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強襲
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ドロテの魔法の勉強を見てやってると、メイドのネリーが部屋にやってきた。
彼女は黒髪の美女なんだが、約束を破ってる後ろめたさから目を合わせるのが少し辛い。
「ドロテ様、またエリク様の部屋にいたのですね」
「お兄ちゃんに勉強を教えてもらってたの」
「エリク様、忙しいなか勉強を見ていただいてありがとうございます。最近はあなたの話ばかりで、とても喜んでいるんですよ?」
ネリーの笑顔が眩しすぎて辛い。
アリアは俺の悪い部分もよく理解しているが、ネリーはどちらかといえば俺を美化しがちだ。まったくそんなこと考えてないのに『エリク様にはこういう意図があったんですよ』的な話を周りによく漏らしているらしい。
彼女の信頼を裏切って幼いドロテとセックスしてる現状が申し訳なくて、実は少し怖い。
どのような報復に出るかが予測できないからだ。
「それで……ネリーは何の用事だったんだ?」
「クヴルール王国の侵攻状況をまとめた報告書をお持ちしました。現在、地図で見ると東西南北全てで戦線を開いてる、通常では考えられない程の速度で進軍を続けています。例のコアシステムの影響かと思われます」
「誰でも勇者になれる改造か」
「ですがその材料は……」
ネリーが言いよどむ。
「しかし実際のところ、亜人は既に俺の領地で受け入れているだろう。配備に至ったのは5万人程度か?」
「短期的にはそうですね。王国では非人道的な行為もまかり通っているそうですが」
兵士達で亜人を孕ませて実験に使うといった行為が平然と行われているそうだ。
「残された亜人を救出してやりたいな。あまりに酷い」
「それなら私が陽動をかけようか?」
扉が開いたと思ったら平然とした顔でスフィアが参戦してきた。
「お前、また盗み聞きか」
スフィアの自由さには呆れるばかりだ。
「東西南北を召喚獣でつついてみよっか? その間にエリクが首都で救出作戦を展開すればいい。そうなれば君は亜人の英雄だね」
「お兄ちゃんが英雄になったら嬉しいです。でも、危険なことはしないで欲しいです」
「そうは言っても、俺が行くのが安全なんだ。犠牲は出したくない」
「……気をつけていってきてください。帰ってきたら結婚式を挙げましょうね?」
「ドロテ様にはまだ早いですよ」
まったく、ドロテの言葉は心臓に悪いな。
もうやることやってるし……。
それはさておき、俺はクヴルール王国に監禁されてる亜人達を救出する作戦を決行することに決めた。
作戦を立てた俺は、その日の夜に決行に移した。
明日以降も嫁とのシフトはあるし、早めに雑務は片づけたい。
『じゃあ、こっちで誘導しとくねー』
夜間、迷彩柄のミリタリーコートを着て飛んでると、スフィアから念話が入った。
『お前まで付き合わせて悪いな』
『気にしないでよ。こうしてまた思い出が作れるのが嬉しいんだ。僕達は親友だよね』
『戦友って肩書きも今回で増えるけどな』
『さーて、じゃあ四神を使おうか』
遠く離れた距離だというのに、神の力を解き放った気配がした。
『お前、陽動とか言いつつ全滅させる気じゃないか?』
『それを言うなら、君もそのまま首都落とせるでしょ? 今夜で全部終わらせちゃえば?』
『いや、よしておこう。今の俺が王都を徹底的に破壊したところで、魔王としての悪行が増えるだけだ。決して英雄にはなりえないし、ただ邪悪な魔王として非難されるだけだ。俺が動くとしたら、名声がついてきて王都を破壊しても英雄になれる時だ』
『エリクは優しいよねー。だったらいっそのこと、愚王の暴走が終わるまで放っておけばいいのに。僕達が困るわけでもないのに亜人だけは助けたいんでしょ?』
『セックスを愛する者として、愛のないセックスは許容できないだけだ』
話してる間に王都上空に到着した。
俺の領地と違って結界による仕切りがないから、どこからどこまで王都かって気づきづらいんだよな。
『ああ、一つだけ言っとくけどな』
『何?』
『戦場にいい男がいたからって浮気するなよ』
『…………好き』
『はぁ?』
『すぐに終わらせてそっち行く。好きだよ……好き好き好き大好き!』
念話で思いを爆発させるなよ……。
『僕、今まで好き勝手して決別されることはあっても、愛し続けてもらったことはなかったの。あんなことがあったのに、あんなワガママしたのに、僕をまだ愛してくれてるんだね?』
『当然だろ。嫌いな女を傍に置いたりするか。あー、男なんだっけか?』
『そうだけど、それは僕だけが知ってればいいことだよ。むしろ、エリクにとっては可愛い恋人だと嬉しい……。あとでいっぱい甘えさせてね? 僕も、僕もエリクのこと好きだから浮気しないでね?』
『……分かってる。最近似たようなこと言われたからな。まあ、浮気はしないさ』
『またねっ』
可愛いスフィアの念話が切れる。
あんな風に念話で感情爆発させられたら、俺だって好きになってしまうだろ。
スフィアを抱きたいと思いながら、俺は王都に向かって降下した。
「貧弱だな。対攻撃魔法用の結界だけか」
これで王都だって言うんだから泣ける。
