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神域の戦い
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ドロテを抱いて寝かしつけた後、飲物を取りに食堂へ向かっているとスフィアと出くわした。今日の彼女は真紅の髪をした軍服姿の将校だ。
「そう頻繁に姿形を変えるな。俺の女達が驚くだろ」
「飲み直そうと思ってたんだ。少し昔話に付き合ってくれないか」
「ほんの少しだぞ」
バーをイメージして作ったラウンジで一杯だけ飲むことにした。
「君が羨ましくなった」
「何の話だ」
「さっきの話さ。ドロテと仲良く話してたじゃないか」
「覗いてたのか?」
無言の笑みは肯定だろう。
「私はこの世界に番を作りにきたと言ったよね」
「それがどうした」
「実を言うと、私は対等に話せる相手であれば、それが番でも友人でも何でも良かったんだ。あるいは、敵対者であってもね」
スフィアがグラスを一気に傾ける。
「ぷはぁ。……私は、自分を神だと名乗ってるだけの人間だ。君の持つ魔王の称号と同じさ。前の世界ではその方が好き勝手に暴れられたから、神を名乗ってたんだ。最初は聖女としてスタートしたんだけどね。邪悪な魔族と戦ってただけなのに、いつしか私は破壊神と呼ばれ、親友や家族ですら本音では話してくれなくなっていた。あんなに大事だったものが、ただのガラクタになってしまったんだ」
「俺もいずれそうなるって言いたいのか?」
「君は私と真逆だよ。力があって、怖れられてもおかしくないはずなのに、皆が君を愛して、大事にしている。不思議で仕方ないんだよね。私と君、どこが違うんだろうって」
「そんな質問に答えられる程、お互いを知ってるわけでもないだろ」
「そうだよね。セックスをすれば何か分かるかなって思ったけど、無駄だった。ねえ、私と戦ってくれないかな?」
(……ふざけんなよ)
「俺達が戦えば世界が滅びるんじゃなかったか?」
「そうだとしても知りたい。それが無理なら、私と君の立場を交換してくれない? 私は姿形を変えられるから、君にだって成り代われるかもしれないよ」
グラスの中身を傾けてスフィアに掛けた。
「酔いが醒めたか? クソ野郎」
「やっとその気になってくれたね」
スフィアの胸倉を掴み、ストレージの空間に押し込む。
俺もすぐに中に入った。
「無茶をするねえ。人が入れるものじゃないだろ?」
「本当の姿を見せろよ。お前、元は男だろ?」
「あはは。分かっちゃった? そうそう、僕の本当の性別は男の子。ま、今となっちゃどっちでもいいんだけどさ。意識は男で身体は女。それが僕の正体だよ」
緑色、長髪の青年が聖剣を召喚する。
「君を殺して全てをバラしたい」
「やってみろよ」
俺はストレージの中に東京ドームを再現した。
無観客の殺し合いといこうじゃないか。
剣を召喚した俺はスフィアに向かって斬りかかったが、彼は俺の斬撃を容易くいなしてみせた。
「二つの理由でそれは当たらないかなぁ!」
魔眼でスフィアが持ってるスキルを探ろうとするが、文字化けして読めない。異世界のスキルは読めないということか。厄介だが血が滾る。この世界に転生して初めての同位階同士の戦いだ。
(さぁ、どうしたものかな)
俺はステータス向上系のスキルを持っているが、それが無効化されている感覚はない。となると、『単純に相手のステータスが俺より高い』のか、あるいは『常に俺のステータスを上回れるようなスキルを持っている』か、はたまた『ステータスに関係なく勝てるようなズルをしている』かの三択になるだろう。
