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レールディア・ゲーテは男爵家に生まれた令嬢である。
幼い頃から魔法を扱う才能に恵まれた彼女だが、目覚めた力は傷を癒すヒールの魔法のみ。王都デルゾガーデンにおいて、レールディアは才能のないお荷物として蔑まれていた。
「あんた、一種類しか魔法が使えないとか才能がなさすぎるのよ! 普通は二種類以上でしょ!? あたしは炎・氷・風の三魔法を扱えるけど、あんたって治すしか才能がないのよね! そんなんだから学園にも落ちて辺境伯に継ぐことになるんだわ!」
妹のアズナ・ゲーテの言葉が悪いのはいつものことだが、今日はユージン・リードの家へ嫁ぐ大事な日である。両親やメイドもいるなかで蔑まれるレールディアは、肩身の狭い思いをしながらペコペコと妹に頭を下げている。
「私が学園に落ちてしまったばかりに、家の名前に泥を塗ってしまって申し訳ないわ」
「本当よね! あんたみたいな無能の為につけるメイドはいないから、悪いけど自分の力で努力して、嫁ぎにいってよね!」
「うん。がんばるわ。自分の身の回りの世話くらい、自分で出来ないと駄目よね」
用意された馬車に従者もなく放り込まれるレールディア。持参金すら用意できず、先方からは良いと言われているものの、完全な厄介払いである。
「じゃあ、お父様もお母様も、アズナも、元気でね」
「さっさと消えて! 本当に目障りなの!」
「挨拶などいいから早く行きなさい」
「あなたがいるだけで家の空気が悪くなるのよ」
父も母も素っ気ないものであった。
栄誉ある魔導学園で才女として多数の良縁を得ているアズナには、両親も逆らえない。内緒で持参金を持たせることくらいはできたはずだが、レールディアの両親はそれすら拒んだ。
魔法が一種類しか扱えない者など、貴族社会においては一人も存在しない。その唯一の例外であるレールディアを、両親は言葉にこそ出さないものの憎んでいたのだ。
レールディアは何一つ持たず、替えのドレスすらない有様で辺境伯の下へ送り込まれたのだった。
送られた先でも、蔑まれるとも知らずに。
幼い頃から魔法を扱う才能に恵まれた彼女だが、目覚めた力は傷を癒すヒールの魔法のみ。王都デルゾガーデンにおいて、レールディアは才能のないお荷物として蔑まれていた。
「あんた、一種類しか魔法が使えないとか才能がなさすぎるのよ! 普通は二種類以上でしょ!? あたしは炎・氷・風の三魔法を扱えるけど、あんたって治すしか才能がないのよね! そんなんだから学園にも落ちて辺境伯に継ぐことになるんだわ!」
妹のアズナ・ゲーテの言葉が悪いのはいつものことだが、今日はユージン・リードの家へ嫁ぐ大事な日である。両親やメイドもいるなかで蔑まれるレールディアは、肩身の狭い思いをしながらペコペコと妹に頭を下げている。
「私が学園に落ちてしまったばかりに、家の名前に泥を塗ってしまって申し訳ないわ」
「本当よね! あんたみたいな無能の為につけるメイドはいないから、悪いけど自分の力で努力して、嫁ぎにいってよね!」
「うん。がんばるわ。自分の身の回りの世話くらい、自分で出来ないと駄目よね」
用意された馬車に従者もなく放り込まれるレールディア。持参金すら用意できず、先方からは良いと言われているものの、完全な厄介払いである。
「じゃあ、お父様もお母様も、アズナも、元気でね」
「さっさと消えて! 本当に目障りなの!」
「挨拶などいいから早く行きなさい」
「あなたがいるだけで家の空気が悪くなるのよ」
父も母も素っ気ないものであった。
栄誉ある魔導学園で才女として多数の良縁を得ているアズナには、両親も逆らえない。内緒で持参金を持たせることくらいはできたはずだが、レールディアの両親はそれすら拒んだ。
魔法が一種類しか扱えない者など、貴族社会においては一人も存在しない。その唯一の例外であるレールディアを、両親は言葉にこそ出さないものの憎んでいたのだ。
レールディアは何一つ持たず、替えのドレスすらない有様で辺境伯の下へ送り込まれたのだった。
送られた先でも、蔑まれるとも知らずに。
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