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自滅王子はやり直しても自滅する運命らしい※ジュン視点
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『離さないでくださいね』
『君を離したりしない』
――真夜中、ハッとして目覚める。
隣を向いてもそこにはアリシアがいるだけだ。
そこに、夢で見た彼女の姿はない。
(……いや、本当に夢だったのか?)
頭がズキズキと痛む。
あまりにリアルだった、彼女の温もりと触れた指の感触。
優しい石鹸の匂いまで、現実と変わらなかった。
あんな迫真的な夢が存在するのだろうか。
今の夢の内容がただの夢だったとは思えない。
まるで、前世の記憶が突然呼び覚まされたような、そんな錯覚を覚えた。
「記憶のピースが少しずつ揃ってる」
隣から、アリシアの声がした。
見れば、彼女の瞳の虹彩が闇の中で虹色に輝いている。
「その目……。またアリシアに取りついたのか」
昼間、彼女の口から語られた情報によって、リリナが加護を受けていること。その力によって、全ては在るべき形へ収束していくことが語られた。
つまるところ、俺たちが行動を起こすまでもなく、レギは自滅してしまうということだった。
「俺の記憶は元に戻るのか?」
「戻る。いつになるか分からないけど」
淡々と返事が返ってくる。
この名もなき神は、俺たちの知り得ない多くの情報を持っている。
情報収集はやってやり足りないということはない。
「……もっと早く記憶を取り戻すことはできないのか」
昼間の、泣いて怒りをぶつけていたリリナを思い出すと、胸が痛んだ。
それだけの愛情を俺に対して抱えていながら、ずっと独りで秘めていたのだと思うと、愛しさと同時に切なさが湧きあがってくる。
「あなたはかつて、リリナと愛し合っていた。彼女を大切にしたいという気持ちは、理解できる。でも、だからって無理はよくない」
……もしかして、何か方法があるのか?
記憶を取り戻す手段が。
「この強化アイテムを使えば、私が力になれるかもしれない」
「これは……豚の貯金箱か?」
まさか、金銭を要求するつもりなのか。
少し引いたが、アリシアは大まじめに貯金箱を揺らす。
「あなたがどれだけリリナを愛してるか教えてほしい。もしかしたら、力になれるかもしれない」
どこから取り出したのかも分からない、得体の知れない貯金箱だ。
しかし、これに縋れるなら賭けてみたいと思う。
「……分かった」
俺は金貨を……いや、小切手を机の引き出しから取り出して、そこに投入できる金額を全て書き込む。
「いくら書いたの?」
「俺の全てだ」
貯金箱に小切手を入れる。
瞬間、激しい眩暈に襲われた。
「取り戻せるかもしれない」
「……本当か?」
「うん。私に名を与えて欲しい」
名前……。
一度は失われた神だという。
だったら、
「グローディアだ」
名前に深い意味はない。
女神教に消された神だと聞いて、グロノス族を連想した。
本当に、ただそれだけの理由で与えた名前だったが。
彼女には劇的な変化をもたらしたらしい。
アリシアの身体が強く発光し、そこから霊的な神秘性を備えた少女が分離した。
幼く、儚げな容姿をした麗しい少女だ。
「……代替わり。新たな女神の創造に、あなたは立ち合った」
ズキ……と俺の胸が痛み、血が滲んだ。
「おい、何をしたんだ」
「聖痕を与えた。私の信者であるという印を」
「お前を信仰した覚えはないが」
告げた瞬間、グローディアの身体が半透明になった。
「あなたが信仰を止めれば私は消える。そうなれば、もう一度王族が暴走した時に止められないかも」
「……完全にオカルトと繋がってしまった」
真剣に頭が痛い。
「ほっといても勝手に自滅して収束するけど、ジュンが望むならレギの破滅を加速させてもいい」
「まあ、何もしないで待つより建設的かもな」
それまでは、グローディアを信仰して彼女の存在を維持しよう。
「ところで、お布施が増えても私は強くなる。もっと稼いで、私に投資するといい」
「神っていうシステムはあまり好きじゃないが、現金なところは嫌いじゃないな」
働いて、稼いで、女神を強くする。
単純だが明確な目標ができた。
「ところで、俺の記憶だが」
「無理だった。でもほっといても戻る」
「お前、詐欺師じゃないよな」
「失礼すぎる……!」
俺の信仰心が薄れたせいか、彼女の姿が半透明になる。
俺は慌てて机から飴玉を取り出し、グローディアの口に詰め込んだ。
「なんか食ってろ」
「もが……!」
暴れて怒るが、お布施をやってれば元気になるんだろ。
薄くなったり濃くなったりする女神を見ながら、面倒な置物が増えたなと思った。
『君を離したりしない』
――真夜中、ハッとして目覚める。
隣を向いてもそこにはアリシアがいるだけだ。
そこに、夢で見た彼女の姿はない。
(……いや、本当に夢だったのか?)