俺は『同調』というスキルを取得した。これは、相手のバフを自身にも適応する効果がある。バッドステータスも共有するデメリットがあるが、今は関係ないだろう。
「驚いた。戦いの最中にスキルを取得するなんてね。異常なデータの塊は女神の寵愛、君の力の源か……。僕もそれが欲しいなぁ!」
「何でも見通しだとでも言いたげだな」
「僕が君に一つだけ勝っているものがあるとしたら、それは経験だ。君は僕と同じレベルで強いけど、今まで戦ってきた中じゃ最下位だ。今日まで僕が渡り歩いてきた世界を見せてあげるよ」
自身を囲むように遮断結界を展開させる。
「お見事……。予測が素晴らしいじゃないか。と言っても、どこまで凌げるか分からないけどねぇ」
スフィアを中心に空間が歪み、静止した。
ストレージは元より空間が停止しているが、これは劣化を防ぐ為の処置だ。
万物を――宇宙の秒針すら止めるスフィアの支配領域とは似て非なるモノだ。
「時を止めるスキルか」
「黄金の軌跡というのが僕のスキルの正体。これは今まで渡り歩いてきた世界の強者が手にしていたスキルの再現だ。そしてこれが第一の世界で得た『位階停止』だ」
結界で中和しているが、本当だったら知覚する間もなく敗北していただろう。
「さあ、君のスキルも使わせてもらおうか。黄金の軌跡――第四の世界、『天女寵愛』……な……んだ……」
ガラスが割れるような音と共に、スフィアが発動させたスキルが砕け散った。
「はは……腐った水みたいなスキルに浸食される」
「大丈夫か? 同調してる俺は全然平気なんだけどな」
「こんな高濃度のヘドロみたいな愛情を注がれて平気なんだね……っと不味いかな、これは」
パンッ……。
風船が割れるみたいな音と共にスフィアは破裂した。
「まさか、今ので終わったのか?」
正直言って格上だったスフィアが死んだという実感が湧かない。
あいつなら二の手三の手は用意してそうなものだが――
スフィアだったものの肉片が集まり、人型を形成していく。
そうして誕生したのは、ドロテといい勝負な少女だった。
「……はぁ」
プールを50メートル泳いだ後のような溜息だった。
「ようやく会えましたね。私は女神サロメ。あなたを一途に愛し続けていた真のヒロインです」
サロメの目は穏やかだが、狂気と妄執の気配を感じる。
だって、愛を囁かれただけで危険感知が作動するなんておかしいだろ?
「分からないな……。神であるあんたはどこで俺を見かけたんだ」
「前世の時に。あの日本という国で社畜として働いていましたね。そんな時にあなたはこの世界のことを知り、一人のプレイヤーとしてこの地に降り立ちました。あなたは略奪を是とするこの忌まわしい世界にありながら、誰からも奪うことなく世界を楽しんでいた。私はあなたがこの世界を壊さずに受け入れてくれた姿に感動し、感謝し――終わりを迎えたあとの魂を引き受けたいと願ったのです」
サロメは朱色の着物を着ている。
彼女が歩いた後には桜が舞い、魅せられた。
「……綺麗だ」
舞のような動きで近づいてくる。
彼女の心情を表すそれを受け入れて賞賛したいと血迷いそうになる。
頭の中ではこんなにも警鐘が鳴ってるのにな……。
「サロメ、誤解だ。俺は君が思うような人間じゃない。実際、この世界に転生した俺は略奪行為を行っているじゃないか」
「全て合意でしたでしょう?」
