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湖畔の一時
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ジュンと一緒に湖畔へ遠出をした。
芝生に腰かけて波打つ水面を見つめながら、話すのは今度の闘技大会のことだった。
「王子の陣営はガルム・ヴェルを代理人にしたそうだ」
「ガルムさん……ですか?」
「かつて剣聖と御前試合を行った剣士だよ。剣聖を超えたことで剣神と呼ぶ者もいるね」
「それは、ジュンでも旗色が悪い相手ですか?」
「いや、負けないよ。だけど、王子が闘技大会をトーナメント形式にした理由が分かった気がするな。ガルムは政治犯として収容されていたから体力と戦闘の勘にブランクがあるはずだ。それを、知略で補おうとしたのかもしれない」
「策を焦りすぎている気がしますが」
私だったらブランクのある代理人を立てるよりは、万全の状態で代理人を出すことを優先するのに。
「噂では、レギ王子は全く仕事が捌けていないらしい。リリナを追い出したことで、仕事に忙殺されてしまったんだな。恐らく、彼は一刻も早く君を取り戻したいはずだ」
「そんなことの為に闘技大会を開くなんて……」
レギの自己中心的な考えに不快感を覚える。
「結婚をすれば、闘技大会への参加を取り消すことができるのでしょうか」
「レギは神明裁判が終わるまでの期間、婚姻の儀を行わないよう教会に命じたらしい。莫大の寄付と、布教活動における制限の撤廃と共に」
私たちの判断は遅かったのかもしれない。
もっと早くに結婚していれば、こんな事態に巻き込まれることはなかったのに。
「必ず、生きて帰ってきてくださいね」
「戦うよ。俺にはそれしかできないから」
違う……。
彼は、私に優しくしようとしてくれた。
こんな、かわいくない私のことを気にかけて、受け入れてくれた。
デートだっていっぱい考えてくれて。
私たちは、ちゃんと幸せだったんだ。
ちゃんと一歩ずつ一緒に歩いて、恋人になれてたんだ。
感情が決壊して、言葉を紡げない。
そんな私の頭を、ジュンは抱き抱えて優しく撫でてくれた。
「心配するなと言っただろ。場数も経験も才能も俺の方が上だ」
「最近、たまに俺って出ますね」
「嫌かな?」
「かっこいいです。少し乱暴な王子様みたいで、すきです。それに、何だかお兄ちゃんみたいな感じがして」
ウっとジュンが胸を押さえる。
「俺が勝てないのはリリナだけだな」
「私も、ベッドの上じゃジュンに負けてばかりです」
「バカ。君の魅力に勝てた試しなんかないよ」
芝生の上で抱きしめあう。
こんなに傍にいるのに、寂しくて仕方ない。
いつか訪れる離別が怖いなんて、私は弱くなってしまったのかもしれない。
だって、私は怖いんだ。
この温もりを、優しさを、ジュンを絶対に失いたくないんだ。
「泣かないでくれ。そんな顔をされたら、君を連れて逃げてしまいたくなる」
「ごめんね、ジュン」
彼と共に、全てを捨てて逃げ出すくらい奔放に生きられたら、どんなに幸せだろう。
私から婚約者を奪った奔放なウリアのことが、今は少しだけ羨ましかった。
芝生に腰かけて波打つ水面を見つめながら、話すのは今度の闘技大会のことだった。
「王子の陣営はガルム・ヴェルを代理人にしたそうだ」
「ガルムさん……ですか?」
「かつて剣聖と御前試合を行った剣士だよ。剣聖を超えたことで剣神と呼ぶ者もいるね」
「それは、ジュンでも旗色が悪い相手ですか?」
「いや、負けないよ。だけど、王子が闘技大会をトーナメント形式にした理由が分かった気がするな。ガルムは政治犯として収容されていたから体力と戦闘の勘にブランクがあるはずだ。それを、知略で補おうとしたのかもしれない」
「策を焦りすぎている気がしますが」
私だったらブランクのある代理人を立てるよりは、万全の状態で代理人を出すことを優先するのに。
「噂では、レギ王子は全く仕事が捌けていないらしい。リリナを追い出したことで、仕事に忙殺されてしまったんだな。恐らく、彼は一刻も早く君を取り戻したいはずだ」
「そんなことの為に闘技大会を開くなんて……」
レギの自己中心的な考えに不快感を覚える。
「結婚をすれば、闘技大会への参加を取り消すことができるのでしょうか」
「レギは神明裁判が終わるまでの期間、婚姻の儀を行わないよう教会に命じたらしい。莫大の寄付と、布教活動における制限の撤廃と共に」
私たちの判断は遅かったのかもしれない。
もっと早くに結婚していれば、こんな事態に巻き込まれることはなかったのに。
「必ず、生きて帰ってきてくださいね」
「戦うよ。俺にはそれしかできないから」
違う……。
彼は、私に優しくしようとしてくれた。
こんな、かわいくない私のことを気にかけて、受け入れてくれた。
デートだっていっぱい考えてくれて。
私たちは、ちゃんと幸せだったんだ。
ちゃんと一歩ずつ一緒に歩いて、恋人になれてたんだ。
感情が決壊して、言葉を紡げない。
そんな私の頭を、ジュンは抱き抱えて優しく撫でてくれた。
「心配するなと言っただろ。場数も経験も才能も俺の方が上だ」
「最近、たまに俺って出ますね」
「嫌かな?」
「かっこいいです。少し乱暴な王子様みたいで、すきです。それに、何だかお兄ちゃんみたいな感じがして」
ウっとジュンが胸を押さえる。
「俺が勝てないのはリリナだけだな」
「私も、ベッドの上じゃジュンに負けてばかりです」
「バカ。君の魅力に勝てた試しなんかないよ」
芝生の上で抱きしめあう。
こんなに傍にいるのに、寂しくて仕方ない。
いつか訪れる離別が怖いなんて、私は弱くなってしまったのかもしれない。
だって、私は怖いんだ。
この温もりを、優しさを、ジュンを絶対に失いたくないんだ。
「泣かないでくれ。そんな顔をされたら、君を連れて逃げてしまいたくなる」
「ごめんね、ジュン」
彼と共に、全てを捨てて逃げ出すくらい奔放に生きられたら、どんなに幸せだろう。
私から婚約者を奪った奔放なウリアのことが、今は少しだけ羨ましかった。
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