
――大量に流れてきたログを見る限り、近隣の村で略奪が起こってるみたいだ。名前的に女性が優先して狙われているらしい。
「なあ、この辺って盗賊が多いのか?」
「え?」
「驚くようなことを言ったか? 言いづらいことでも情報共有してもらえると助かるんだが」
頼み込むと、申し訳なさそうにアリアが口を開いた。
「エリク様は盗賊への対処をお願いする為に、アドリアン・エヴラール侯爵と仲を深めようと考えられました。オレスム領では近年、盗賊による被害が増えています。我が領にはギルドが設置されていませんので、進んで討伐しようとする者がいないのです」
「関係性を深めて先方のギルドに依頼を出してもらおうとしてたのか」
「はい。その為に冒険者の方が泊まれるような色街の建設も進めていました」
心なしかアリアの声が冷たく感じるのは気のせいではないはずだ。話を変えよう。
「しかし、伯爵家は俺に護衛もつけなかったのか。死んだ方がいいとでも思われてたのかな」
「…………」
はい図星。俺、家族から恨まれてたらしい。
「俺、兄妹とかいたのかな?」
「なぜそんな質問を……。まさか、記憶障害なのですか!?」
(そういうことにしておいた方がいいだろう)
「自分の出自のことになると記憶がぼやけるんだ」
「そうだったのですね……。盗賊に襲われたショックなのでしょうが……。伯爵家にはエリク様の他に、長男であるテランス様と、姉君であるナタリー様がいらっしゃいます」
「兄と姉がいたのか。兄弟仲はどうだったんだ?」
「……いずれ分かることなので素直に伝えますが、最悪です」
「理由はあるのか?」
「エリク様が、姉君であるナタリー様に睡眠薬を盛って、性行為をしてしまったことが原因です。オレスム家の醜聞として広まってしまったこともあって、お二人とも激怒されてます。特にナタリー様は婚約の話が一つも舞い込んでこなくなって、恨みの余り幾度となくエリク様を毒殺なさろうとした為、実質的な軟禁状態にあります。お会いしない方がよろしいかと……」
そりゃ護衛もつけずに放り出されるわ……。
「少し先の様子を見てくる。アリアは休んでいてくれ」
俺は結界と隠蔽の魔法を重ね掛けして、アリアを木陰に下ろした。
「エリク様!?」
「アリア、命令だ。不用意に動かないように」
飛翔した俺は高速で空を飛んだ。
10キロ程移動してから眼下を見下ろすと、村で始まった略奪は佳境を迎えようとしていた。
村娘たちが広場に集められている。盗賊の数は30人弱で、思い思いに気に入った娘を取り合ってる。歯向かった村の男達は無惨な姿で殺害されていた。石を口に詰めて殺された女性もいて、この世の地獄が凝縮されたみたいな光景だ。
(まだ衣服が乱れてる娘はいないな)
今の俺は100キロ離れた先にある的でも精密に撃ち抜けるくらい魔法の技量が高い。敵に視認されないよう上空に飛んだ俺は、標的を確認してソーラー・レイの魔法を一斉に解放した。次の瞬間、ヒュンヒュンヒュンという無数の風切り恩と共に盗賊達の四肢が撃ち抜かれた。
「か……はっ……」
降下してのたうち回る男達と目を合わせる。
「てめ……え。侯爵の……雇われか」
「さあな。俺が何者かなんてどうでもいいが、お前達がたっぷり苦しむだけの時間は与えてやるよ」
「何……者……」
「皆、もう大丈夫だ。助けにきたぞ」
感謝されるかなと思ったが、それよりも復讐の方が優先らしい。
救われた娘達が近くにあった石で自分たちを襲った盗賊を殴り始める。
「やめ……ぎっ」
「許してく……」
「あがっ」
情けない声を挙げて男達は死んでいく。
執拗に急所を狙う娘もいて、同じ男として身震いした。
「……救っていただき、ありがとうございます」
少女に礼を言われる。
涙で頬が濡れていて痛々しい。
俺はストレージの魔法で布を取り出すと、少女の涙を拭った。
「う……ぐっ……」
瞬間、少女の涙が決壊した。
「うあああぁぁぁ……!」
「この方は村長の娘です。ご家族は身罷られ、先ほど姉を残酷に嬲り殺されたばかりなのです」
せっかく綺麗な顔なのに、石を口に詰めて殺された死体があった。
目も抉られて片腕もない。
アレはトラウマになりそうだな。
「助けにくるのが遅くてすまなかった」
「とんでもないです。私達全員、もう命はないものと覚悟しましたから……。私はメイドのネリーです。何もない村ですが、どうぞ村長の家に来てください」
冷静に言う黒髪のメイドだが、彼女の頬にはぶたれたような跡がある。強引な男に捕まったんだろうな。美人はこういう時に不利だ。俺がヒールで癒してやると、彼女は深々と頭を下げた。
「従者を迎えにいって構わないか」
「ドロテ様、よいですね?」
「……いかないでほしいです」
幼いドロテを置いて迎えに行けるか?