(――まったく。目が腐ってやがる)
「スフィアの侵入を受け入れたのはその身体を得る為か?」
「ふふ……。神である私が神界から受肉するには、最低限の器が必要だったのです。すぐに迎えにこれず申し訳ありませんでした」
「俺をどうするつもりだ」
「2人きりの世界にお連れするだけです。人間の目的は輪廻転生を繰り返すなかで徳を詰み、神界に迎えられることです。あなたは目的を達して、今ゴールに辿りつこうとしているのですよ?」
頼んでないし俺はこの世界で女達と幸せに暮らしたい。
「悪いがその提案は受けられない」
「あれれ? もう創造神様に申請してるんですけど。私が管理神として何年も下積みをしていたのは、あなたを神にするだけのポイントを貯める為だったのですよ? 下界など捨てて神籍に入ればいいじゃないですか」
「俺はこの世界を愛しているんだ」
「……嬉しいこと言わないでください」
サロメが泣いている。
思わずその頬に手を添える。
「あったかい……。でも、地上世界なんてしょせんは魂を磨く為の修行場なのですよ? 本当の癒しは、幸福は、神の世界にしかありえません」
「世の中にはリゾート暮らしよりもアパート暮らしの方が好きな奇特な変人もいるんだ。分かってくれ」
「ワガママはいけませんのに」
サロメの身体から神力とでも形容すべき力が立ち昇る。
っと……これは受け損なったら死ぬな。
「トマレ」
「くっ……」
指先一本自由に動かせない。
「さあ、このまま一緒に天へ昇りましょう」
俺の身体に天使の羽根と輪っかがついている。
フワフワと身体が持ち上がり、温泉にでも浸かってるような心地になる。
あーこのまま死ぬのも悪くねー。
世界と俺が混ざり合って溶けそうだ。
「この癒しが、永遠の安寧があなたを待っています」
「やめてくれよ……聞いてくれ……俺は……皆と……あいつなんか俺がいないと……」
現実が楽しいだけじゃなくて苦しいのなんか分かってるさ。
でも離れがたいんだよ。
『諦めるな……! 僕も協力するぞ!』
半透明になったスフィアが仲間みたいな顔でやってきた。
『あの身体は元々僕の物だ。何とか抗って止めてみせる。だから君は僕の身体を奪ったあいつをやっつけてくれ』
(いいのか? そうなればお前はもう……)
『あんな奴に好きにされるくらいなら消滅した方がマシだ。ごめん……君の妻達に迷惑を掛けるつもりはなかったんだ。僕は、ただ君と思い出が作りたかっただけなのに、こんなことになるなんて……』
(分かってる。2人で抗おう。このクソったれな世界にしがみつく為にさ)
「うおおお……!」
アリア……ドロテ……ティーナ……セレス……ポーラ……皆……。
今まで出会い、セックスしてきた女達への思いを燃やす。
「……あら、なんでしょうか? 力が上手く働きません。まさか、元の持ち主が抗っているというのですか? 肉体も持たぬ残留思念ごときが生意気ですね」
「天に帰れ……!」
剣に全魔力を込めて解き放つ。
宇宙を崩壊させる程の熱量が解き放たれ、サロメの身体を魂ごと焼き尽くす。
「どうして私を拒絶するのですか……?」
不思議そうに首を傾けたままサロメの身体が灰になる。
俺が拒絶することなど考えてなかったって顔だ。
「ああ、でもこの熱……まるであなたに抱かれてるみたい――」
まともにやり合えば戦いにすらならなかっただろうに……。
「終わったか……」
「なんとか戻ってこれたよ」
一度は灰になった身体を再利用して、スフィアの魂がしぶとく戻ってきたらしい。
こいつも焼いとくか?