頭がズキズキと痛む。
あまりにリアルだった、彼女の温もりと触れた指の感触。
優しい石鹸の匂いまで、現実と変わらなかった。
あんな迫真的な夢が存在するのだろうか。
今の夢の内容がただの夢だったとは思えない。
まるで、前世の記憶が突然呼び覚まされたような、そんな錯覚を覚えた。
「記憶のピースが少しずつ揃ってる」
隣から、アリシアの声がした。
見れば、彼女の瞳の虹彩が闇の中で虹色に輝いている。
「その目……。またアリシアに取りついたのか」
昼間、彼女の口から語られた情報によって、リリナが加護を受けていること。その力によって、全ては在るべき形へ収束していくことが語られた。
つまるところ、俺たちが行動を起こすまでもなく、レギは自滅してしまうということだった。
「俺の記憶は元に戻るのか?」
「戻る。いつになるか分からないけど」
淡々と返事が返ってくる。
この名もなき神は、俺たちの知り得ない多くの情報を持っている。
情報収集はやってやり足りないということはない。
「……もっと早く記憶を取り戻すことはできないのか」
昼間の、泣いて怒りをぶつけていたリリナを思い出すと、胸が痛んだ。
それだけの愛情を俺に対して抱えていながら、ずっと独りで秘めていたのだと思うと、愛しさと同時に切なさが湧きあがってくる。
「あなたはかつて、リリナと愛し合っていた。彼女を大切にしたいという気持ちは、理解できる。でも、だからって無理はよくない」
……もしかして、何か方法があるのか?
記憶を取り戻す手段が。
「この強化アイテムを使えば、私が力になれるかもしれない」
「これは……豚の貯金箱か?」
まさか、金銭を要求するつもりなのか。
少し引いたが、アリシアは大まじめに貯金箱を揺らす。
「あなたがどれだけリリナを愛してるか教えてほしい。もしかしたら、力になれるかもしれない」
どこから取り出したのかも分からない、得体の知れない貯金箱だ。
しかし、これに縋れるなら賭けてみたいと思う。
「……分かった」
俺は金貨を……いや、小切手を机の引き出しから取り出して、そこに投入できる金額を全て書き込む。
「いくら書いたの?」
「俺の全てだ」
貯金箱に小切手を入れる。
瞬間、激しい眩暈に襲われた。
「取り戻せるかもしれない」
「……本当か?」
「うん。私に名を与えて欲しい」
名前……。
一度は失われた神だという。
だったら、
「グローディアだ」
名前に深い意味はない。
女神教に消された神だと聞いて、グロノス族を連想した。
本当に、ただそれだけの理由で与えた名前だったが。
彼女には劇的な変化をもたらしたらしい。
アリシアの身体が強く発光し、そこから霊的な神秘性を備えた少女が分離した。
幼く、儚げな容姿をした麗しい少女だ。
「……代替わり。新たな女神の創造に、あなたは立ち合った」
ズキ……と俺の胸が痛み、血が滲んだ。
「おい、何をしたんだ」
「聖痕を与えた。私の信者であるという印を」
「お前を信仰した覚えはないが」
告げた瞬間、グローディアの身体が半透明になった。
「あなたが信仰を止めれば私は消える。そうなれば、もう一度王族が暴走した時に止められないかも」
「……完全にオカルトと繋がってしまった」
真剣に頭が痛い。
「ほっといても勝手に自滅して収束するけど、ジュンが望むならレギの破滅を加速させてもいい」
「まあ、何もしないで待つより建設的かもな」
それまでは、グローディアを信仰して彼女の存在を維持しよう。
「ところで、お布施が増えても私は強くなる。もっと稼いで、私に投資するといい」
「神っていうシステムはあまり好きじゃないが、現金なところは嫌いじゃないな」
働いて、稼いで、女神を強くする。
単純だが明確な目標ができた。
「ところで、俺の記憶だが」
「無理だった。でもほっといても戻る」
「お前、詐欺師じゃないよな」
「失礼すぎる……!」
俺の信仰心が薄れたせいか、彼女の姿が半透明になる。
俺は慌てて机から飴玉を取り出し、グローディアの口に詰め込んだ。
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暴れて怒るが、お布施をやってれば元気になるんだろ。
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