いや、しかしアリアを放置しておくわけにもいかない。
「必ず戻ってくるから」
「まだ怖いよぉ」
ドロテを抱きしめて頭を撫でてやる。
俺もまだガキだが、彼女はそんな俺よりも3つくらい更に年下だ。
美少女に抱きつかれて庇護欲をそそられた。
「この村を襲ったのは、大盗賊ティボーがまとめる『鮮血の旅団』の一味です。もし仲間の帰りが遅いことに気づけば、次はもっと多くの被害が……」
もっと多くの被害って、現時点で男は殺されて女しか残ってない。今ここにいる生存者は20名弱か? 元が何人の村だったか知らないが、これ以上何をするって言うんだ?
俺の疑問を読んだのか、ネリーは詳細に説明してくれた。
「ティボーは仲間との絆を重んじる盗賊だと自負しています。もし仲間がやられたことに気づけば、きっと生き残った私達は拷問の末に女としての機能が使えなくなるまで犯され、最後は股から八つ裂きにされて魔物の餌にされるでしょう」
大盗賊ティボーか。ストーリーにも関わってくるネームドモンスターで、厄介なことにレジェンダリークラスの装備で身を固めている。今の俺にできることはないかもしれない。
ゲーム本編では実装されていなかったレベルまでスキルを強化してるから、上位ランクの装備なんてなくても余裕で勝てる可能性はある。しかし、安易な期待だけで動いて失敗したら目も当てられない。
「どうか我々をお救い下さい。この身でよければ差し出しますので」
ネリーの身体か。まあ、報酬としては悪くないよな。
「私もお願いします。家族の仇を取ってください。仇さえ取っていただけるなら、一生尽くしますので」
「何でもします。私達を見捨てないでください」
「私も、全部あげるから助けて……」
娘達が口々に訴えてきた。まだ幼いドロテまで……。男に抱かれるのは怖いだろうに、それでもワンピースの裾を持ち上げて下腹部を見せてくる。
(……うーん。命を賭けるだけで村の女全員が、俺の女になるって言ってるんだ。実家で大して力もない俺がこんなに女を囲えるチャンスなんてないよな……)
女達は覚悟を決めた目だ。本気で、俺に身体を売ってでもティボーと戦って欲しいと思ってるらしい。
「皆の気持ちは分かった。やれる限りのことはやってみよう」
「あ、ありがとうございます!」
女達が喜んでる。結局のところ、俺の女になるかティボーの女になるかって話なんだが、まだ俺の方がマシだと考えてるらしい。けっこう好きに抱かせてもらうつもりなんだけど。
「さっきも言ったが、まずは従者を連れてくる。俺が不在の間は結界の魔法を張っておこう。ドロテもくるか?」
「はいっ」
村に置いていきたいが、よほど怖い思いをしたのか俺の傍を離れようとしないので、お姫様抱っこで運ぶことにする。
「お兄ちゃんって呼んでもいいですか? 私、お兄ちゃんがずっと欲しかったんです」
「好きに呼んで構わない」
「うれしいです。でも、もっと早くお兄ちゃんに会いたかったです。そうしたら、お姉ちゃんも助かったのに……」
姉を助ける方法はある。ゴッド・ヒールという最上級魔法は、奇跡を起こして対象を完全復活させる魔法だ。使えば助かるが、そうなると村の男連中も救ってくれとかいう話になりそうだ。せっかく24人も綺麗な女ばかり囲えたのに、元の夫や家族が戻ってくるとなると俺の元を離れる女もいるだろう。
それに、この力を利用しようとする輩が出てくる可能性もある。
いずれにせよ、面倒ごとは避けたい。
だけど、嬲り殺されてたドロテの姉はいい女な雰囲気があったんだよな。
こっそり救っておこうかな。村にあった死体は埋葬するまで綺麗な状態で保管するという名目でストレージに入れている。ドロテの姉を救うことは恐らく簡単だ。
(……ま、今考えることじゃないか)
ドロテを抱いてしばらく飛んだ俺は、無事なアリアを発見して降下した。
「エリク様、ご無事でよかったです。その娘は……えっ」
痛々しく真っ赤になった目を見て、アリアが分かりやすく引いている。
「違う。俺じゃない」
早口で否定しておく。
「この近くに集落があるみたいなんだ。盗賊に襲われてたから救ったんだが、生き残った村人を保護するのに手を貸して欲しい」
「平民をあれほど毛嫌いしてたのに、本当に変わられたのですね」
(……ドロテの前で余計なこと言うなよ)
「生き残ったのは盗賊達に狙われてた若い娘達だ。俺の庇護下に入りたいと言ってきた」
「村の庇護は領主の仕事ですし、承諾を得る前にエリク様が間に入ってしまうと火種になる可能性が……」
困ったな……。軽い気持ちで引き受けてしまったけど、大事になりそうだ。
「もしかして、お兄ちゃんと暮らせないんですか?」
「方法は考えるよ」
「私、お兄ちゃんと離れたくないです」
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両方こなせるだろうか。
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