「や、やめてくれよ。そんな怖い顔で見ないで。僕は君と共同作業ができて満足した。いい思い出ができたし、これからは真の友人と思えそうな気がするよ」
スフィアがM字開脚で割れ目を見せてくる。
「ほら、またセフレに戻ろう? 君のハーレムの一員として尽くすからさ」
「もう変な真似するなよ」
「あーん」
スフィアにペニスをねじこんで合体する。
命懸けの戦いをした後は種としての本能で子孫を残したくなる。
パン、パン、パン、とスフィアを犯すのは仕方のないことだ。
「ねえ、僕達親友だよね?」
「そうだな……。親友なら中出ししてもいいだろ?」
「あっ……。うん、もちろんだよ! いっぱい出していいよ?」
スフィアとベロチュウをしながら腰の動きを早める。
「あっあっ……また共同作業の思い出が増えたねぇ」
(アホかこいつ。お前はただの非常用ザーメンタンクだ……)
ビュルルルル……。
「少し抱き合っていよ?」
「仕方ないな……」
「助けてくれてありがとう」
偶然に決まってるだろ。
協力には感謝するけどな。
「そう頻繁に姿形を変えるな。俺の女達が驚くだろ」
「飲み直そうと思ってたんだ。少し昔話に付き合ってくれないか」
「ほんの少しだぞ」
バーをイメージして作ったラウンジで一杯だけ飲むことにした。
「君が羨ましくなった」
「何の話だ」
「さっきの話さ。ドロテと仲良く話してたじゃないか」
「覗いてたのか?」
無言の笑みは肯定だろう。
「私はこの世界に番を作りにきたと言ったよね」
「それがどうした」
「実を言うと、私は対等に話せる相手であれば、それが番でも友人でも何でも良かったんだ。あるいは、敵対者であってもね」
スフィアがグラスを一気に傾ける。
「ぷはぁ。……私は、自分を神だと名乗ってるだけの人間だ。君の持つ魔王の称号と同じさ。前の世界ではその方が好き勝手に暴れられたから、神を名乗ってたんだ。最初は聖女としてスタートしたんだけどね。邪悪な魔族と戦ってただけなのに、いつしか私は破壊神と呼ばれ、親友や家族ですら本音では話してくれなくなっていた。あんなに大事だったものが、ただのガラクタになってしまったんだ」
「俺もいずれそうなるって言いたいのか?」
「君は私と真逆だよ。力があって、怖れられてもおかしくないはずなのに、皆が君を愛して、大事にしている。不思議で仕方ないんだよね。私と君、どこが違うんだろうって」
「そんな質問に答えられる程、お互いを知ってるわけでもないだろ」
「そうだよね。セックスをすれば何か分かるかなって思ったけど、無駄だった。ねえ、私と戦ってくれないかな?」
(……ふざけんなよ)
「俺達が戦えば世界が滅びるんじゃなかったか?」
「そうだとしても知りたい。それが無理なら、私と君の立場を交換してくれない? 私は姿形を変えられるから、君にだって成り代われるかもしれないよ」
グラスの中身を傾けてスフィアに掛けた。
「酔いが醒めたか? クソ野郎」
「やっとその気になってくれたね」
スフィアの胸倉を掴み、ストレージの空間に押し込む。
俺もすぐに中に入った。
「無茶をするねえ。人が入れるものじゃないだろ?」
「本当の姿を見せろよ。お前、元は男だろ?」
「あはは。分かっちゃった? そうそう、僕の本当の性別は男の子。ま、今となっちゃどっちでもいいんだけどさ。意識は男で身体は女。それが僕の正体だよ」
緑色、長髪の青年が聖剣を召喚する。
「君を殺して全てをバラしたい」
「やってみろよ」
俺はストレージの中に東京ドームを再現した。
無観客の殺し合いといこうじゃないか。
剣を召喚した俺はスフィアに向かって斬りかかったが、彼は俺の斬撃を容易くいなしてみせた。
「二つの理由でそれは当たらないかなぁ!」
魔眼でスフィアが持ってるスキルを探ろうとするが、文字化けして読めない。異世界のスキルは読めないということか。厄介だが血が滾る。この世界に転生して初めての同位階同士の戦いだ。
(さぁ、どうしたものかな)
俺はステータス向上系のスキルを持っているが、それが無効化されている感覚はない。となると、『単純に相手のステータスが俺より高い』のか、あるいは『常に俺のステータスを上回れるようなスキルを持っている』か、はたまた『ステータスに関係なく勝てるようなズルをしている』かの三択になるだろう。
