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自滅王子は婚約者を過信しているようです※王子視点
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リリナが俺を裏切り、王都を発ったその日の夕刻。
俺は朝から執務室に詰めていた。
なかなか減らない書類の山に苛立ちが募る。
……文官共め。
リリナがいなくなって仕事が増えた腹いせに、次々に書類を送り込んできやがって。
イライラしたまま執務をこなしていると、乱暴に扉がノックされた。
そして、神経質な老人が入ってくる。
「殿下、この書類の山は……一体どういうことですか」
執務室にやってきたのは宰相だった。
部下から報告を受けて来たのだろう。
奴は机の上にたんまりと蓄積された書類を見て、唖然としている。
「どういうこともこういうことも、俺は文官から嫌がらせを受けているんだ。こうして終わらない量の仕事を押しつけられてしまった。お前から申し入れを行ってくれないか。リリナがいなくなった腹いせに嫌がらせをするのはやめろと」
「そのようなことを申せば殿下の執務を代行している文官が激怒します! リリナ嬢が一人で処理されていた仕事を、あなたは全くこなせていない!」
「シッ! 静かに話せ。俺の評判が落ちたらどう責任を取ってくれるのだ」
壁と扉越しに聞かれたらどうする。
皆、将来の王である俺には期待を寄せてくれているというのに。
大声で身勝手な不満をぶつけるのはよせと言いたい。
「殿下、今は評判など気にされている場合ですか……!」
「ええい黙れ! 俺はまだ一日目なんだぞ! 全然まったくこれっぽっちも、慣れていないんだ! 大体リリナの奴、自由に生きるのは勝手だが仕事まで放棄するのは身勝手だと思わないか!? 俺の窮地はあいつの無責任に由来するものと言っても過言じゃないぞ!」
「それは過言というものでしょう! 少し黙って聞いていれば責任転嫁も甚だしい! あなたは今回の婚約破棄の責任を全て一人で負うと宣言された! リリナ嬢を婚約破棄で追放したのはあなたです! 大体、この非常時にウリア嬢はどこへ行かれたのですか! トイレ休憩ではないのですか!」
「淑女に対してトイレ休憩などと言うなクソ爺め! 彼女は学友と卒業旅行に出かけた! 本来は三日間の予定だったのを、明日の夕刻には戻ってきてくれるそうだ! それまですまないが手の空いた者を招集して俺の執務を手伝わせておけ! 俺はまだ三時のオヤツも食べていないんだ!」
「あの方は将来の王妃を自認しているのでしょう!? 遊び惚けている時間などないというのに!」
「いちいち騒ぎ立てるな! ウリアを悪く言いやがって!」
大体お前は唾が飛んで汚いんだよ!
俺が今から手をつける書類に汚いものをかけるなと言いたい!
疲れからか肩で息をしていた宰相が深呼吸をする。
「……そもそもこの程度の件数、リリナ嬢であれば一人でこなしていました。あれほど有能な方だったのに、なぜ彼女を手放したのか理解ができません」
「あいつ、本当にこの量を一人でこなしていたのか。慣れがあるとはいえ、この量だぞ」
「今さら気づかれるとは! ハッキリ申し上げますが、彼女はこの倍の仕事を一人でこなしておりました! 今は文官たちが補佐をしており、彼女の半分の執務で済んでいるというのに、それさえこなせないとは情けない……!」
「ええい、落ち着いたと思ったらすぐに切れるのだな! 何度も言うが、俺はまだ不慣れなんだ! 少しは長い目で見て欲しいものだ!」
「ひ、開き直るとは……! この現状は殿下がリリナ嬢と婚約破棄したことで招いたものだというのに!」
血管が浮き出るほど宰相が激怒している。
そんなに怒ることないだろう!
「リリナリリナとしつこいのだ! お前はリリナがお気に入りだった! それで俺に八つ当たりをしてるだけだろ? 私情を排し怒りを自制して己を律する! 臣下として必要な資質だと思うが、お前はまったく抑えが効かないな!」
「誰のせいで怒っていると……!!!」
ハハッ! 図星を指されて怒り心頭といったところか……! 宰相も耄碌したな!
「なぜこんな育ち方をしたのか! あー情けない!!!!!!」
「育ってしまったものは仕方がないだろう! だがな現状、この国で正当な継承権を持つのはこの俺ただ一人だ! お前は黙って俺を支えていろ! それが出来ぬのであれば今の地位を捨てることだな!」
「今の殿下の言葉は一字一句違えず、陛下に伝えさせていただきます! この国で正当な継承権を持つのはこの俺ただ一人だクソ爺! お前はひれ伏しながら俺を支えてろ! それが出来ぬのであれば今の地位をドブに捨てることになるぞ! ……と! 最後に忠告ですが、一人でこなせないのならウリア嬢と分担してくださいませ! お二人の問題にかまけている程、我々は暇ではないのです!」
身勝手に怒りをぶつけて、宰相は部屋を出ていく。
やれやれ、つくづく頭にくる男だが確かに分担は必要だろうな!