俺はマップを表示させ、ブルーカラーのポイントに向かって歩き出した。
彼女は黒髪の美女なんだが、約束を破ってる後ろめたさから目を合わせるのが少し辛い。
「ドロテ様、またエリク様の部屋にいたのですね」
「お兄ちゃんに勉強を教えてもらってたの」
「エリク様、忙しいなか勉強を見ていただいてありがとうございます。最近はあなたの話ばかりで、とても喜んでいるんですよ?」
ネリーの笑顔が眩しすぎて辛い。
アリアは俺の悪い部分もよく理解しているが、ネリーはどちらかといえば俺を美化しがちだ。まったくそんなこと考えてないのに『エリク様にはこういう意図があったんですよ』的な話を周りによく漏らしているらしい。
彼女の信頼を裏切って幼いドロテとセックスしてる現状が申し訳なくて、実は少し怖い。
どのような報復に出るかが予測できないからだ。
「それで……ネリーは何の用事だったんだ?」
「クヴルール王国の侵攻状況をまとめた報告書をお持ちしました。現在、地図で見ると東西南北全てで戦線を開いてる、通常では考えられない程の速度で進軍を続けています。例のコアシステムの影響かと思われます」
「誰でも勇者になれる改造か」
「ですがその材料は……」
ネリーが言いよどむ。
「しかし実際のところ、亜人は既に俺の領地で受け入れているだろう。配備に至ったのは5万人程度か?」
「短期的にはそうですね。王国では非人道的な行為もまかり通っているそうですが」
兵士達で亜人を孕ませて実験に使うといった行為が平然と行われているそうだ。
「残された亜人を救出してやりたいな。あまりに酷い」
「それなら私が陽動をかけようか?」
扉が開いたと思ったら平然とした顔でスフィアが参戦してきた。
「お前、また盗み聞きか」
スフィアの自由さには呆れるばかりだ。
「東西南北を召喚獣でつついてみよっか? その間にエリクが首都で救出作戦を展開すればいい。そうなれば君は亜人の英雄だね」
「お兄ちゃんが英雄になったら嬉しいです。でも、危険なことはしないで欲しいです」
「そうは言っても、俺が行くのが安全なんだ。犠牲は出したくない」
「……気をつけていってきてください。帰ってきたら結婚式を挙げましょうね?」
「ドロテ様にはまだ早いですよ」
まったく、ドロテの言葉は心臓に悪いな。
もうやることやってるし……。
それはさておき、俺はクヴルール王国に監禁されてる亜人達を救出する作戦を決行することに決めた。
作戦を立てた俺は、その日の夜に決行に移した。
明日以降も嫁とのシフトはあるし、早めに雑務は片づけたい。
『じゃあ、こっちで誘導しとくねー』
夜間、迷彩柄のミリタリーコートを着て飛んでると、スフィアから念話が入った。
『お前まで付き合わせて悪いな』
『気にしないでよ。こうしてまた思い出が作れるのが嬉しいんだ。僕達は親友だよね』
『戦友って肩書きも今回で増えるけどな』
『さーて、じゃあ四神を使おうか』
遠く離れた距離だというのに、神の力を解き放った気配がした。
『お前、陽動とか言いつつ全滅させる気じゃないか?』
『それを言うなら、君もそのまま首都落とせるでしょ? 今夜で全部終わらせちゃえば?』
『いや、よしておこう。今の俺が王都を徹底的に破壊したところで、魔王としての悪行が増えるだけだ。決して英雄にはなりえないし、ただ邪悪な魔王として非難されるだけだ。俺が動くとしたら、名声がついてきて王都を破壊しても英雄になれる時だ』
『エリクは優しいよねー。だったらいっそのこと、愚王の暴走が終わるまで放っておけばいいのに。僕達が困るわけでもないのに亜人だけは助けたいんでしょ?』
『セックスを愛する者として、愛のないセックスは許容できないだけだ』
話してる間に王都上空に到着した。
俺の領地と違って結界による仕切りがないから、どこからどこまで王都かって気づきづらいんだよな。
『ああ、一つだけ言っとくけどな』
『何?』
『戦場にいい男がいたからって浮気するなよ』
『…………好き』
『はぁ?』
『すぐに終わらせてそっち行く。好きだよ……好き好き好き大好き!』
念話で思いを爆発させるなよ……。
『僕、今まで好き勝手して決別されることはあっても、愛し続けてもらったことはなかったの。あんなことがあったのに、あんなワガママしたのに、僕をまだ愛してくれてるんだね?』
『当然だろ。嫌いな女を傍に置いたりするか。あー、男なんだっけか?』
『そうだけど、それは僕だけが知ってればいいことだよ。むしろ、エリクにとっては可愛い恋人だと嬉しい……。あとでいっぱい甘えさせてね? 僕も、僕もエリクのこと好きだから浮気しないでね?』
『……分かってる。最近似たようなこと言われたからな。まあ、浮気はしないさ』
『またねっ』
可愛いスフィアの念話が切れる。
あんな風に念話で感情爆発させられたら、俺だって好きになってしまうだろ。
スフィアを抱きたいと思いながら、俺は王都に向かって降下した。
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俺はマップを表示させ、ブルーカラーのポイントに向かって歩き出した。
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