俺は『同調』というスキルを取得した。これは、相手のバフを自身にも適応する効果がある。バッドステータスも共有するデメリットがあるが、今は関係ないだろう。
「驚いた。戦いの最中にスキルを取得するなんてね。異常なデータの塊は女神の寵愛、君の力の源か……。僕もそれが欲しいなぁ!」
「何でも見通しだとでも言いたげだな」
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自身を囲むように遮断結界を展開させる。
「お見事……。予測が素晴らしいじゃないか。と言っても、どこまで凌げるか分からないけどねぇ」
スフィアを中心に空間が歪み、静止した。
ストレージは元より空間が停止しているが、これは劣化を防ぐ為の処置だ。
万物を――宇宙の秒針すら止めるスフィアの支配領域とは似て非なるモノだ。
「時を止めるスキルか」
「黄金の軌跡というのが僕のスキルの正体。これは今まで渡り歩いてきた世界の強者が手にしていたスキルの再現だ。そしてこれが第一の世界で得た『位階停止』だ」
結界で中和しているが、本当だったら知覚する間もなく敗北していただろう。
「さあ、君のスキルも使わせてもらおうか。黄金の軌跡――第四の世界、『天女寵愛』……な……んだ……」
ガラスが割れるような音と共に、スフィアが発動させたスキルが砕け散った。
「はは……腐った水みたいなスキルに浸食される」
「大丈夫か? 同調してる俺は全然平気なんだけどな」
「こんな高濃度のヘドロみたいな愛情を注がれて平気なんだね……っと不味いかな、これは」
パンッ……。
風船が割れるみたいな音と共にスフィアは破裂した。
「まさか、今ので終わったのか?」
正直言って格上だったスフィアが死んだという実感が湧かない。
あいつなら二の手三の手は用意してそうなものだが――
スフィアだったものの肉片が集まり、人型を形成していく。
そうして誕生したのは、ドロテといい勝負な少女だった。
「……はぁ」
プールを50メートル泳いだ後のような溜息だった。
「ようやく会えましたね。私は女神サロメ。あなたを一途に愛し続けていた真のヒロインです」
サロメの目は穏やかだが、狂気と妄執の気配を感じる。
だって、愛を囁かれただけで危険感知が作動するなんておかしいだろ?
「分からないな……。神であるあんたはどこで俺を見かけたんだ」
「前世の時に。あの日本という国で社畜として働いていましたね。そんな時にあなたはこの世界のことを知り、一人のプレイヤーとしてこの地に降り立ちました。あなたは略奪を是とするこの忌まわしい世界にありながら、誰からも奪うことなく世界を楽しんでいた。私はあなたがこの世界を壊さずに受け入れてくれた姿に感動し、感謝し――終わりを迎えたあとの魂を引き受けたいと願ったのです」
サロメは朱色の着物を着ている。
彼女が歩いた後には桜が舞い、魅せられた。
「……綺麗だ」
舞のような動きで近づいてくる。
彼女の心情を表すそれを受け入れて賞賛したいと血迷いそうになる。
頭の中ではこんなにも警鐘が鳴ってるのにな……。
「サロメ、誤解だ。俺は君が思うような人間じゃない。実際、この世界に転生した俺は略奪行為を行っているじゃないか」
「全て合意でしたでしょう?」
(――まったく。目が腐ってやがる)
「スフィアの侵入を受け入れたのはその身体を得る為か?」
「ふふ……。神である私が神界から受肉するには、最低限の器が必要だったのです。すぐに迎えにこれず申し訳ありませんでした」
「俺をどうするつもりだ」
「2人きりの世界にお連れするだけです。人間の目的は輪廻転生を繰り返すなかで徳を詰み、神界に迎えられることです。あなたは目的を達して、今ゴールに辿りつこうとしているのですよ?」
頼んでないし俺はこの世界で女達と幸せに暮らしたい。
「悪いがその提案は受けられない」
「あれれ? もう創造神様に申請してるんですけど。私が管理神として何年も下積みをしていたのは、あなたを神にするだけのポイントを貯める為だったのですよ? 下界など捨てて神籍に入ればいいじゃないですか」