「ふーっ……。冷静になれレギ・フードル。老害共は若者を虐めて楽しむ悪癖があるからな。ああはなりたくないものだ。しかし……」
明日の夕刻にはウリアが卒業旅行から戻る。
そうしたら存分に執務を手伝ってもらえるからな。
それまでの辛抱だ。
彼女は学園でリリナに次いで成績がよかった。
リリナは俺の婚約者ということで成績に色をつけられていたのだろうが、ウリアは努力で次席という成績を収めたのだ。
リリナなんかより何倍もウリアの方が優秀で、俺の助けになってくれるはずだ。
宰相の鼻を明かしてやれることを楽しみにしていた俺だが、この時の俺はまだ知らなかった。
ウリアの家が学園の教師に賄賂を贈り、娘の成績を修正させていたことを……。
俺は朝から執務室に詰めていた。
なかなか減らない書類の山に苛立ちが募る。
……文官共め。
リリナがいなくなって仕事が増えた腹いせに、次々に書類を送り込んできやがって。
イライラしたまま執務をこなしていると、乱暴に扉がノックされた。
そして、神経質な老人が入ってくる。
「殿下、この書類の山は……一体どういうことですか」
執務室にやってきたのは宰相だった。
部下から報告を受けて来たのだろう。
奴は机の上にたんまりと蓄積された書類を見て、唖然としている。
「どういうこともこういうことも、俺は文官から嫌がらせを受けているんだ。こうして終わらない量の仕事を押しつけられてしまった。お前から申し入れを行ってくれないか。リリナがいなくなった腹いせに嫌がらせをするのはやめろと」
「そのようなことを申せば殿下の執務を代行している文官が激怒します! リリナ嬢が一人で処理されていた仕事を、あなたは全くこなせていない!」
「シッ! 静かに話せ。俺の評判が落ちたらどう責任を取ってくれるのだ」
壁と扉越しに聞かれたらどうする。
皆、将来の王である俺には期待を寄せてくれているというのに。
大声で身勝手な不満をぶつけるのはよせと言いたい。
「殿下、今は評判など気にされている場合ですか……!」
「ええい黙れ! 俺はまだ一日目なんだぞ! 全然まったくこれっぽっちも、慣れていないんだ! 大体リリナの奴、自由に生きるのは勝手だが仕事まで放棄するのは身勝手だと思わないか!? 俺の窮地はあいつの無責任に由来するものと言っても過言じゃないぞ!」
「それは過言というものでしょう! 少し黙って聞いていれば責任転嫁も甚だしい! あなたは今回の婚約破棄の責任を全て一人で負うと宣言された! リリナ嬢を婚約破棄で追放したのはあなたです! 大体、この非常時にウリア嬢はどこへ行かれたのですか! トイレ休憩ではないのですか!」
「淑女に対してトイレ休憩などと言うなクソ爺め! 彼女は学友と卒業旅行に出かけた! 本来は三日間の予定だったのを、明日の夕刻には戻ってきてくれるそうだ! それまですまないが手の空いた者を招集して俺の執務を手伝わせておけ! 俺はまだ三時のオヤツも食べていないんだ!」
「あの方は将来の王妃を自認しているのでしょう!? 遊び惚けている時間などないというのに!」
「いちいち騒ぎ立てるな! ウリアを悪く言いやがって!」
大体お前は唾が飛んで汚いんだよ!
俺が今から手をつける書類に汚いものをかけるなと言いたい!
疲れからか肩で息をしていた宰相が深呼吸をする。
「……そもそもこの程度の件数、リリナ嬢であれば一人でこなしていました。あれほど有能な方だったのに、なぜ彼女を手放したのか理解ができません」
「あいつ、本当にこの量を一人でこなしていたのか。慣れがあるとはいえ、この量だぞ」
「今さら気づかれるとは! ハッキリ申し上げますが、彼女はこの倍の仕事を一人でこなしておりました! 今は文官たちが補佐をしており、彼女の半分の執務で済んでいるというのに、それさえこなせないとは情けない……!」
「ええい、落ち着いたと思ったらすぐに切れるのだな! 何度も言うが、俺はまだ不慣れなんだ! 少しは長い目で見て欲しいものだ!」
「ひ、開き直るとは……! この現状は殿下がリリナ嬢と婚約破棄したことで招いたものだというのに!」
血管が浮き出るほど宰相が激怒している。
そんなに怒ることないだろう!
「リリナリリナとしつこいのだ! お前はリリナがお気に入りだった! それで俺に八つ当たりをしてるだけだろ? 私情を排し怒りを自制して己を律する! 臣下として必要な資質だと思うが、お前はまったく抑えが効かないな!」
「誰のせいで怒っていると……!!!」
ハハッ! 図星を指されて怒り心頭といったところか……! 宰相も耄碌したな!
「なぜこんな育ち方をしたのか! あー情けない!!!!!!」
「育ってしまったものは仕方がないだろう! だがな現状、この国で正当な継承権を持つのはこの俺ただ一人だ! お前は黙って俺を支えていろ! それが出来ぬのであれば今の地位を捨てることだな!」
「今の殿下の言葉は一字一句違えず、陛下に伝えさせていただきます! この国で正当な継承権を持つのはこの俺ただ一人だクソ爺! お前はひれ伏しながら俺を支えてろ! それが出来ぬのであれば今の地位をドブに捨てることになるぞ! ……と! 最後に忠告ですが、一人でこなせないのならウリア嬢と分担してくださいませ! お二人の問題にかまけている程、我々は暇ではないのです!」
身勝手に怒りをぶつけて、宰相は部屋を出ていく。
やれやれ、つくづく頭にくる男だが確かに分担は必要だろうな!
「ふーっ……。冷静になれレギ・フードル。老害共は若者を虐めて楽しむ悪癖があるからな。ああはなりたくないものだ。しかし……」
明日の夕刻にはウリアが卒業旅行から戻る。
そうしたら存分に執務を手伝ってもらえるからな。
それまでの辛抱だ。
彼女は学園でリリナに次いで成績がよかった。
リリナは俺の婚約者ということで成績に色をつけられていたのだろうが、ウリアは努力で次席という成績を収めたのだ。
リリナなんかより何倍もウリアの方が優秀で、俺の助けになってくれるはずだ。
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