「俺はこの世界を愛しているんだ」
「……嬉しいこと言わないでください」
サロメが泣いている。
思わずその頬に手を添える。
「あったかい……。でも、地上世界なんてしょせんは魂を磨く為の修行場なのですよ? 本当の癒しは、幸福は、神の世界にしかありえません」
「世の中にはリゾート暮らしよりもアパート暮らしの方が好きな奇特な変人もいるんだ。分かってくれ」
「ワガママはいけませんのに」
サロメの身体から神力とでも形容すべき力が立ち昇る。
っと……これは受け損なったら死ぬな。
「トマレ」
「くっ……」
指先一本自由に動かせない。
「さあ、このまま一緒に天へ昇りましょう」
俺の身体に天使の羽根と輪っかがついている。
フワフワと身体が持ち上がり、温泉にでも浸かってるような心地になる。
あーこのまま死ぬのも悪くねー。
世界と俺が混ざり合って溶けそうだ。
「この癒しが、永遠の安寧があなたを待っています」
「やめてくれよ……聞いてくれ……俺は……皆と……あいつなんか俺がいないと……」
現実が楽しいだけじゃなくて苦しいのなんか分かってるさ。
でも離れがたいんだよ。
『諦めるな……! 僕も協力するぞ!』
半透明になったスフィアが仲間みたいな顔でやってきた。
『あの身体は元々僕の物だ。何とか抗って止めてみせる。だから君は僕の身体を奪ったあいつをやっつけてくれ』
(いいのか? そうなればお前はもう……)
『あんな奴に好きにされるくらいなら消滅した方がマシだ。ごめん……君の妻達に迷惑を掛けるつもりはなかったんだ。僕は、ただ君と思い出が作りたかっただけなのに、こんなことになるなんて……』
(分かってる。2人で抗おう。このクソったれな世界にしがみつく為にさ)
「うおおお……!」
アリア……ドロテ……ティーナ……セレス……ポーラ……皆……。
今まで出会い、セックスしてきた女達への思いを燃やす。
「……あら、なんでしょうか? 力が上手く働きません。まさか、元の持ち主が抗っているというのですか? 肉体も持たぬ残留思念ごときが生意気ですね」
「天に帰れ……!」
剣に全魔力を込めて解き放つ。
宇宙を崩壊させる程の熱量が解き放たれ、サロメの身体を魂ごと焼き尽くす。
「どうして私を拒絶するのですか……?」
不思議そうに首を傾けたままサロメの身体が灰になる。
俺が拒絶することなど考えてなかったって顔だ。
「ああ、でもこの熱……まるであなたに抱かれてるみたい――」
まともにやり合えば戦いにすらならなかっただろうに……。
「終わったか……」
「なんとか戻ってこれたよ」
一度は灰になった身体を再利用して、スフィアの魂がしぶとく戻ってきたらしい。
こいつも焼いとくか?
「や、やめてくれよ。そんな怖い顔で見ないで。僕は君と共同作業ができて満足した。いい思い出ができたし、これからは真の友人と思えそうな気がするよ」
スフィアがM字開脚で割れ目を見せてくる。
「ほら、またセフレに戻ろう? 君のハーレムの一員として尽くすからさ」
「もう変な真似するなよ」
「あーん」
スフィアにペニスをねじこんで合体する。
命懸けの戦いをした後は種としての本能で子孫を残したくなる。
パン、パン、パン、とスフィアを犯すのは仕方のないことだ。
「ねえ、僕達親友だよね?」
「そうだな……。親友なら中出ししてもいいだろ?」
「あっ……。うん、もちろんだよ! いっぱい出していいよ?」
スフィアとベロチュウをしながら腰の動きを早める。
「あっあっ……また共同作業の思い出が増えたねぇ」
(アホかこいつ。お前はただの非常用ザーメンタンクだ……)
ビュルルルル……。
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「助けてくれてありがとう」
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協力には感謝するけどな。
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